筑波大学附属病院総合診療科 ブログ

「論文の読み方、書き方」レクチャー

2017年3月10日テーマ:筑波総合診療グループ, 地域医療教育学講座

講師の堤先生(前列中央)を囲んで

3月10日に大学院のレクチャーで「論文の読み方、書き方」が開催されました。講師は昨年度まで教員として在籍されていた堤円香先生でした。

まず初めに、日々論文を書く上で困っていることをみんなで共有し、どうしたらいいかを経験のある先生方から意見をもらうことができました。私からは、仕事をしながら研究をすると読んだ論文を忘れるのでどうしたらいいかということを発表したところ、経験のある先生方からいろいろな工夫を聞くことができました。論文管理ソフトのメモに論文の細々した感想を書くということを早速実践しています。

レクチャーでは他に、論文を書く上で決まっている構造を改めて知ることができました。どこから書き始めるか、いつ書き始めるか、というのも人によって違っていることがわかり、どの方法も真似してみたいと思いました。

堤先生の明るい雰囲気もあって、レクチャーは終始明るい雰囲気でした。堤先生ありがとうございました。

博士課程1年 梶川 奈月

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大学院 修了イベント

2017年3月17日テーマ:筑波総合診療グループ, 地域医療教育学講座

今回卒業する佐藤さん(左)、後藤さん(右)

修士課程を修了する松下さん

この3月で大学院を修了する佐藤さん・松下さん(修士)、後藤先生・小曽根先生・片岡(博士)が17日に修了プレゼンを行い、担任の先生方からコメントをいただきました。

それぞれ苦労した点や、大学院生活で印象に残った点などをプレゼンテーションし、その後担任の先生方からコメントや記念品をいただきました。

修了した方々は、これからもそれぞれの領域で研究活動に邁進されると思います。
大学院での研究を支援していただいた先生方、そして今回の会を開催していただいたみなさん、どうもありがとうございました。

片岡 義裕

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阪本ら3名の座談会が掲載された【ドクタラーゼ】第19号が、全国の医学生に届いています!

2016年11月16日テーマ:筑波総合診療グループ, ステーション, 地域医療教育学講座, 大学, 未来医療GP

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特集「保健の視点~人々の健康な生活を支える~」

医学生がこれからの医療を考えるための情報誌【ドクタラーゼ】第19号が、
全国の医学生向けに発行されています!

阪本ら3名の座談会のテーマは、「誰もが自分の健康を主体的に獲得できる世の中へ」

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誰もが自分の健康を主体的に獲得できる世の中へ

 

座談会では、健康の社会的決定要因に関する概念や、
阪本が、患者さんと治療の目的を共有し、協働体制をつくるために普段心がけていることにも触れられています。

なお、この座談会でも出てきました、「健康の社会的決定要因」に関する概念は、新しい考えであり、この概念を伝えるのは容易ではありません。

その難問を我々の意図を汲み取って、うまく我々の座談会のストーリーに落とし込んでくださいました。

 

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なお、この座談会の編集を担当された中田 菜摘氏が、自身のFacebokで制作秘話を語ってくださいました(ログイン必要)。

下記、抜粋してご紹介させていただきます。(ご本人の承諾を得ております)

 

(ここから)

10月25日、ドクタラーゼ第19号が発行されました〜
***
今回の特集テーマは、「保健の視点」です。
ただ長生きするだけじゃなくて健康に生きたいよね、だけど「健康である」ってそもそもどういうことだったっけ?というところまで踏み込んだ内容になりました(そもそも論が大好き)。

基本的には、超高齢化時代、平均寿命だけではなく健康寿命も伸ばすにはどうしたらいいかという問いが、この特集の出発点です(日本人の平均寿命と健康寿命の差は約10年)。
地域のお医者さん・保健師さんの取り組みを取材させていただいたり、産業保健について専門の先生にお話を伺ったりしてきました。

***
住民の方一人ひとりのお家を訪問して健診結果について丁寧にお話されている保健師さんのエピソードや、多くの人が健康について意識もしていない「職場」という環境で健康づくりを推進する産業医の先生方のお仕事についてのお話など、コンテンツは盛りだくさんなのですが、 Naoto Sakamoto先生、 Hiro Zakoji 先生、 Maho Haseda 先生をお招きした座談会記事は、医療関係者ではない方にもぜひ読んでいただきたい内容です。(阪本注釈:上記URLは、Facebookログインが必要)

タイトルは、「誰もが自分の健康を主体的に獲得できる世の中へ」。

この特集を作りながら、もやもやしていたことがいくつかありました。
「健康寿命を伸ばそう」というコンセプトが間違っていないことはわかっているのですが、「健康」でない人が生きづらい世の中になったら嫌だな、というのがわたしの率直な感覚でした。病気をしたり要介護になった状態の人が生きていることが良いことと見なされなくなってしまうとしたら、それはおかしなことです。「健康寿命の延伸」というスローガンは、ともすると「健康でなければ生きていてはいけない」という圧力にすり替わるのではないか、という違和感がありました。
また、「自業自得の糖尿病患者」に関する過激なブログが炎上していたのも、ちょうどこの記事の制作時期でした。当初は嫌悪感を感じながらも、「自業自得」という表現にどう反論すればいいのか、自分ではいまいち言葉が見つかりませんでした。

***
先生方とお話しさせていただいて、わたしが学んだことは大きく二つあります。
一つは、健康の社会的決定要因という考え方です。例えば食べすぎが祟って糖尿病になってしまった人がいたとして、食べすぎたのはその人が悪いのか。お金がなくてジャンクフードしか食べられなかったのかもしれないし、精神的ストレスにさらされて、たくさん食べることしか逃げ道がなかったのかもしれない。日々稼ぐことで精一杯で、そもそも「食生活に気を遣って長生きしよう」なんて思えない生活環境にいるのかもしれない。
おそらくまだまだ不完全な理解ですが、「健康」を個人の責任に帰結させないという考え方を知って、目の前が開けたような感覚がありました。

