筑波大学附属病院総合診療科 ブログ

Night Session「家族志向ケア」

2015年1月30日テーマ:筑波総合診療グループ, 地域医療教育学講座

Night Sessionのテーマは「家族志向ケア」でした。
診察室で会う患者さんも、様々な家族の一員として、家族と互いにいろんな影響を与え合いながら生活している、
そんな患者さんが診察室に来ているんだ!ということを意識することで診療に幅や深みがでるというお話でした。

例えば、喘息発作を繰り返す子供の生活環境や家族の状況はどうか?(お父さんはタバコを吸わないか?)
例えば、うつ病の患者さんに薬を処方したが、次回診察のときに内服していなかった。(実は、母親が頭に効く薬は怖いから飲むなと言った。)
例えば、転倒契機の大腿骨頚部骨折でADLががくっと落ちてしまった人が自宅に帰るときになにを考えたらいいのか?(介護可能な人はいるのか?)

などなど、患者さんの家族についても気にかけていかないと診療が上手くいかない場面を紹介していただきましたが、
とても納得のいく内容でした。

Sessionの中で「家族図」の紹介がありました。患者さんを中心にその家族関係を図示するというものです。
家族構成のみを示す家系図のようなものとは違い、親しい家族関係なのか、敵対もしくは疎遠な関係なのかなども含めて図示するものです。
家族関係を視覚的に捉え、俯瞰するためにとても有効だということがわかりました。
今後も様々な家族背景の患者さんを見て行く事になると思うので、すこし困ったときや迷った時には
家族図を書いてみようと思いました。

広い視点で患者さんを捉えるということができるようになり、今後の診療の向上に繋げる事が出来ればと思います。


(レジデント 大澤さやか)

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浜野先生の論文がパブリッシュされました!!!

2015年1月29日テーマ:筑波総合診療グループ, 地域医療教育学講座

浜野先生の論文がGeneral Medicine に掲載されました!!!

Risk Factors and Specific Prescriptions Related to Inappropriate Prescribing among Japanese Elderly Home Care Patients

と題し、徳田先生とご一緒に、在宅におけるPolypharmacyや不適切投与について、複数施設の在宅患者におけるPolypharmacyや薬剤の不適切投与に関してお書きになりました。薬剤数が多い場合(今回は6剤以上に設定)、転倒歴などがある場合などは不適切投与の可能性があるということや、在宅患者でも3人に1人に不適切投与があるとのことです。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/general/15/2/15_117/_pdf

病棟業務のみならず、大学や病院の教育、会議などなど超ご多忙ななか、成果を残されていらっしゃる浜野先生に、周りも触発されます。本当におめでとうございます!

(スタッフ 堤円香)

 

 

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第2回つくば総合診療塾 「やってみよう!家族志向型アプローチ」

2015年1月27日テーマ:筑波総合診療グループ, 地域医療教育学講座

未来医療人GP企画医学生のための「つくば総合診療塾」第2回セッションが1月21日の夕方に開催されました。テーマは「家族志向型アプローチ」です。前回に引き続き遠隔中継で埼玉医大からWeb参加もいただきました。講師は大塚貴博先生です。

総合診療塾写真

セッションでは、大塚先生が研修中に病棟主治医としてかかわったケースを用いて討論を行ないました。80代の女性、急性疾患の治療の見通しがつき、退院について同居の長男さんに相談したところ、入院中にADL(Activity of Daily Living)の下がった母親を受け入れるのは難しいとのこと。近所に住む長女さんにも相談をしてみましたが、話の冒頭から「今はみれません!!」との言葉が聞かれ・・・。「さあ、皆さんだったらどのようにその後の家族面談を進めますか?」
グループ討論では、「お母さんが家に帰りたい思いをもう一度伝えたい」「長男と長女の関係が気になる」「長女の『今はみれない』・・の言葉が気になる。本当はお母さんの介護をしたいけど、なにか事情があるのでは?」などの様々な意見がだされました。

 

遠隔中継の様子

遠隔中継の様子

実際は、大塚先生が長女さんの思いを聞き始めたところ「定年までのあと1年の間にどうしてもやりとげたい仕事があるのです。それをおえてから母と一緒に住もうと思っているんです」との言葉が聞かれました。長女さんはキーパーソンであることもあらためてわかり、「(長女さんの思いや生き様に)そうだったんですね」と深く共感しながらのやりとりが続きました。一時施設に行くことも念頭に入れて、施設見学に行っていただきましたが、結局は長女さんが長男さんに「1年間なんとか家で(母親の介護を)頑張って欲しい」と説得して、家族で方針を決めてお母さんは無事希望通りに自宅へ帰られたとのことでした。

