CFMDレジデンシー東京との交流会 Day 1
2025年1月10日テーマ:サイトビジット, 筑波総合診療グループ
みなさんこんにちは。つくば家庭医・病院総合医プログラム専攻医1年目の福地晴彦と申します。2024年11月3日に日本医療福祉生協連合会「家庭医療学開発センター(Centre for Family Medicine Development:CFMD)レジデンシー・東京/近畿」と交流会を行いました。
今回交流会を行ったCFMDレジデンシー東京は東京、神奈川、埼玉3都県にまたがった研修ができる後期研修プログラムで、都市部の診療所を起点としているプログラムです。つくば総診の研修先の一つである水戸協同病院が共通の研修先となっており、私もCFMD所属の専攻医の先生と一緒に働く機会がありました。CFMDでは毎年、全国の家庭医療プログラムと交流するリトリートを実施されており、今回CFMDレジデンシー東京からお誘いがあり、筑波大学でつくば総診・CFMDリトリートを開催することになりました。
当日はCFMDから16名(うち専攻医7名+レジデンシー近畿の専攻医1名)の方がお越しになり、つくば総診からは26名(うち専攻医8名)が参加しました。お互いの施設紹介から始まり、双方の研修施設の特色やその地域ならではの医療的な課題など学ぶことができました。都市部と地方とでそこに住む人々の生活のスタイルや住居環境が大きく異なるため、必然的に生じる健康問題も異なることを改めて認識しました。
次に各プログラム1名ずつ専攻医が実際に経験した症例について発表し、専攻医が直面した課題や問題点について議論を行いました。つくば総診からは私が経験した、退院にむけて在宅調整の対応に苦慮した症例を発表させていただきました。ありがたいことに大変議論が盛り上がり、多くの先生方に質問やコメントをいただきました。他の先生方が経験した同様のケースについて話していただいたり、うまくいった対応例を教えていただいたり、あるいは私がどうして困難を感じたのか、私自身が認識していなかったような背景についてご指摘いただいたり、大変学びの多い時間を頂きました。CFMDの専攻医の方は聾唖の団地住まいの独居の高齢者の症例について発表されました。聾啞の方が認知症を発症したことで手話や筆談がうまくいかずに社会的孤立が加速してしまったケースであり、福祉や医療の観点から茨城では中々経験できない大変興味深い症例でした。
その後専攻医と指導医に分かれて交流会を行いました。どのような研修をしているのか、どういう将来を目指しているのか、研修している場所は違うものの目指すべき家庭医という目標は同じであり、志を同じくする仲間との交流を深めることができました。
今回の交流会を通じて、地域ごとの医療の差(格差ではなく差異という意味で)を学びました。はじめは都市部の方が地方と比べて多くの医療機関があり、交通機関も発達しているため、医療へのアクセスという点は優れていると考えておりました。しかしながら、今回の症例のように金銭的な余裕がないためサービスが利用できない、身体が不自由のため自宅から出られないといった方々も多くいることがわかり、一概に医療アクセスが良好とは言えないと感じました。一方茨城県はというと、山間部の集落ではふもとの医療機関に受診するために時間がかかる、県北や鹿行地域では夜間救急対応可能な医療機関の数が限られているといった医療アクセスの問題があります。医療アクセスの問題という括りでは地方も都市部も同じですが、その本質は地域によって異なっていることを改めて認識しました。他の地域の特性や健康問題について学ぶことでその差異を認識することができ、結果として自分の住む地域を客観的に理解することに繋がると思いました。
大変学びの多い素晴らしい交流会でした。今回の交流会を企画して頂いたCFMDレジデンシー東京の関係者の皆様、ご指導いただいた先生方にこの場を借りてお礼を申し上げます。
専攻医1年 福地晴彦