もう一つは、「何が健康か」は社会が決めることではなく、個人が決める価値だということ。病気があったり、介護が必要だったり、障害があったりする人が「不健康だ」と糾弾されるのは、言うまでもなくおかしなことです。一人ひとりが主観的に「自分は健康だ」と満足して生きられることにこそ価値があるし、医療も、社会も、第一義的にはそれをサポートすべきだと思います。
健診で悪い結果が出たとき、一方的に「あなたの生活はここが悪いからこうしなさい」と言われて行動に移す人は少ないでしょうし、正直、そんなことを言われるなら健診になんて行きたくなくなると思います。あるいは、言われたとおりにして、誰かに「健康」と認められたとして、その人は嬉しいでしょうか?
「こういうあり方が健康だからこうなりなさい」と押し付けるのではなく、一人ひとりの人がどう生きたいと考えているのかに寄り添い、それを尊重してこそ、保健活動の意味があると思います。

3人の先生方には、座談会当日のみならず、誌面を作り上げる過程でも議論を重ねていただきました。制作を通じて得たものは、ここに書ききれないほどあります。ほんとうにありがとうございました。

***
特集以外にも、・・・わたしの担当企画以外も、手前味噌ながらとっても読み応えのある記事が揃っています!
WEBでも読めるので、お時間あるときに覗いてみてもらえたらうれしいです。

(抜粋ここまで)

 

みなさま、医学生がこれからの医療を考えるための情報誌【ドクタラーゼ】第19号
ぜひお読みください。

 

記事:阪本 直人

 

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【報告】登録医 森先生の論文掲載

2016年10月17日テーマ:筑波総合診療グループ, 地域医療教育学講座

地域医療教育学 登録医の森隆浩先生が執筆された論文が、オンラインジャーナルに掲載されました。
http://link.springer.com/article/10.1007/s00198-016-3772-7

森先生から論文の概要をお送りいただきましたので、下記に掲載いたします。
ぜひお読みください!
———————-
2016年度の診療報酬改定において医薬品などの費用対効果評価が試行導入されており、2018年以降に本格的な導入が検討されていることから、今後日本において費用対効果の研究は更に重要となる。
本研究は著者がアメリカに在住していた時に開始した。著者にとって初めての費用対効果研究であり、解析終了まで2年、その後投稿から掲載まで1年以上と多大な時間と労力を費やした。
本研究で得たテクニックを活かし、現在は日本における骨粗鬆症に関する費用対効果研究を行っている。
———————-

スタッフ 片岡義裕

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出版記念インタビュー、ジェネラリスト教育コンソーシアムHPで紹介されました。

2016年9月24日テーマ:筑波総合診療グループ, ステーション, 地域医療教育学講座, 大学, 水戸, 未来医療GP

阪本氏らで執筆した書籍の出版を記念して行われたインタビュー記事を
(株)尾島医学教育研究所のジェネラリスト教育コンソーシアム ホームページで
紹介してくださいました。

amazon.co.jpの本書籍ページへジャンプします。

amazon.co.jpの本書籍ページへジャンプします。

 

日本の高価値医療 High Value Care in Japanより

Special articles High Value Care をもっとやってみよう~
第8章『ヘルスリテラシー向上のための 患者教育』P.117-125

阪本直人氏/ 筑波大学 医学医療系 地域医療教育学/附属病院 総合診療グループ

 

<インタビュー記事 概要>

出版記念インタビューでは、世界のHigh Value Careに関連した動きを紹介しています。
また、担当章「ヘルスリテラシー」の話題では、市民の誰もが持つべきライフスキルの1つである
ヘルスリテラシーが、健康維持やリスク回避だけでなく、医療を受ける際の意思決定にも重要であること。
さらに、健康や病気の「原因の原因」ともいえる、健康を左右する環境といった、
健康の社会的決定要因をコントロールできる能力としてのヘルスリテラシーが、
近年日本でも重要視されていることなどが、分かりやすく紹介されています。

本書と合わせてお読みいただくと、さらにこのテーマを深く理解できる内容となっております。

ジェネラリスト 教育consortiumホームページより

ジェネラリスト教育コンソーシアムHPにジャンプします

 

V.9 日本の高価値医療 High Value Care in Japanは、絶賛発売中です!

次作 V10. 日本の診療ガイドラインは、近日中に発売予定です。

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阪本ら執筆の『ヘルスリテラシー』が「情報管理」ジャーナルで紹介されました。

2016年8月3日テーマ:筑波総合診療グループ, ステーション, 地域医療教育学講座, 大学, 未来医療GP

 

阪本ら執筆の『ヘルスリテラシー:健康教育の新しいキーワード』が、
『情報管理』ジャーナル Vol. 59 (2016) No. 5 p. 352にて、紹介されました。

 

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J-STAGE該当ページにジャンプします。

 

本雑誌より抜粋してご紹介いたします。

 

『本書はこれまでにありそうでなかった,ヘルスリテラシーについての本格的な専門書であり,
入門書である。
「このような本を待っていた」と喜ぶ(筆者も含めて)読者は多いだろう。
各分野の第一人者による各章のレビュー,引用・参考文献,多彩な図表や写真(モノクロ),コラム,巻末索引など,読みやすく中身が濃いので,どの章から読んでも新たな発見がある。・・・

 

団塊世代が後期高齢者に達する医療の2025年問題まで10年を切り,地域包括ケアシステムが急ピッチで整備されてきた。
「健康格差」という言葉をメディアで見かけることが増えたが,医療情報に携わる立場からは,エビデンスのある医学・健康情報をどう提供するかは喫緊の課題である。・・・』

 

 

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ヘルスリテラシー :健康教育の新しいキーワード 福田 洋 (編集), 江口 泰正 (編集), 中山 和弘 (著)    amazon.co.jpへジャンプします。

 

 

総合診療グループ 家庭医療専門医・指導医/地域医療教育学 講師  阪本直人

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「一歩進んだアルコール問題への対応方法~SBIRT」講演

