筑波大学附属病院総合診療科 ブログ

笠間市での地域包括会議の取り組み 第10回

2017年9月27日テーマ:筑波総合診療グループ

笠間での地域包括会議第10回をお伝えします。

今回の会議より、海外留学中でskype参加となっていた春田先生がカムバック!心強いです。

まずは前回盛り上がったファミリー健診の話題からスタート。前回の会議では、3者でファミリー健診に求めるものや理想のイメージに差があることがわかったため、3者それぞれの構想を出し合うところからスタートしました。
まずは保健センターから、前回会議で共有が十分できなかった保健センターでの市民への取り組みの説明がありました。

乳幼児健診の詳細や、生後4か月以内の全員を保健師で訪問している話、法律に定められていない2歳児の歯科検診を笠間市のオリジナルで行っている話など、多岐にわたる取り組みが紹介されました。その中で、特定健診や生活習慣病健診の受診率がなかなか上がってこないこと、小学校のADHDなどの対応に苦慮していることなど、保健センターの困っていることもたくさん出てきました。また、以前に保健センターで血管年齢を調べるイベントを行ったところ市民の反応が非常に良く、医療機関受診に繋がった例もあったとのことでした。そこで、保健センターのファミリー健診の理想としては、血管年齢などを調べたりして既存の健診の受診に繋がるようなものを、通年ではなくイベント的に開催したいとのことでした。

次に地域包括支援センターからは、健診では認知症のチェックは行われておらず、早期認知症のスクリーニングを充実させたいとの希望や、既存の健診や訪問等のシステムでは食生活や栄養については全くチェックされていないため、食生活のチェックなどもやれるような取り組みがやりたいとのことでした。

 

 

保健センター、地域包括からそれぞれの現状とファミリー健診の構想が出ました。ここで、笠間市はなぜ健診受診率が低いのかの理由や、今までの取り組みをいろいろと話し合いました。

〇仕事で忙しい世代はなかなか健診を受けない。
〇児童館で子供を絡めないと、仕事をしている成人は健診を受けないのではないか?
〇以前、健診に託児所を設けてみたが、受診率は変わらなかった。
〇乳児・幼児健診と特定健診を同一日にやって、両親の受診を促してはどうか。
〇夏休みの自由研究などで子供と親に病院に来てもらうきっかけを作ってはどうか。
〇東京で「遊びのワークショップ」というものをやっている人がいて、楽しそうだった。そういったことを取り入れて、楽しい企画をきっかけに健診受診に繋がるようなイベントを、夏休み限定などで企画したらどうか。

 

今日の話し合いの中で、ファミリー健診を1年間通して行っていくのは難しいとの意見で一致しました。また、既存の健診につながる新たな試みをしたいとの意見も一致していました。そこで、夏休み、冬休みなどに限定した単発イベントとして、ファミリーを巻き込んで既存の健診に繋がることを目的としたイベントであれば開催可能だということになり、イベントの企画を行っていくことになりました。

今回の会議はここまで。

ファミリー健診改めファミリーを健診に巻き込むイベントの話し合いのみで終わってしまいました。地域包括支援センターからは新たな企画の提案があったようですが、時間切れで次回に持ち越し。少しずつやることが見えてきたような気がします。

 

文責:C2 稲葉 崇