筑波大学附属病院総合診療科 ブログ

迅速な搬送のために

2015年2月25日テーマ:筑波総合診療グループ, 地域医療教育学講座

北茨城周辺地域のタウン誌「びばじょいふる」11月号の「診療室から」に記事が掲載されました。

http://www.vivajoyful.com/vj.html


たびたび北茨城から日立に救急搬送の同乗をしている経験から
地域住民の皆さんに伝えたいことを書かせていただきました。


「迅速な搬送のために」

4月から北茨城市立総合病院(移転して11月から北茨城市民病院になりました)で勤務しています。今までもつくばや水戸など茨城県内で勤めてきましたが、ここ北茨城の景観の美しさや海の幸の美味しさには驚かされました

さて、この地区にいると重症の患者さんを日立などの病院に搬送する救急車に同乗することがたびたびありますが、少し気になるのは救急車に道を譲ってくれない車が目立つことです。サイレンに気づかないのか、歩行者が前を横断してくることもあります。一緒に乗っていた患者さんのご家族は言いました「こんなによけてくれないなんて」。どうか皆さん、救急車がサイレンを鳴らして来た時は、誰かの大事な家族が一刻を争っていることを思い浮かべて停車して道を譲るようご協力ください。

ところで、救急車がどんなに急いでも医師がどんなに頑張っても縮めることの出来ない時間があります。それは、病気の発症から救急車を呼ぶまでの時間です。例えば、脳梗塞は治療開始が早ければ早いほど後遺症を残さず回復できると言われていますが、急に手足が動かなくなったり、ろれつが回らなくなったりしたのに、すぐに救急車を呼ばず何時間も様子をみてから119番したという方をこれまで何人も拝見しました。どんなに医療の技術が進歩しても、皆さん自身が自分の身体の危険なサインに気づいてすぐ行動するということが無ければ有効な治療にはつながりません。脳梗塞だけでなく、その方の病気の種類によって「こういう時はすぐ病院を受診するように」という症状があるはずですので、普段からかかりつけ医を持って緊急時の対応について確認しておくことが重要です。

私は総合診療医としてこれからも皆さんと地域のよりよい医療について考えていきたいと思っていますので、皆さんからも地域のことを色々と教えていただけると嬉しいです。

びばじょいふる11月号P26_診療室から

(北茨城市民病院 内科 宮澤 麻子)