2016年7月4日テーマ:筑波総合診療グループ, 地域医療教育学講座, 大学

講演中の吉本先生

講演中の吉本先生

6月28日に、第183回保険・医療・福祉に関する勉強会において、地域医療教育学の吉本尚先生の講演がありました。

今回のテーマは、一歩進んだアルコール問題への対応方法~SBIRT~でした。

SBIRTとは、アルコール問題への対応を効果的に行うための枠組みのことで、具体的にどのように行うのかを含め、一から学ぶよい機会になりました。特にSBIRTのS(スクリーニング)について、CAGEクエスチョンとAUDITなどのツールについて学び、実際に聴衆が二人一組でワークを行いました。

実際にワークしてみると、私の場合、月1回程度の機会飲酒のため、全く問題にならないと思ったのに、意外と点数が高くなることに驚きを感じました。月1回でも飲んでいる量が多ければ、当然危険な飲酒に入ってくることが分かったので、今後気をつけないといけないなと思いました。

私は日頃、薬剤師をしていて、患者様で飲酒する人には、必ず頻度と一回量を聞くようにして薬歴に書き留めています。これからは、今回の講演で学んだことを活かして、スクリーニングをして、短時間の情報提供や患者様の現状の課題に寄り添えるようになっていきたいと思いました。

本日の内容は、日頃の私の業務にすぐ活かせる内容で、実際に体験できてとても有意義な時間を過ごせました。吉本先生のアルコールのレクチャーを聞いたことがない人も、次の機会はぜひ聞いてみてください!

大学院生・薬剤師 佐藤卓也

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【動画で紹介】総合診療医の専門性や守備範囲、活躍の様子について

2016年6月15日テーマ:筑波総合診療グループ, ステーション, 地域医療教育学講座, 大学, 筑波メディカルセンター病院, 水戸, 未来医療GP

日本プライマリ・ケア連合学会 制作ビデオが、2016年6月11日に公開されました。
いま日本の医療で期待される専門医のひとつ「総合診療医」を解説、紹介する映像です。
総合診療医の専門性や守備範囲、活躍の様子をご覧ください。

日本専門医機構HP「総合診療専門医概要」より、抜粋・編集

国民に質の高い医療を提供するために、わが国のすべての専門医制度が大幅に変更され、
新しい専門医制度が2015年度医師国家試験合格者から適応されることになりました。
2017年度から日本専門医機構が認定する専門研修プログラムが開始されます。

新制度では「従来の基本診療領域に総合診療専門医を新たに加えることとする」という大きな制度改革がありました。
この総合診療専門医は様々な学会や組織の経験と知を統合しながら、新しい総合診療専門医像を
ある意味オールジャパンで創生していくことを目指し、
本機構内に新たに「総合診療専門医に関する委員会」を立ち上げ、十分かつ慎重に審議して参りました。

そして、総合診療専門医を「主に地域を支える診療所や病院において、他の領域別専門医、一般の医師、
歯科医師、医療や健康に関わるその他の職種などと連携し、
地域の医療、介護、保健など様々な分野でリーダーシップを発揮しつつ、
多様な医療サービスを包括的かつ柔軟に提供する医師」と定義し、
この総合診療専門医に求められるコアコンピテンシー(核となる能力)として、
①人間中心の医療・ケア、
②包括的統合アプローチ、
③連携重視のマネジメント、
④地域志向アプローチ、
⑤公益に資する職業規範、
⑥診療の場の多様性、
の6つを提示致しました。
この度ホームページに「総合診療専門医」に関するタブを追加し、
「総合診療専門医」に関する資料(総合診療専門研修プログラム整備基準、
総合診療専門医専門研修カリキュラム(案)、研修手帳(案)、
研修指導医マニュアル(案)など)を掲載する事になりました。

 

 

つくば総合診療グループ 指導医 阪本直人

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学会発表報告 その2

2016年6月14日テーマ:筑波総合診療グループ, 地域医療教育学講座

大学院生(修士2年)の松下です。

6月11日、12日の2日間、東京の浅草にて日本プライマリ・ケア連合学会学術大会が開催されました。そこで、人生初の学会発表(口演)を行ってきました。

普段あまり緊張することの無い私ですが、今回ばかりはとても緊張しました。
私の発表内容は多職種連携をテーマにしたもので、薬剤師が診察前に病歴聴取を行うことで、医師の診察時間を短縮できるか?というものです。

発表中は緊張していて、自分で何を話したかよく覚えていませんが、発表終了後に、聞いてくださった他の大学の先生から、「発表内容も斬新で、研究デザインもしっかりしていて素晴らしいですね!」と、この上ないお褒めの言葉を頂くことが出来ました。

このような発表ができるようになるまで、ゼロから私を指導して下さった先生方や大学院生の皆様に本当に感謝しています。

また、学会ではたくさんの医療機関での取り組みを見ることが出来て、多くの刺激をもらってきました。もっと感受性豊かに研究を進めていきたい、と心から思える経験でした。

大学院生 松下 綾

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【日常の風景シリーズ】大学院リサーチセミナー

2016年6月7日テーマ:地域医療教育学講座, 大学

リサーチセミナーの様子

リサーチセミナーの様子

毎週金曜日の14:30~17:00に、地域医療システム研究棟にて、大学院 地域医療教育学分野のリサーチセミナーが行われています。

セミナーでは修士および博士の大学院生が持ち回りで研究の進捗報告を行い、それに対して指導教員の先生方からのコメントを頂き、また大学院生同士のディスカッションも行います。

当教室の大学院生は医師だけでなく、理学療法士や薬剤師、柔道整復師などさまざまなバックグラウンドを持っており、研究テーマも多岐にわたっています。様々な研究について、大学院生同士で意見交換できる機会は、とても貴重な学びの場になっています。

4月には、新入生3名(博士課程2名、修士課程1名)を迎えて、また、新たな視点からのコメントをもらうことができ、ますます、活発なディスカッションになっているように思います。

