筑波大学附属病院総合診療科 ブログ

地域のニーズに応え、産婦人科診療を支える家庭医が活躍する現場

2016年3月14日テーマ:筑波総合診療グループ, ステーション, 地域医療教育学講座, 大学, 未来医療GP

静岡家庭医養成プログラム 産婦人科研修の視察報告
~地域のニーズに応え、産婦人科診療を支える家庭医が活躍する現場~

後期研修医2年目の久野です。2月22日、23日の2日間、静岡県菊川市に拠点をおく静岡家庭医養成プログラムの視察に行ってきましたので、報告させていただきます。静岡へ視察に行くきっかけとなったのは、昨年10月 浜松医科大学産婦人科家庭医療学講座の鳴本先生がつくばで講演をされ、「家庭医が行う産婦人科診療」に興味を持ち、その教育スタイルを学びたいと思ったからでした。鳴本先生は、筑波大学を卒業され、アメリカで家庭医療を学ばれた後、静岡家庭医養成プログラムで指導医をされており、今回、私達の視察見学を快く引き受けてくださいました。

菊川市立総合病院前で、鳴本先生との一枚。外来の助産師さんが撮って下さいました

菊川市立総合病院前で、鳴本先生との一枚。外来の助産師さんが撮って下さいました

1日目は、菊川市立総合病院で産婦人科外来・病棟の見学を行い、産婦人科研修の教育体制について学ばせていただきました。静岡家庭医養成プログラムでは、現在、後期研修1年目・2年目の各2か月間、産婦人科の外来・病棟研修を行うことが必須となっており、プライマリ・ケア医にとって必要な、女性医学の基本的診察技術を習得できるよう、明確な目標が設定されていました(例えば、『後期研修1年目では、頸がん検診の手技を身につける』など)。研修の指導は、産婦人科専門医と家庭医療専門医と両方の視点から行われ、プログラムを卒業した先生の中には、「お産ができる家庭医」を目指し、地域の産婦人科診療に尽力されている先生もいらっしゃるという話を伺いました。家庭医の先生方が地域の産婦人科診療を担う大きな力となっていると感じました。また、後期研修の先生からは、「産婦人科研修で担当した患者さんに高血圧などの新規の健康問題が判明した場合、退院後のフォローをレジデント自身が家庭医療センターで行うこともある」という話を伺い、このような体制は、家庭医ならではの「継続的な診療」が実践できる場だと感じました。

内科病棟の回診の様子。週2回、家庭医の指導医と回診しているとのことでした

内科病棟の回診の様子。週2回、家庭医の指導医と回診しているとのことでした

2日目は、菊川家庭医療センター(地名にちなんで、「あかっちクリニック」と呼ばれています)と森町家庭医療クリニックの外来見学を行いました。クリニックでは、診察室で予め患者さんが待っており、そこに医師が診察に行くという診察スタイルや、プリセプター室という診察室とは別の部屋で、レジデントが指導医にケースについて相談するなど欧米式の診療・教育体制を取り入れている点が印象的でした。筑波大学で後期研修をされ、現在菊川家庭医療センターで指導をされている津田先生にもお話を伺い、「産婦人科、リハビリテーションや整形外科など幅広く学んだことが今の診療や教育に活かせている」とメッセージをいただきました。

菊川家庭医療センターのプリセプター室。津田先生が初期研修の先生を指導していらっしゃる様子です。

菊川家庭医療センターのプリセプター室。津田先生が初期研修の先生を指導していらっしゃる様子です。

今後は、この視察で気付いたことを周囲と共有し、女性の健康問題に関心を持ち、日々の診療に取り入れていきたいと思います。今回、視察に送り出していただいた石岡第一病院の小児科の先生方、そして、今回の見学を快く引き受けていただいた鳴本先生、静岡家庭医養成プログラムのスタッフの皆様に心から感謝いたします。

筑波大学総合診療グループ 後期研修医2年目 久野 遥加