学校では教えてくれない!?医療にまつわるおカネの話
2016年11月24日テーマ:筑波総合診療グループ, 未来医療GP
11月12日 第3回 総合診療 ★ 家庭医療全国公開セミナーin Tsukubaのセッションとして行われた「学校では教えてくれない!?医療にまつわるおカネの話」について、ご報告いたします。
このセッションは、「授業で習う機会の少ない医療費について知りたい!」という学生の思いを発端に、つくば総診の医療費初心者(!?)のメンバーとベテラン医療事務の芦野さん(さいたま総合診療医・家庭医センター)とでゼロから作っていきました。「無駄遣いをしない医療者になろう!」という目標のもと、寸劇やクイズ、医療費の計算のワークなどの参加型の構成で、医学部1年生~6年生まで計11名が参加しました。
導入として行った寸劇では、研修医が救急外来で、便秘による腹痛の患者さんに、問診・身体診察もままならぬまま、エコー・採血などの検査を行い、たくさんお金を払わせてしまったというシナリオで、医療費について考えることの大切さを実感してもらいました。筑波大学医学類3年の三石さんからは、「自分が医師になった時には、きちんとした問診・診察を行い、必要な説明と検査を行うことで患者との関係も、医療費もベストを目指していきたいと感じました」と感想をいただきました。
「医療費のいろは」と題したレクチャーでは、保険証の種類によって患者さんの窓口負担金に違いがあること、診療報酬制度の仕組みなど、診療現場ではなかなか見えないお金の動きについてお伝えしました。
クイズでは、お金の話題にちなんで「一葉チーム」「諭吉チーム」「英世チーム」「式部チーム」の4つのチーム対抗で行いました。検査のクイズでは、血液検査・画像検査などを点数の高いものを考えてもらいました。クイズの最後には応用編として、「田舎vs都会」で医療費の比較をしてもらいました。「保険対象」ならば、その他の環境やサービスが違っても、同じ診療なら値段は変わらないことを学んでもらいました。
総まとめとして、カルテから医療費を計算するというワークを行いました。医療費の計算はとても複雑ですが、ここまでで得た知識を総動員し、力を合わせて取り組んでいました。栄えあるピタリ賞を勝ち取ったのは、クイズも全問正解だった一葉チームでした!
参加の皆さんからは、「点数の仕組みが分かり、こんなに色々なところでお金がかかっているのだと驚いた」「医療費の計算って大変。事務の人はこれを1人1人にやっているのか!」などの感想があり、低学年から高学年まで好評でした。今回のセッションを通して、患者さんの視点や医学知識だけでなく、「医療費」のことも意識する医療者に将来なってもらえればと願っています。
(レジデント 久野遥加)