博士課程4年 河村 由吏可

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【出版記念インタビュー】日本の高価値医療 High Value Care in Japan

2016年5月27日テーマ:筑波総合診療グループ, ステーション, 地域医療教育学講座, 大学, 未来医療GP

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日本の高価値医療 High Value Care in Japan (ジェネラリスト教育コンソーシアム) 徳田安春 (著, 編集) amazon.co.jpへジャンプします。

 株)尾島医学教育研究所より、2016年5月11日 出版

 

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著者:阪本、インタビュワー:片岡

 

今回は、日本の高価値医療 High Value Care in Japan  (ジェネラリスト教育コンソーシアム)  徳田安春 (著, 編集)の出版を記念して、
片岡より、同僚の阪本直人氏に話を聞いてみました。

どうぞお付き合いください。

 

【この書籍について】

 

片岡:

まず、この本について紹介してください。

阪本:

 はい。

ジェネラリスト教育コンソーシアムが、世に提言してきたシリーズ本の9巻目になります。

今回は、日本であまり行われていない「高価値医療 High Value Care」を、より積極的に医療現場に取り入れていきましょう。

それと同時に、日本でよく行われている「低価値医療 Low Value Care」を皆で、廃止していきませんかと、提言している内容となっています。

 

 

片岡:

世界的に、「医療の質を国民を交えて見直そう」という動きがあるのですか?

阪本:

米国の国民医療費の総額のうち約3分の1は「Low Value Care」であると米国の医療経済学者によって指摘されております。
そこで、
米国に続き、カナダや英国、スイスなどでも、低価値なケアをリストアップして、医師と患者の双方に対して、その適応を「再考」するように促す活動が始まっています。

すべての国の医療に、Low Value Careはあると言われております。

 

 

片岡:

日本も例外ではないと。

阪本:

そうです。

そこで、徳田安春先生、藤沼康樹先生ら率いるジェネラリスト教育コンソーシアムが中心となり、

日本であまり行われていない「High Value Care」と、日本でよく行われている「Low Value Care」サービスを取り上げ、

そのLow Valueリストのなかで「避けるべき・止めるべき」ケアの優先順位を決定しようと動き出しました。

 

 

片岡:

本書の構成は、どのようになっているのですか?

阪本:

前述の「High Value Care」、「Low Value Care」に関して、テーマごとに分担執筆した記事が中心で、

先日、全国から第一線で活躍する医師が集まり、Low Value Care をテーマにディスカッションを行ったのですが、その内容をまとめ、提言した内容も記載されています。

さらに、巻頭特集では、国内外のChoosing Wiselyに関する動向について、海外視察レポートも交えて掲載されており、かなり読み応えのある本になっていると思います。

 

 

【阪本担当章、『ヘルスリテラシー向上のための患者教育』について】

 

片岡:

阪本氏が担当した章、『ヘルスリテラシー向上のための患者教育』について教えてください。

阪本:

これは、主に医師を対象にしたヘルスリテラシーに関する、いわば総説です。

ヘルスリテラシーに関するエビデンスや『ヘルスリテラシーが十分でない』患者さんへのサポート手段の実際を、症例を交え紹介しています。

 

 

片岡:

ちなみに、ヘルスリテラシーとは、具体的には、どういうことをいうのですか?

阪本:

そうでした。ヘルスリテラシーの説明が先でしたね。

ヘルスリテラシーとは、

健康情報を獲得し、理解し、評価し、活用するための知識のことで、さらに、意欲や能力も含めます。

これにより、日常生活におけるヘルスケア、疾病予防、ヘルスプロモーションについて、判断したり、意思決定をしたりして、生涯を通じて生活の質を維持・向上させることができるもの1,2)と定義されています。

分かりやすくいうと、中山和弘 先生は、「健康を決める力」と提唱されています。

 

 

片岡:

かなり幅広いですね。
知識だけでなく、情報の判断や実際の生活に活かす能力も含めているところが、ポイントなんですね。
なお、ヘルスリテラシー(Health Literacy)が低いと、どのような問題を引き起こすのでしょうか?

阪本:

ヘルスリテラシーが低い集団では、受診や入院回数が増えるなどによる医療リソースの消耗や健康アウトカムの悪さなど、【表1】に示すような悪影響を幅広く生じさせることが分かってきています。

さらに、経済的には、全米で年間11~25兆円相当のダメージを与え、将来は160~360兆円と予測する報告3)もあります。

 

【表1】

Low HLがもたらす影響2e

 

片岡:

かなり広範なダメージを与えうるものなのですね。

国内外で、ヘルスリテラシーに関して、どのような議論が展開されているのですか?

阪本:

世界では、現在、アメリカ、ヨーロッパを中心に、ヘルスリテラシーに関連する研究が盛んに進められています。

日本では、石川ひろの先生、中山和弘先生らが、素晴らしい研究や知見を活発に発表されています。
当講座も一般住民を対象にしたヘルスリテラシー研究を行っております。

アメリカでは、米国健康政策の指針である Healthy People 2010にヘルスリテラシーが盛り込まれ、国をあげた健康づくりの指針に採用され、引き続き、Healthy People 2020にも採用されています。

 

このことからも分かるように、ヘルスリテラシーは、市民の誰もが持つべきライフスキルの1つでもあり、健康に関する知識や判断力を持つことは、健康維持やリスク回避にも必要ですし、医療を受ける際にも、患者家族が、意思決定にも参加できるようになることで、より納得のいく選択が得られるようになります。

 

さらに、健康や病気の「原因の原因」ともいえる、人々のライフスタイル、効果的なヘルスサービスの活用、健康を左右する環境といった、健康の社会的決定要因もコントロールできる能力としてのヘルスリテラシーが、重要視されるようになっています。

そのため、国民のヘルスリテラシーを向上させることは、アメリカの国家戦略の1つとして、位置づけられています。

 

 

片岡:

そのような背景もあって、「High Value Care」の章にヘルスリテラシーが取り上げられたのですね。

ただ、これまで、日本の医学雑誌や書籍では、ヘルスリテラシーを扱った記事は、見たことがないように思いますが・・・。

阪本:

そうなんです。

医師向けの書籍として、取り上げられたのは、今回が初めてだと思います。

この書籍の制作段階で、徳田先生より、「High Value Care」 を実践してゆく際にも必要不可欠となるヘルスリテラシーについて、大変光栄なことに、私へ執筆依頼があり、担当させていただきました。

 

 

片岡:

これだけ重要な概念にも関わらず、日本であまりヘルスリテラシーに関する概念が、まだ広まっていないのは、なぜでしょうか?

