阪本ら3名の座談会が掲載された【ドクタラーゼ】第19号が、全国の医学生に届いています!
2016年11月16日テーマ:筑波総合診療グループ, ステーション, 地域医療教育学講座, 大学, 未来医療GP
医学生がこれからの医療を考えるための情報誌【ドクタラーゼ】第19号が、
全国の医学生向けに発行されています!
阪本ら3名の座談会のテーマは、「誰もが自分の健康を主体的に獲得できる世の中へ」
座談会では、健康の社会的決定要因に関する概念や、
阪本が、患者さんと治療の目的を共有し、協働体制をつくるために普段心がけていることにも触れられています。
なお、この座談会でも出てきました、「健康の社会的決定要因」に関する概念は、新しい考えであり、この概念を伝えるのは容易ではありません。
その難問を我々の意図を汲み取って、うまく我々の座談会のストーリーに落とし込んでくださいました。
なお、この座談会の編集を担当された中田 菜摘氏が、自身のFacebokで制作秘話を語ってくださいました(ログイン必要)。
下記、抜粋してご紹介させていただきます。(ご本人の承諾を得ております)
(ここから)
10月25日、ドクタラーゼ第19号が発行されました〜
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今回の特集テーマは、「保健の視点」です。
ただ長生きするだけじゃなくて健康に生きたいよね、だけど「健康である」ってそもそもどういうことだったっけ?というところまで踏み込んだ内容になりました(そもそも論が大好き)。
基本的には、超高齢化時代、平均寿命だけではなく健康寿命も伸ばすにはどうしたらいいかという問いが、この特集の出発点です(日本人の平均寿命と健康寿命の差は約10年)。
地域のお医者さん・保健師さんの取り組みを取材させていただいたり、産業保健について専門の先生にお話を伺ったりしてきました。
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住民の方一人ひとりのお家を訪問して健診結果について丁寧にお話されている保健師さんのエピソードや、多くの人が健康について意識もしていない「職場」という環境で健康づくりを推進する産業医の先生方のお仕事についてのお話など、コンテンツは盛りだくさんなのですが、 Naoto Sakamoto先生、 Hiro Zakoji 先生、 Maho Haseda 先生をお招きした座談会記事は、医療関係者ではない方にもぜひ読んでいただきたい内容です。(阪本注釈:上記URLは、Facebookログインが必要)
タイトルは、「誰もが自分の健康を主体的に獲得できる世の中へ」。
この特集を作りながら、もやもやしていたことがいくつかありました。
「健康寿命を伸ばそう」というコンセプトが間違っていないことはわかっているのですが、「健康」でない人が生きづらい世の中になったら嫌だな、というのがわたしの率直な感覚でした。病気をしたり要介護になった状態の人が生きていることが良いことと見なされなくなってしまうとしたら、それはおかしなことです。「健康寿命の延伸」というスローガンは、ともすると「健康でなければ生きていてはいけない」という圧力にすり替わるのではないか、という違和感がありました。
また、「自業自得の糖尿病患者」に関する過激なブログが炎上していたのも、ちょうどこの記事の制作時期でした。当初は嫌悪感を感じながらも、「自業自得」という表現にどう反論すればいいのか、自分ではいまいち言葉が見つかりませんでした。
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先生方とお話しさせていただいて、わたしが学んだことは大きく二つあります。
一つは、健康の社会的決定要因という考え方です。例えば食べすぎが祟って糖尿病になってしまった人がいたとして、食べすぎたのはその人が悪いのか。お金がなくてジャンクフードしか食べられなかったのかもしれないし、精神的ストレスにさらされて、たくさん食べることしか逃げ道がなかったのかもしれない。日々稼ぐことで精一杯で、そもそも「食生活に気を遣って長生きしよう」なんて思えない生活環境にいるのかもしれない。
おそらくまだまだ不完全な理解ですが、「健康」を個人の責任に帰結させないという考え方を知って、目の前が開けたような感覚がありました。
もう一つは、「何が健康か」は社会が決めることではなく、個人が決める価値だということ。病気があったり、介護が必要だったり、障害があったりする人が「不健康だ」と糾弾されるのは、言うまでもなくおかしなことです。一人ひとりが主観的に「自分は健康だ」と満足して生きられることにこそ価値があるし、医療も、社会も、第一義的にはそれをサポートすべきだと思います。
健診で悪い結果が出たとき、一方的に「あなたの生活はここが悪いからこうしなさい」と言われて行動に移す人は少ないでしょうし、正直、そんなことを言われるなら健診になんて行きたくなくなると思います。あるいは、言われたとおりにして、誰かに「健康」と認められたとして、その人は嬉しいでしょうか?
「こういうあり方が健康だからこうなりなさい」と押し付けるのではなく、一人ひとりの人がどう生きたいと考えているのかに寄り添い、それを尊重してこそ、保健活動の意味があると思います。
3人の先生方には、座談会当日のみならず、誌面を作り上げる過程でも議論を重ねていただきました。制作を通じて得たものは、ここに書ききれないほどあります。ほんとうにありがとうございました。
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特集以外にも、・・・わたしの担当企画以外も、手前味噌ながらとっても読み応えのある記事が揃っています!
WEBでも読めるので、お時間あるときに覗いてみてもらえたらうれしいです。
(抜粋ここまで)
みなさま、医学生がこれからの医療を考えるための情報誌【ドクタラーゼ】第19号
ぜひお読みください。
記事:阪本 直人