家庭医療学夏期セミナー セッション「医療にまつわるおカネの話」
2018年8月15日テーマ:筑波総合診療グループ
(「やっぱり学校では教えてくれない!?医療にまつわるおカネの話」セッション担当講師一同)
(寸劇の様子)
(グループディスカッションの様子)
毎年恒例の「学生・研修医のための家庭医療学夏期セミナー@湯河原」に講師として参加して来ました。
今回は記念すべき第30回で「原点」がテーマだったようです。
今年も筑波大学総合診療科からはいくつか講座を用意していましたが、自分は「やっぱり学校では教えてくれない!?医療にまつわるおカネの話」というセッションを担当しました。こちらは11月に行われる総合診療 ★ 家庭医療全国公開セミナーin Tsukubaでも出していた講座で、改変を重ねて3回目になります。
内容としては、医療費の概論レクチャーやクイズで楽しく学びながら、後半は入院費のDPC制度についてレクチャーを行い、実際に症例を計算するワークを行いました。一見生徒側はもちろん講師側にもややチャレンジングに思える内容ですが、我々には成功のカギを握る強力な助っ人がいます。ベテラン医療事務の芦野さん(さいたま総合診療医・家庭医センター)と前回DPCレクチャーを0から練ってくれた同じく医療事務の戸田さん(さいたま総合診療医・家庭医センター 今回は別セッション)です!セッションのコア部分は本当に頼りきりでしたが、とても安心して取り組めました。
今回は家庭医学セミナーで行う意義を参加者に感じてもらいたいという想いもあり、「患者の立場に立って医療費の考えよう」をテーマに内容を練り上げました。クイズでは、病気として同じ状態の患者でも金銭的背景や心理的背景によってマネージメントが変わるかといった内容を盛り込みました。各班の回答は皆異なっており興味深かったです。
8月6日の午前9時からのスタートで、医学生1ー6年生や初期研修医、看護学生、薬学部生、計34名と非常に多くの参加者にお越しいただきました。
導入の寸劇では、医療事務のいない夜間救急外来にて、肺炎で入院をさせようとした患者が医療費を気にして入院を渋ります。担当医師は入院費や検査費用について質問されるも答えられず自分の不勉強を嘆く、といったシチュエーションをみていただきました。
検査費用のクイズでは皆さん想像以上のリアクションで盛り上がってくれました。身近に行われている簡易な検査の点数の高さに驚かれたようです。
そして本セッションの山場であるDPC制度のレクチャーを乗り越えて、入院費を計算するワークに挑戦していただきました。
多くの班はこちらが想定していたよりも短時間で回答にたどり着き、ピタリ賞が続出する結果となったことは運営側としては嬉しい誤算でした。
もちろん今回のセッションでは計算を行えるようになることが目的ではなく、DPC制度の基本的な構造を知ることで適切な診断・検査・治療・記録(!)の重要性や、ある程度の検査費や治療費を知ることで患者の立場に少しでも立とうとすることの大切さを感じてもらうことが狙いでした。
参加した皆さんからは「入院費は思っていたより高い!」「これからは簡単に『検査しましょう』とは言えないと思った」「気になっていたが勉強する機会がなかったので参加して良かった」などの感想をいただき、アンケートでも高評価をいただきました。
医療費についてもテーマはこれから医療者になっていく学生や研修医にとって必ず必要でありニーズの高い分野であると再認識することができました。今後も色々と形を変えながら学びを提供していければと思っています!
チーフレジデント 上田篤