阪本:

ヘルスリテラシーに関する日本語で書かれた書籍は、現在のところ、極めて限られているのも、その原因の1つかと思います。

 

 

片岡:

ヘルスリテラシーは、全ての医療従事者が理解しておく概念ですよね。

阪本:

ええ。

それどころか、健康全般に関わることですので、医療現場で働く人だけでなく、企業の社員や一般の方にも広く知っていただきたいと思っています。

 

そこで、別の書籍の話になるのですが、医療従事者、及び医療系学生、さらに、一般の方にもお読みいただける、日本で初めてのヘルスリテラシーの教科書作りにも参加させていただきました。(こちらの記事をご参照下さい)

 

 

片岡:

皆でヘルスリテラシーを理解し、互いに助けあって、安心して健康的な生活が送れるようになったり、病気ともうまく付き合ってゆけるようになったりするといいですね。

 

【読者へのメッセージ】

 

片岡:

最後に、ヘルスリテラシーに関して、読者へのメッセージなどありましたらお願いします。

 

阪本:

このヘルスリテラシーという概念そのものは、医療従事者の誰もが、なんとなく持っている概念に近いものですので、理解しやすいと思います。

そもそも、ヘルスリテラシーという言葉を1997年にジャカルタ宣言でWHOが採択し、Don Nutbeam氏が普及させようとした背景には、ヘルスケア・プロフェッショナルの間で、そして、市民との対話を推進させるために、互いに概念を共有しやすくするための用語として、この”ヘルスリテラシー”を用いたのです。

 

このヘルスリテラシーの章を読まれた医師の皆さんには、まずは、医師の中でヘルスリテラシーという概念を広めていただきたい。

そして、医師だけでなく、多くの医療従事者とも、このヘルスリテラシー概念を広く共有していただければと思っております。

もちろん患者さん、そして、市民の皆さんとも。

 

医療の現場では、この章を読んでいただき、セルフケアの指導や、慢性疾患に関するセルフケアを支援する際などに、「この患者さんのヘルスリテラシーは、・・・」という発想を多職種で共有し、支援へとつなげてゆくためのきっかけとして活用していただければと思います。

 

 

片岡:

分かりました。私も同僚に共有してみたいと思います。

今日は、ありがとうございました。

阪本:

ありがとうございました。

 

 

  1. Sorensen et al.  Consortium Health Literacy Project European. Health literacy and public health: A systematic review and integration of definitions and models. BMC Public Health 2012, 12:80
  2. 中山和弘.基調講演 ヘルスリテラシー=健康を決める力とつながり. KENKO KAIHATSU 2013;18(1).18-49
  3. Vernon, J. A., Trujillo, A., Rosenbaum, S., & DeBuono, B. (2007). Low health literacy: Implications for national health policy. Washington, DC: Department of Health Policy, School of Public Health and Health Services, The George Washington University

 

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【5/28申し込み開始】 家庭医療学夏季セミナー つくば関連セッションのご案内

2016年5月26日テーマ:筑波総合診療グループ, ステーション, 地域医療教育学講座, 大学, 未来医療GP

2016年 8月6日(土) ~ 8月8日(月)に湯河原で行われる、
日本プライマリ・ケア連合学会の「学生・研修医のための家庭医療学夏期セミナー」にて、
筑波大学総診グループの先生方が、全部で3つのセッションを担当されます。

申し込みは5月28日(土)の午前0時(つまり金曜の深夜!)から始まるとのことですが、セミナーの人気が高く、
例年すぐにいっぱいになるとのことですので、申し込みをされる方はお早めにどうぞ!

以下、セミナーのホームページよりセッションの内容を引用します。
どれも非常に興味深そうな内容ですので、ぜひご応募ください!

 

【医療面接で体験!患者中心の医療の第一歩】

山本 由布  笠間市立病院/筑波大学総合診療グループ
高橋 弘樹  筑波大学総合診療グループ
中野 寛也  筑波大学総合診療グループ
劉 彦伯   筑波大学総合診療グループ
竹内 優都  筑波メディカルセンター病院
任 明夏   筑波メディカルセンター病院
宮崎 賢治  筑波メディカルセンター病院
任 瑞    大和クリニック

「患者中心の医療の方法」とは、家庭医にとって身につけておくべき大事な臨床技法のひとつです。
このセッションでは、その始めの一歩を学びます。この視点を持つと、患者さんと上手くいかないと思った時や、診察後に違和感やもやもやを感じた時の、解決の糸口になるかもしれません。
日々の出来事から診療に至るまでの場面を例に挙げ、できるだけ具体的に、かみ砕いて伝えられればと目下格闘中です。ロールプレイが苦手な方もお待ちしています。
患者中心の医療って何?と思ったあなた、医療現場だけでなく、最近学校や家庭(?)でも人間関係がうまくいかず元気が出ないあなた、参加をお待ちしています。 ​

 

【診断学~つくば式 鑑別診断入門~】

五十野 博基 筑波大学附属病院 総合診療グループ  水戸協同病院 総合診療科
上田 篤志 筑波大学附属病院 総合診療グループ  水戸協同病院 総合診療科
佐久間 崇文 筑波大学附属病院 総合診療グループ  水戸協同病院 総合診療科

