静岡家庭医養成プログラム 産婦人科研修視察報告
2016年3月18日テーマ:筑波総合診療グループ, ステーション, 地域医療教育学講座, 大学, 未来医療GP
後期研修2年目の高橋弘樹です。2月15日~16日にかけて静岡家庭医養成プログラムの視察へ行ってきました。何を隠そう高橋は静岡県出身なのですが、高校卒業後はずっと県外で生活しており、仕事関係で静岡に行くのはこれが初めてのことです。視察に至った詳しい経緯は久野先生の報告に譲りますが、今回このような機会を頂き、家庭医による産婦人科診療のあり方を学ぶとともに、地元である静岡の家庭医療を見るという意味でもとても楽しみにしていました。
視察前日の14日、菊川に到着するとまず「さわやか」や「お弁当どんどん」など静岡県民にはたまらない「あるある」スポットに懐かしさを感じずにはいられませんでした(この感動は静岡県民にしかわからないでしょう笑)。夜は今回の視察をコーディネートしてくださった鳴本敬一郎先生(筑波大卒)と奥様(産婦人科Dr.!)が歓迎してくださり、後期研修のプログラムなどについて話を伺いました。15日は菊川市総合病院産婦人科の視察、16日は菊川家庭医療センター、その後森町病院・森町家庭医療センターを視察させていただきました。鳴本先生をはじめとする家庭医の指導医の先生方、後期研修医の先生方、そして産婦人科の先生方にお話を伺い、また、実際の診療見学では後期研修医の先生方が女性医学や産婦人科的診療を実践される姿を見て、産婦人科診療への関わり方のイメージを作ることができました。
まず、総合診療医・家庭医が産婦人科領域や女性医学を学ぶ意義について。「患者の半分は女性だから」という言葉を頂きましたが、確かにそれで十分だなと思いました。女性特有の健康問題や、妊娠・出産というライフイベントは全ての患者・家族に起こりうる事象です。女性医学的な視点を通して初めて拾いあげることができる問題もあるでしょう。それに対応する知識と技術を備えておくことは総合診療医・家庭医として必要なことです。
ただし、産婦人科領域に強い静岡においても、分娩など産科分野についてはハードルが高いと感じているDr.もやはりいらっしゃるようです。当然産婦人科医のバックアップが前提ですし、地域の現状を踏まえてどこまで家庭医が役割を担うのかを考える必要があります。また、医師個人の問題としてどこまでやりたいのか、というのも人それぞれのように感じました。
今後、つくばでも後期研修医が産婦人科研修を行う機会が増えるといいなと思いますが、そのために、総合診療医・家庭医がどこまで産婦人科領域に関わるのか、地域の事情に即したビジョンや到達目標の設定が重要であるように感じました。そして、産婦人科医の賛同・協力を得るためにWin-Winの関係を築く努力が必要ですし、われわれが地域の産婦人科診療に対してどう貢献できるかを示していく必要があると思います。また、総合診療医・家庭医の強みを活かした診療を意識することも重要で、例えば家族志向のアプローチや、お産後の継続的なフォロー、ヘルスケアメンテナンスなどを積極的に取り入れることでより綿密な女性医学へのアプローチができると感じました。
すこし抽象的な報告になってしまいましたが、より具体的な内容については書き出すと長くなってしまいますので、またどこか別の機会でグループに還元する機会をつくれればと思っておりますので、よろしくお願いします。
今回の視察で、総合診療医・家庭医として更に視野を広げることができ大変貴重な経験となりました。このような機会を作ってくださいました、鳴本先生をはじめとする静岡家庭医養成プログラムの先生方、筑波大学総合診療グループ、筑波メディカルセンター病院のスタッフの方々に、厚く御礼申し上げます。
筑波大学総合診療グループS2レジデント 高橋 弘樹