筑波大学附属病院総合診療科 ブログ

総合診療塾「高齢者へのアプローチ」

2015年12月7日テーマ:筑波総合診療グループ, ステーション, 地域医療教育学講座, 大学, 筑波メディカルセンター病院, 未来医療GP

2015年12月4日に総合診療塾として「高齢者へのアプローチ」をテーマに90分のセッションをしました。
準備段階から春田先生に具体的かつ的確なアドバイスをいただきながら、作らせていただきました。自分の中でこういうことを伝えたい!と思うぼんやりとしたことをミーティングを繰り返し行っていただく中で、言語化し、セッションという形に仕上げるという経験もすることができ私として学ぶことがとても多くありました。
セッション内容は、①身体的疑似体験 ②事例検討 ③認知的疑似体験の三本立てです。
①では高齢者体験セットを用い、関節可動域や視力、聴力、筋力が低下した状態を疑似的に作り、「2階にあるお薬を取ってこよう!」という課題に取り組んでいただきました。身体的に疑似体験した方もその方を介助した方にも、身体的機能低下した状態で普段の生活を営むということの大変さや生活場所に潜む転倒などのリスク、現在の自分の状況との違いなどを感じていただけたのではないかと思います。
②では、内服1剤のみで血圧コントロール良好だと思い込んでいた80歳男性が、半年前に転倒した後から外出しなくなったという家族からの訴えという事例をもとに、なぜ外出しなくなったのかを一緒に考えていきました。その背景には、身体的機能低下だけではなく、認知機能の低下や心理的、社会的背景が絡んだ本人独自の物語があるということ、高齢者の虚弱性という概念を共有できたのではないかと思います。
③では、「振り子」という、ある夫婦を描いた動画を視聴していただきました。
ライフサイクルの中での高齢者として捉えることの大切さや各世代が抱える発達課題(エリクソンの発達課題)を題材の春田先生にお話しいただきました。その中の老年期が抱える統合性と絶望という課題を医療者が、「人生の聞き手」になることで少しサポートできるのではないかということを感じました。
参加者は身内も含め6名でしたが、学生から初期・後期研修医、ベテラン医師、家族の看取り経験のある非医療者の方とバラエティに富んでおり、いろんな視点や経験からの意見が出てディスカッションが盛り上がったように思います。
さらに今後もこういう機会があれば、リハビリ側や高齢者の方々の意見も交えながらセッションを行うともっと深みのあるセッションになるなと思いました。
これからもっともっと社会的ニーズが増えるということのみではなく、高齢者医療という魅力ある分野に関われるということに感謝し、今後の研修に励んでいきたいと思います。
貴重な機会をいただきありがとうございました。
(後期研修医 大澤さやか)