鑑別診断の挙げ方、考え方は経験していけばわかるもの?今年も、筑波大学総合診療グループと水戸協同病院が鑑別診断のノウハウを皆さんに伝授します!
診断学は大学の講義で何となく教わっていたとしても、実際の臨床現場の設定で実践していかなければ身に付きません。そして鑑別診断は、臨床現場では患者さんからの問診や身体所見でリアルタイムに動いていきます。
鑑別診断の考え方がわかれば、きっと明日からの外来実習や外来研修が楽しくなること間違い無しです!​

 

​【産業医を体験しよう!~「働く」を考慮した全人的医療を考える~】

田中 完 新日鐵住金株式会社鹿島製鉄所安全環境防災部  安全健康室
友永 泰介 新日鐵住金鹿島製鉄所
井上 大輔 新日鐵住金鹿島製鉄所
阪本 直人 筑波大学地域医療教育学

一日3回処方、3交替勤務者はどう飲むのでしょうか?
職場を変えるよう指示したら、仕事を失う羽目に!?
働くことと治療することが、うまく合わずに悩む患者がいます。
医療職からすれば、治療は命を守ることだから当然最優先と考えますが、患者にとってみれば、働いてお金を稼がないと家族が路頭に迷う、或いは生きがいを失って生きている意味さえない、と考えて働くことを優先する場合があります。
働くことと治療することは両立できるのでしょうか?個人アプローチだけではありません。経済活動という仕組みで動く企業をうまく利用することにより、そこで働く人を健康にする健康経営という概念もあります。
「働く」を考えることで全人的医療を実践し、公衆衛生に貢献する、産業医の魅力を体験しよう!​

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モーニングレクチャー『理学療法士の魅力』

2016年5月26日テーマ:筑波総合診療グループ, ステーション, 地域医療教育学講座, 大学, 未来医療GP

本日は、理学療法士であり、我らが地域医療教育学 研究員の後藤先生から、モーニングレクチャーがありました。

医学生、シニアレジデント、大学院生(薬剤師)、スタッフドクターらが参加し、
参加者からは、「理学療法士って、こんなに面白いんだ!」などの感想が聞かれました。

さらに、「こういうの、夏期セミナーや日本プライマリ・ケア連合学会のワークショップとか、やった方がいいよね!」などの
反響があり、今後の展開が楽しみです。

次回も、別のテーマで後藤先生がレクチャ-してくれますので、こちらも楽しみです。

(阪本 直人)

 

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2016年度初回のリサーチセミナーが行われました

2016年5月2日テーマ:地域医療教育学講座

大学院生、指導教員のみなさん

大学院生と指導教員のみなさん

 

4月8日に、今年度初回のリサーチセミナーが行われました。

リサーチセミナーでは、地域医療教育学の大学院生がそれぞれの研究テーマについて
発表し、他の大学院生や指導医のみなさんから意見をもらい、ディスカッションをしています。

今年度は、新たに修士1名、博士2名の方が入学され、当日は活気にあふれるセミナーとなりました。
博士1年の渡邊さんからコメントをいただきましたので、
ぜひお読みください。

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4月よりお世話になります、博士課程1年の渡邊久実です。

私は、筑波大学で看護学、保健学を学んだ後、公衆衛生学修士をとり、今年から博士課程に進学しました。

修士では、地域在住高齢者を対象とした疫学研究や地域でのヘルスプロモーションの実装研究に取り組んでおり、この研究室で、さらに地域での健康維持に向けて医学的な研究の視点を身につけたいと思っています。

リサーチセミナーではいろいろな研究を皆様から学ばせていただくことができ、本当に勉強になることばかりです。

まだわからないことも多く、ご迷惑をおかけすることもあるかもしれませんが、一日も早く立派な一員になれますよう頑張りたいと思います。

ご指導の程どうぞよろしくお願い致します。

渡邊久実

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2016年4月21日(木)開催!医学生のためのつくば総合診療塾 ~特別編~

2016年4月13日テーマ:筑波総合診療グループ, ステーション, 地域医療教育学講座, 大学, 筑波メディカルセンター病院, 水戸, 未来医療GP

毎回ご好評を頂いております「医学生のためのつくば総合診療塾」。
これまでにも、総合診療の幅広い領域から様々なテーマを取り上げて参りまして、おかげさまで3年目になりました。

そこで今回は、3周年記念特別企画として、新進気鋭の産業医による「医学生のためのつくば総合診療塾」 “ 特別編 ” をご用意いたしました。
今年度も幸先のよいスタートになれば幸いです。

新日鐵住金(株) 鹿島製鐵所から現役産業医をお招きしての大変貴重な機会ですので、ぜひご参加下さい。

 

テーマ:「『働く』を考えることのできる医療人をめざそう」

クリックするとPDFで閲覧できます

クリックするとPDFで閲覧できます

皆さん、1日3回処方を、3交替勤務者はどのように飲んでいるか知っていますか?
職場に適応できていない人に、職場を変えるよう主治医が指示したら、職場では大変なことに・・・。
「働く」と治療を両立させるため、産業医は患者さんの職場や会社、ときに家族にまでアプローチし、「働く」をふまえた治療の実践を目指し、日々奮闘しています。

本セミナーでは、産業医が実際の現場で出会うことの多いケースを元にした事例を扱い、ケーススタディ方式で全人的医療の実践について学びます。
産業医が現場で何を考え、職場のリソースをどのように駆使して、全人的医療を実践しているのか?
ワークを通して「働く」ことを考える事のできる医療人を目指しましょう!

 

【担当講師】  新日鐵住金株式会社 鹿島製鐵所 安全環境防災部安全健康室 田中 完・井上 大輔
/ 総合診療科 阪本 直人

【  日   時   】  平成28年4月21日(木) 18:00~19:45
【 対 象 者 】  医学生全学年~研修医等(筑波大学以外も可)
/参加費無料・申込み先着順(空席がある場合に限り、当日参加可)

【  場   所   】  筑波大学附属病院 地域医療システム研究棟1階 遠隔教育討議室
(PDF裏面に地図を掲載しています)

 

 

※ お申込みは、開催日の1週間前までに以下にお知らせください。
筑波大学附属病院 総合診療医養成事業推進支援室
E-mail:mirai.iryo@un.tsukuba.ac.jp 電話:029-853-3339 (担当:早川)

文章:阪本直人

 

 

 

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北茨城市の市報に、何度も家庭医療センターの名前が挙がりました!

