幸田先生 大学総診研修報告
2019年7月31日テーマ:筑波総合診療グループ, 大学
シニアレジデント1年目の幸田千佳です。2019年4月からつくば家庭医・総合診療医プログラムで後期研修を開始し、私は4月から6月までの3か月間を筑波大学総合診療科で研修させていただきました。
大学総診の特徴は、入院病床を持っていないことです。これまで初期研修2年間はほぼ入院患者さんの診療しか行わず、すでに診断や治療の手順が決まっている患者さんのマネジメントが主な業務でしたが、大学総診で初めて、外来で1日1~2人の初診の患者さんをじっくり診察し、アセスメント・鑑別診断を挙げて検査を進め、診断・再診まで、自分がメインで考え実行していくという経験をしました。大学の総合診療科を受診する患者さんはほとんど他院や他科から紹介されてくるため、病態が複雑だったり原因不明だったりする方ばかりでアセスメントが難しく、正直に言うと大変だと感じる症例が多かったです。しかし必ず上級医の先生からアドバイスを受ける制度になっており、毎日症例の振り返りの時間もあるため、安心して診療することができました。自分で知識を集めて考える時間もありつつ、周りの先生方に正しい方向へ導いていただくことで独りよがりになることなく研修を進めることができる環境でした。
外来診療だけでなく、院内検査科での腹部エコー研修や、地域のクリニックでの皮膚科研修など、総合診療医として今後必要となる技術・知識も得ることができました。
また、毎週金曜日午後は業務予定を入れず、担当の先生とともに1週間の振り返りをしたり、コアレクチャーとして総合診療の基本領域等の分野についてマンツーマンで指導を受けたりする時間が設けられていました。これまでは病棟業務をこなすのに精いっぱいで、症例などに関して日々感じることについてじっくり考える機会も余裕もありませんでしたが、振り返りの時間で自分のもやもやした感情を言語化することで、解決策や今後の目標をはっきり認識することができました。コアレクチャーは、臨床倫理や行動変容、リハビリなど、教員の先生方から直にレクチャーしていただき、総合診療医として必要な知識を学ぶことができました。
3カ月という比較的短い期間でしたが、充実した研修と楽しい時間を過ごせました。身につけた知識や診療技術を、今後の研修の基礎としていきたいと思います。