今朝は、過去に経験したモヤモヤ症例の検討会を開催しました。
2015年11月18日テーマ:筑波総合診療グループ, ステーション, 地域医療教育学講座, 大学, 筑波メディカルセンター病院, 水戸, 未来医療GP
今朝は、いつものモーニングレクチャーシリーズとは趣旨を変え、過去に経験したモヤモヤ症例の検討会を開催しました。
モヤモヤ症例検討会とは、
患者さんやその家族のケア、そして、社会的なアプローチに難渋し、「これでよかったのだろうか」と、あとになってもモヤモヤする症例をプレゼンテーションし、今後のよりよいマネージメントにつなげる視点でディスカッションする会のことです。
【症例】
認知機能低下に伴い、車の運転に危険が伴うようになった高齢の患者さん。
家族は、安全のために(この患者さんには)、運転させられないと考えています。
しかし、その患者さんからしてみれば、これまで当然のように行えていた運転を家族から禁止され、大変反発していました。
この患者さんは、ご家族との関係性にも元来問題があったこともあり、この件をきっかけに家族内の関係性が、よりいっそう悪化しました。
ご本人の執拗な抗議や反発行動が続いたことから、ご家族の負担が、日に日に大きくなってゆき、家族のメンタルヘルスも心配される状況に陥ってゆきました。
というのが、今回カンファレンスで提示した症例の概要です。
カンファレンスに参加したメンバーからは、
ケアマネージャーに、本人だけではなく、家族のフォローをお願いしたり、家族の主治医にも繋ぎ、協力を要請すること。
また、全体像を把握しながら、医療・介護資源につなぐ人を維持すること。
を改めて指摘されました。
当時、私は半ば無意識に「ご本人を納得させる」ことに焦点を置いてしまっていました。
しかし、本当に重視すべきは「ご本人を支える家族」であり、家族のケアを手厚くすべきだった。
と、今回の話し合いで改めて気付かされました。
さらに、薬剤師の方からは、家族図を含めた情報が調剤薬局にあれば、少しは意識して関わることができたのではないか、と提案をいただきました。
患者さんにケアを提供する際には、かかりつけ医と家族だけが協力するのではなく、それに加え、地域住民やケアマネージャ、薬剤師など他職種に関わってもらうこと。
医療資源は、本人に対してだけではなく、その家族にもしっかりとサポートを提供する必要があること。
などが、今回の学びとなりました。
実際に患者さんを前にしてみると、どうしてもその方本人のことばかり考えてしまいますが、きちんと「誰をサポートするのか」というポイントを明確にしておく必要があること。
頭で理解していたつもりでも、実例を通して実行できていなかったことや具体的な改善点を整理することができ、大変有意義なカンファレンスになりました。
前野先生をはじめスタッフの先生方と薬剤師の方が、多くの貴重なご意見をくださいました。
本当にありがとうございました。
つくば総診 S1 任明夏/編集 スタッフ 阪本直人