2016年4月8日テーマ:筑波総合診療グループ, ステーション, 地域医療教育学講座, 大学, 未来医療GP

 

北茨城市報201604

家庭医療センターの名前が書かれた市報の数々

この4月から、北茨城市民病院附属家庭医療センターを主に研修するレジデントとして初めて、チーフ1年目の海老原先生がやってきてくれました。これまでは市民病院が中心で、週3コマの診療所研修でしたが、今年は半年ごとに病院中心と診療所中心をたすきがけしながら、年間を通して家庭医療研修を続けるプランになっています。市民病院にいる高橋先生も昨年に引き続き家庭医療センターの訪問診療を半日担ってくれるので、より活気づいた感じがします。

そんな家庭医療センターが、さっそく市報にたくさん登場していました。3月末に発行された市制60周年特別号では年表だけでなく締めくくりの「そして未来へ」というコーナーで、写真付きで大きく紹介されました。市報の4月号では、市長の施政方針の中に「家庭医療センターにおける在宅医療を一層充実」、北茨城市人口ビジョン・創生総合戦略の概要の中に「家庭医療センターの運営」という言葉があり、副市長退任あいさつにも実績として取り上げられていました。スタッフの中では「市民病院より登場回数が多い!」と話題になりました(私が言ったことですが)。

これまでの10ヶ月間も、診療以外に様々な協議会の委員や講演などを皆で分担して頑張ってきましたが、これからも大きな役割を期待されていることを改めて実感しました。また、家庭医療センターを大事に思ってもらえていることも感じられました。

新体制となった家庭医療センターを今後ともどうぞよろしくお願いします!

2016年4月8日 北茨城市民病院附属家庭医療センター 宮澤 麻子

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2016年6月10日(金)ワークショップ開催します。『ICT の活用でヘルスリテラシー格差は減らせるか?』

2016年4月7日テーマ:筑波総合診療グループ, ステーション, 地域医療教育学講座, 大学, 未来医療GP

ヘルスリテラシーにご興味る方、必見!

 

2016年6月10日(金)夕方より『ICT 活用ヘルスリテラシー格差減らせ?』をテーマに
第7回日本プライマリケア連合学会学術大会(東京浅草) プレコングレスワークショップを開催いたします。
ご興味、お早めに参加お申し込み下さい。

 

ワークショップ事前登録受付期間:2016年4月28日(木)まで

 

各ワークショップが定員になり次第、随時締め切らせていただきます予めご了承下さい。(すに満席WSが出ています)
なお、学術大会前日夕方になります、宿泊や交通確保などもお間違いないようお願い申し上げます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
 

 

—————————————————下記詳細情報—————————————————

 

第 7 回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会(2016 年 6 月 11 日(土)~12 日(日))
浅草ビューホテル、台東区立浅草公会堂、台東区民会館、東京都立産業貿易センター台東館
【企画名】 情報通信技術ICT活用ヘルスリテラシー格差減らせ
【日時】 2016 年 6 月 10 日(金) 17:10~18:40
【会場】 第 12 会場 (台東区民会館 9 階 ホール(1) )

 

【企画責任者】 近藤尚己 (1)
【座長】阪本直人(1)
【演者】近藤尚己(2)、阪本直人(1)、佐々木由紀(2)
【コメンテーター】長谷田 真帆(2)
1:筑波大学 医学医療系 地域医療教育学 講師/総合診療グループ
2:東京大学 大学院医学系研究科 保健社会行動学分野

 

【定員】 72 名

 

【開催目的】【ねらい】
ヘルスリテラシー健康情報を収集・理解・活用ことによって生活質向上に向けた適切な意思決定が能力こと(世界保健機関定義)。
貧困など社会背景によ健康格差理由一つにヘルスリテラシー格差があことが知られてい
近年、インターネットやスマートフォンなどICT普及により、健康情報アクセスが格段に向上した。
ICTヘルスリテラシー改善へ貢献が期待され一方、玉石混交な健康情報
ヘルスリテラシー低い人々を翻弄してい現状が危惧されてい
国内外ICTを通じたヘルスリテラシー向上に向けた取り組み現状を紹介したち、参加者を交え議論したい。
概要:
①講演「ICT活用したヘルスリテラシー向上取り組み現状と課題」
②講演「そ健康格差対策へ応用に向けた理論と方法」
③取り組み事例紹介
④グループ討論
 

【プレコングレスワークショップ 18:抄録PDFこちら】

 

 

第7回学術大会ホームページにジャンプします

 

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後藤さん(博士3年) 学長賞受賞!

2016年3月28日テーマ:地域医療教育学講座

3月25日に、地域医療教育学 博士3年の後藤亮平さんが、学長賞を受賞されました!

昨年のプライマリ・ケア連合学会学術大会での日野原賞受賞をはじめ、

「優れた研究発表を行い、高い評価を得るなど顕著な効果をあげた」とのことで、

今回の受賞となりました。

ご本人からのコメントと、写真を掲載せていただきます。

本当におめでとうございます!

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この度、学位授与式で筑波大学学長より学長賞を頂きました。

これまでご指導を頂きました先生方、院生の皆さまに心より感謝申し上げます。

4月からは筑波大学の職員として新たなスタートをきる事になりますが、

これまでの受賞等に甘んじることなく、一歩ずつ進んでいけるよう

研究・教育ともに頑張っていきたいと思います。

皆さま、今後ともよろしくお願い致します。

後藤亮平

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後藤くん学長賞

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日経メディカル2016年3月号に林先生のカンファで学ぶ臨床推論掲載!