まとめのレクチャーで、「家族の木」を用いて、目の前の患者さんは一人でもその背後には木があり、多くの家族メンバーがいることをイメージしながら診療することの大切さを説明しました。大塚先生の「今回、長女さんの言葉の背景にある意味に関心を持ったことをきっかけに、家族の思いにアプローチすることができた。医師である自分が、バランスを失いかけていたこの家庭の「家族の木」にのぼり、娘さんのいる枝の傾きをちょっとだけ動かしてみたことが、家族自身でバランスをとり戻すきっかけになったんですね。」との解説に、参加者はなるほど~と納得と感動の表情を見せてくれました。振り返りでは、「家族を支える」ことの意味を具体的に知ることができたとの声も聞かれました。
次年度は本格的な総合診療塾のコース(計10回の予定)を開講します。是非ご注目ください!
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家族の木 松下明監訳.家族志向のプライマリ・ケア.シュプリンガー;2006.より転載

(文責 スタッフ 高屋敷明由美)

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植松小学校での喫煙予防教室(2015年1月22日)

2015年1月22日テーマ:筑波総合診療グループ, 地域医療教育学講座, 未来医療GP

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1月22日 神栖市の植松小学校の6年生に「たばこ」の話をしてきました。

前回の久野先生のブログ同様、タバコの害と依存性、そして、ピアプレッシャーについて話をしました。
1学年が100人以上だったので体育館にて行いました。

あいにくの雨で寒い中で尚かつパソコンの不具合もあり、始まる前はどうなることかと思いましたが、
元気に質問に答えてくれ、手伝ってくれた筑波大学の学生さん2人も盛り上げてくれたので、
私も緊張がとけ、楽しむことができました。

 

今回は、たまたま、同行してくださった神栖市の方が海外のたばこを持ってきてくださいました。
生徒さん達にとっては、グロテスクなタバコのパッケージがとても衝撃的だったようで興味津々でした。

クイズを交えながら、遊びながら、身体を動かしながら学んでもらいましたが、
彼らが今日の話を自分なりに理解し、まわりの人にアウトプットしてくれればいいなと感じました。

 

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植松小学校前で、医学生と

今回、このような講演を初めて行いましたが、話し方・テンポ・抑揚の付け方など、
学ぶ点が多くありました。

幸いもう1度行う機会があるため、内容も含め次回は自分なりの工夫ができたらと思います。
貴重な機会をありがとうございました。

 

 

つくば総合診療グループ 後期専門研修医 高橋

編集:阪本直人

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大西先生レクチャー ~Family Medicine History in America~

2015年1月20日テーマ:筑波総合診療グループ, 地域医療教育学講座

Oregon Health and Science University(オレゴン健康科学大学)の家庭医療科の大西恵理子先生による、「Family Medicine History in America」をテーマにしたレクチャーが行われました。

今回はアメリカにおける医学の発展と、それに伴うFamily Medicineの変遷について教えていただきました。


ヨーロッパに比べて歴史の浅いアメリカですが、アメリカの急速な発展に合わせて急速に医学が発展するなかで医学は細分化・臓器別化が進み、科学的視点の多い臓器別分野に比重が置かれるようになりました。その中で少数の医師がFamily Medicineの必要性を訴え、学会を立ち上げたり教育グループを立ち上げるなどし、その後発展させていったとのことでした。なかなか今までこういった歴史について学ぶ機会はなく、Flexner report、Grandfather clauseなど知らない知識や単語もたくさん登場し、勉強になりました。

レクチャー中に、日本の家庭医療の発展の歴史についても前野教授に補足していただきました。日本の家庭医療も今まさに発展途中ですが、両国の家庭医療の発展の姿には共通点がとても多く、まるで日本がアメリカを20~30年遅れで追いかけているかの様でした。前野教授からは最後に「このまま日本がアメリカのFamily Medicineを追いかけるように発展すれば、日本の家庭医療の将来は明るいですね」とのコメントも。

我々レジデントも更に研鑽を積んで、日本の家庭医療の発展に少しでも貢献したいですね。

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S1 稲葉 崇

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笠間市で慢性腎臓病予防教室を行いました(2015年1月19日)

2015年1月19日テーマ:筑波総合診療グループ, 地域医療教育学講座

皆さんこんにちは。笠間から初めての発信です。

 

1月19日に岩間保健センターで「慢性腎臓病予防教室」を行いました。
市の事業として笠間市立病院に依頼があり、せっかくの機会という事で担当させていただきました。
学生さん向けのセミナーには出た事がありますが、市民の皆さま向けの健康教室は初めての経験で、
どうしたら興味を持って聞いてもらえるか、昼下がりに眠らないで座っていただけるか、考えに考えて内容を組みたてました。
気を付けた所は分かりやす い言葉を使う事と一方的なレクチャーにならない事。
できるだけ会場の声を聞きながらできるよう、身近な話題の質問や三択クイズを織り交ぜました。

 

そして緊張の本番。
対象は健診でごく軽度の腎機能障害を指摘された成人の方で、30人ほど集まっていただきました。
始まってしまえばあっという間の一時間でしたが、慢性腎臓病には生活習慣病の予防と改善が大切!
という事を強調して、会を締めくくりました。
こちらの説明に対してうんうんとうなずいてくれたり、最後にはいくつか質問を頂いたりと、
参加してくれた皆さんの健康への関心の高さが窺えました。

