筑波大学附属病院総合診療科 ブログ

神栖済生会病院に行ってきました

2017年9月20日テーマ:筑波総合診療グループ, 神栖

(左から)筆者、細井先生、海老原先生

筑波大学総合診療科・利根町国保診療所の小曽根です。
先日、後期研修プログラム評価として、神栖済生会病院へ行ってきました。

つくばから車で約1時間半、利根川沿いをずーっとまっすぐ行った先に病院がありました。

ここで後期研修を行っているえびちゃんこと海老原先生と、指導医の細井先生に病院を案内してもらい、研修の様子などについても話してもらいました。

神栖済生会病院は、病床数179床で大きな病院ではありませんが、神栖市の医療の中核を担う病院であることは聞いていました。医師不足が深刻な地域とも聞いていたので、野戦病院的で医療者が疲弊しているようなイメージを勝手に抱いていましたが、大分違いました。

もちろん忙しかったり、重症だったり難しい患者さんがいて大変な場合もあるようですが、そこで働く内科の先生方はとにかく明るく楽しそうでした。一つには、現在は7人の内科医が毎朝一堂に会して内科入院患者のカルテレビューをし、夜間休日のオンコール制を実現しており、きちんとオフの時間が確保できていることが大きいようでした。

もう一つ印象的だったのは、地域で総合診療医に期待される役割の多さでした。細井先生は地域の多職種ともつながりを深め、定期的に訪問診療を開始していました。また、在宅および外来で緩和ケアを必要としている患者さんの存在にも気づき、対策を始めているとのことでした。総合医が常駐したことで、より細やかな地域のニーズにまで応えようと活動が始まっていることを感じました。地域で多職種との活動を広げていきたいと思っている人にとっては、とても魅力的なフィールドだと思いました。

さて6年目になったえびちゃん先生は、病院のあらゆるスタッフにえびちゃんと呼ばれ愛されていました。個人的には、医学5年生の実習で初めて海老原先生に会い、その後初期研修医1年目、後期研修3年目の大学研修、4年目の利根町での研修でご一緒しているのですが、今回改めてお目にかかり、どんどんと変化する様子がよく分かりました。どこでもスタッフに愛されるというのは、えびちゃん先生の人徳があってこそだと思いました。

ぜひみなさん、一度神栖に行ってみてください。茨城の他の地域とは異なった独特の地域性があり、地域志向のプライマリケア医にとっては大変魅力的に映ると思います。

神栖済生会病院ホームページ
http://www.kamisusaisei.jp/index.htm

文責:小曽根早知子

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「カミス『ココ』でずっと会議」開催しました!

2017年7月25日テーマ:筑波総合診療グループ, 神栖

会議の様子

神栖地域医療教育センター・神栖済生会病院の細井です。神栖市で、在宅医療を推進するために、「カミス『ココ』でずっと会議」を開催しましたので、報告します。

神栖市は人口10万人あたりの医師数が全国でも最も少ない地域の1つである鹿行地区に位置しています。訪問診療を行っている医師数も限られており、在宅療養をしている患者さんの数は、全国平均の1/10と圧倒的に供給体制が不足しています。国策により、「病院医療から在宅医療へ」の流れが押し進められるなか、このままでは、患者さんが住み慣れたまちでいつまでも暮らし続けることができなくなる可能性が高いと考えられます。

そこで、「神栖市でずっと暮らし続けるために、少ない医療資源の中でどのようにすれば在宅医療を維持・推進できるか、そのための課題・実現可能な解決策は何かを多職種で考えていこう!」というコンセプトの下、多職種連携会議を2017年6月末に開催しました。

※カミスココくん、というゆるキャラにちなんで会議名を決定しました。

カミスココくん ©神栖市

当日は実際に地域で働く医師や、訪問看護師、ケアマネージャー、薬剤師、理学療法士/作業療法士、ソーシャルワーカー、栄養士さんなど総勢80名を超える皆さんが参加してくださいました。

内容としては、神栖市内で在宅医療を行う上での困難・課題について、ワールド・カフェ方式で話し合いました。多職種で話合うことで、様々な課題が見えてきました。
例えば、「(在宅希望の患者がいるとき)どこに相談すればいいのかわからない」「導入前の職種間の情報共有が不足している」「在宅医療の知識が不足している」「少ない医師の中で365日24時間体制は難しい」などなど。それに対する具体的な解決策についても話し合いました。

開催後のアンケートでは、「多職種で話合い、理想ではなく、この今の神栖市の状況で実現可能な解決策を考えていくのは「チーム」という一体感がある」と、とても高評価を頂けました。今後さらに運営方法をブラッシュアップしていきたいと思います。
今回の会議では、在宅医療を導入する時期に困る事について議論しました。今後は年に4回の頻度で、在宅医療の維持期や市民への啓蒙についても課題や解決策を多職種で考えていく予定です。

本事業は、神栖市からの委託事業として行っています。多職種で考えた課題、それに対する実現可能な解決策を、行政と連携して次年度以後に実際に行い、どのように多職種の考え方・働き方が変わるか、さらにそこでみえてきた課題を見つけ、改善していく。その一連の過程を、アクションリサーチという研究方法で、分析していく予定です。それぞれの職種へのインタビュー調査も随時行っていきます。

何より患者さんたちが希望の場所で長く療養できるように、少しずつでも神栖市に「変化」が起きればいいと思っています。

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