2016年3月24日テーマ:筑波総合診療グループ, ステーション, 地域医療教育学講座, 大学, 筑波メディカルセンター病院, 水戸, 未来医療GP

われらが筑波メディカルセンター病院総合診療科、林幹雄先生が登場の、日経メディカル(2016/3)「カンファで学ぶ臨床推論」。

今月号は【主訴:67歳男性。発熱と下痢】です。20160324_120840

医学生3名、研修医5名の8名が出席してのカンファレンスを林先生が司会進行する様子を、会話のやり取りを再現する形で掲載されています。

林先生が、医学生、研修医の質問にも丁寧にこたえている様子が伝わります。

ぜひ掲載誌、ご覧下さい!!!

 

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第11回家庭医療学冬期セミナー ワークショップ『できていますか?総合診療医/家庭医らしいEnd of life care』の報告

2016年3月23日テーマ:筑波総合診療グループ, ステーション, 地域医療教育学講座, 大学, 水戸, 未来医療GP

後期研修医2年目の久野です。今回、私たちレジデントで『できていますか?総合診療医/家庭医らしいEnd of life care』というワークショップ(WS)を行いました。今回のWSは、2月20日、東京大学本郷キャンパスで開催された第11回家庭医療学冬期セミナーのWSの1つとして行われたものです。WSの企画・運営は、筑波大学総合診療科と筑波メディカルセンター病院緩和医療科のレジデントが中心となって行いました。そこで、当日の様子やWSの運営を通して学んだことについてご報告します。

写真1 ワークショップのタイトルスライド

ワークショップのタイトルスライド。デザインは「あたたかさ」をイメージしたオリジナルです。

 

・ワークショップの概要、当日の様子
今回のWSは、「緩和ケアの視点を学び、患者さんにとってより良い死とは何かを考えてみよう。」という目標のもと、患者さんの喪失を体験するワークをしたり、シナリオを通してEnd of lifeの患者さんの問題点や緩和ケア的なアプローチを学ぶディスカッションを行いました。まず、アイスブレイキングで自分の宝物を話すことから始め、「じゃんけんに負けると、自分の大切なものを失う」というゲームを通して患者さんの気持ちを疑似体験し、徐々に臨床現場の話に深めていきました。WSの後半では、「予後が月単位のがん患者さんが、病気の進行を受け入れられず、家族も医療者へ怒りを示したため、治療介入が進まない」というケースをもとに、「よりより良い死とは何か」を考えていくためのヒントを学ぶレクチャーを行いました。

レクチャーでは、緩和ケアの視点として「否認」という喪失に対する反応を取り上げ、そのような反応自体がケアの対象であることについて触れました。「否認」は、家庭医療ではあまり馴染みのない言葉ですが、「受け入れがたい感情を拒否する」という喪失に対する防衛規制のひとつです。基本的には支持的な介入を行っていきますが、「否認」によって意思決定や治療介入が阻害される場合は介入が必要となります。WSのまとめでは、緩和ケアの「喪失」や「否認」という概念が、『患者中心の医療の方法』の「健康観」に当たり、それらをケアすることで、患者さん一人ひとりの「より良い死」について考えていく糸口となるのではないかというメッセージを伝えました。

参加者の方から、「ワークを通して患者さんに喪失の感情があることを実感できた」「学んだことを診療に活かしていきたい」などの感想をいただ、スタッフ一同嬉しく思いました。

参加者の皆様には、当日のディスカッションで活発に意見を出してもらい、事前・事後アンケートにも丁寧に回答していただき、一緒にWSを作って下さったことに心より感謝いたします。

写真2

ディスカッションの様子

・ワークショップの運営を通して学んだこと
今回、私自身が3か月の緩和ケア研修を行った経験を活かして、主体的に準備に関わりました。特に悩んだことは、「WSで何を伝えたいか」についてであり、メンバー全員で「このWSだからこそ、伝えられること」について納得するまで話し合いました。また、これまで総合診療科のレジデントで行っていた教育勉強会で学んだ「ガニエの9教授事象」いう学習モデルにもとづいた構成にするなど効果的な教育手法を意識しながら内容を練り、さらに事後アンケートでWSの改善点を振り返る過程が、より良いWS作りに重要であることを学びました。

緩和ケア病棟では、病状の変化の中で起こる、患者さん、ご家族の揺れ動く心情を一つひとつ汲み取り、スタッフ全員で細やかにケアしていくプロセスを大事にします。その一方で、長い治療経過の中で、今回のシナリオのように「否認」が強かったり、怒りが強く、時に対応困難となる患者さん・ご家族と遭遇することもありました。そのようなとき、患者中心の医療や家族志向ケアなどの「システムで捉える」家庭医療の知識を使って、「この患者さんはBPSモデルで考えてみよう」という頭に切り替え、家庭医療をうまく取り入れながら診療を行うことができました。このように「システムで捉える」家庭医療に、「個に焦点をあてる」緩和ケアの視点を取り入れると、「終末期でも、患者さんにできるケアはまだまだある」という気付きを得ました。

 

まとめのプレゼンの様子

まとめのプレゼンの様子

最後に、準備・運営を一緒に行ったスタッフの感想をご紹介します。

大北先生:「今回の経験で家庭医の先生方の考え方に触れられて大変勉強になりました。機会があればまた是非参加させていただけると幸いです。」

川島先生:「緩和医療の視点を、家庭医療の先生たちに知ってもらう機会になれたかなと思います。久野先生を中心に、教育手法に基づいて計画的にWSを作り上げたことで、目的通りに実施することができ、私たちもとても勉強になりました。」

東端先生:「クラスデザインシートは全体の把握やバランス調整にオススメです。セッションでは、伝えたいことを伝える難しさを改めて感じました。」

浜野先生:「家庭医療×緩和医療について深く、そして楽しく考えることができました。また、皆さんと一緒にWS作りたいです~」

以上です。
どこかでまた、このワークショップをできればという願いも持ちつつ、緩和ケアを実践できる家庭医になれるよう、学び続けていきたいと思います。ここまで読んでいただいて、ありがとうございました。

(筑波大学総合診療科 後期研修医 久野 遥加)

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