筑波大学附属病院総合診療科 ブログ

大学院4年間をふりかえって

2021年4月9日テーマ:筑波総合診療グループ, 地域医療教育学講座, 大学, 神栖, 未来医療GP

(中央:細井先生、左:濱野先生、右:小曽根先生)

(中央:細井先生、左:前野哲博先生、右:前野貴美先生)

2021年3月25日、筑波大学大学院 人間総合科学研究科疾患制御医学専攻の博士課程を修了し、学位を取得しました。

私の研究テーマは、「非がん患者における臨終期の身体徴候、バイタルサインの変化、血液検査データおよびそれらを用いた臨終期の予後予測モデルの開発」でした。

大学院1年目は、自分が抱いていた臨床疑問をリサーチクエスチョンに落とし込めるように文献を読み漁り、その分野の背景、現時点で分かっていること・分かっていないことを整理していきました。さらに、指導教官とディスカッションを重ね、リサーチミーティングで他の大学院スタッフおよび院生らとブラッシュアップしながら、いわゆるFINER(Feasible, Interesting, Novel, Ethical, Relevant)の条件を満たせるようなリサーチクエスチョンとなるように努力を重ねていきました。
その後、私の勤務先の神栖済生会病院にて非がん患者さんの臨終期の身体徴候に関する前向き観察研究を行いました。統計・解析という苦手とする部分も、生物統計家の先生のご指導ならびにスタッフの先生方からの支援を得てなんとかクリアし、無事に英語論文2つを完成させることができました。
・Hosoi T, Ozone S, Hamano J. Survival time after marked reduction in oral intake in terminally ill noncancer patients: A retrospective study. J Gen Fam Med. 2020;21(2):9-14.
・Hosoi T, Ozone S, Hamano J. Variations in vital signs at the end of life in non-cancer patients: a retrospective study. Ann Palliat Med. 2020;9(5):2678-83.
4年次にこれまでの研究の集大成である学位論文を完成し、審査のうえ修了に至りました。前向き観察研究で明らかにした、非がん患者の臨終期の予後予測モデルに関する論文を現在執筆中です。

大学院4年間を通してここでは到底書ききれないほどの様々なことを学びました。最も学んだことは、「常に謙虚に、感謝の気持ちを忘れないこと」「研究・論文が社会に及ぼす影響を常に考え、それに対し責任をもつこと」です。
私がこの研究を完遂できたのは、神栖済生会病院の看護師さんらの協力があったからです。当然のことですが研究フィールド、支えてくれる人がいなければ、研究計画を立てることすらままなりません。今までのすべての活動によってできる人脈が、今の、そしてこれからの研究につながるということ、「常に謙虚に、感謝の気持ち」で日々過ごすことの大切さを改めて感じました。そしてその研究結果は、英語論文となり世界に発信され、その後の臨床プラクティスを変える可能性も秘めています。その重大さをしっかりと認識して、今後も身近な臨床疑問を解決できるような研究者として精進していきたいと思います。

最後となりましたが、指導教官である前野哲博教授をはじめ、濵野先生、小曽根先生そして4年間ご指導・ご支援賜りましたすべての方々に感謝の意を表したいと思います。

(文・細井崇弘)