 

私自身もとても勉強になりました。
来月はまた市内の別の場所で行うので、内容を練り直して挑みたいと思います。

 

ちなみに遡る事当日の朝、前日夜中までかかって自宅用パソコンで作成したスライドが
仕事用パソコンで開けず、保存し忘れたかと思ってパニックに陥りました。
使用しているクラウドサービス上できちんと同期されていなかったようで、
自宅用パソコンを使う事で事なきを得ました。

 

皆さんも大切なデータは別の場所にに保存し、講義などの時は持参しましょう。
こんな教訓も得られた腎臓病教室でした。

 

笠間市立病院 山本由布

 

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ナイトセッション 1月8日 臨床倫理

2015年1月13日テーマ:筑波総合診療グループ, 地域医療教育学講座

ジュニアレジデント2年目の長野です。
シニアレジデントの高橋先生、大澤先生と一緒に、横谷先生から臨床倫理について、教え
ていただきましたので、感想を書きたいと思います。


たぶん初めて知る言葉だったので、ここでも紹介したいと思いますが、「臨床倫理」とは「臨床の現場では、医学的・科学的判断だけでなく、倫理的問題を同定し解決することを求められる。ある特定の患者の具体的な臨床場面で、より良い倫理的意思決定を模索するのが臨床倫理clinical Ethicsである。」と定義されています。
抽象的でわかりにくいので、私の言葉に独自に言い換えますと、「医者が患者に医療介入するときに、発生するもやもやした問題を、みんなで一緒に臨床倫理を使って、すっきりさせよう」ということだと思います。


今回のセッションでは、次のようなもやもやした問題を課題で与えられ、議論しました。
「アルツハイマー型認知症、脳梗塞後、繰り返す誤嚥性肺炎の87歳男性に対して、どんな
治療をするか悩んだ。キーパーソンの妻は、もう3回目の再発だし、入院加療を希望せず、このまま検査せず看取りたいと言う。」という課題です。
「臨床倫理の4分割表」を用いて、具体的な情報をリストアップし、もやもやした部分をすっきり整理させていきました。
1時間の討論の結論は「苦しまないように抗生剤治療をしつつ在宅診療で看取ることを提案する」でした。

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今回学んだことは・・・

  • ・もやもやした問題に対する解決法の答えは一つでなく、いくつか用意すること。
  • ・コツは多職種で話し合うことと、非難し合わないこと
  • 自分のQOLの価値観を患者さんに適応しないように気をつけるこ

などです。
まとめますと、答えがでないことをいかに答えが出ないか、客観的に文章化する試みで、無知の知のような哲学的な作業だと感じました。
迂闊に自分が患者だったら、あるいは、自分が患者の家族だったら、このような医療を受けるのが、幸せだろうとか、幸せの形を押し売りしてしまいがちであると感じました。患者がどう幸せを感じるかは、自分で決めるものなので、患者が自律的に幸せを選択するよ
うに手伝いする心構えが大切だと思います。
これから医療をやっていく上で、こういった様々なもやもやした倫理的問題に直面すると
思います。そのときに、解決するためのスタンダードな方法を学べて、大変有意義でした。

 

レジデント 長野拓也

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軽野東小学校での喫煙予防教育(2014年12月11日)

2014年12月31日テーマ:筑波総合診療グループ, 地域医療教育学講座, 未来医療GP

12月11日、神栖にある軽野東小学校で、タバコをテーマとした健康教室を行いました。

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「どうして吸ってはいけないの? タバコの話」と題して、
タバコのイメージやタバコが体に与える影響について、クイズ形式でお話しました。

約60名の6年生の皆さんは、寒い中でも活発に発言して、元気良くクイズに答えてくれました。
また、神栖で地域実習を行っている筑波大学医学部5年生の学生さん4名が一緒に参加してくれ、
「もし、友人にタバコを吸うのを誘われたらどうするか?」という場面の寸劇をしてもらいました。

 

今回の健康教室を通して、「禁煙」のことを自分のこととして考え、
「断る勇気」を持ってもらえればいいなと思います。

つくば総合診療グループ 後期研修1年目 久野

編集:阪本直人

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第1回つくば総合診療塾「覗いてみよう家庭医の頭の中」

2014年12月26日テーマ:筑波総合診療グループ, 地域医療教育学講座

未来医療人GP企画
医学生のための「つくば総合診療塾」第1回セッションが12月11日の夕方に開催されました。
テーマは「覗いてみよう家庭医の頭の中」です。
会場に集まった9名の医学生に加え、遠隔中継で埼玉医大から更に9名も参加くださいました。
総合診療塾写真
セッションでは、診療シーン映像を見てのケース討論を行いました。
家庭医クリニックを受診した37歳の妊婦さん「1週間前からみぞおちが痛くて・・」と相談をもちかけます。
さあ、そこで家庭医はどんなことを考え、どんなアプローチをするのでしょうか。
グループ討論、全体共有を行った後に、家庭医 横谷省治先生によるロールプレイ(診療のデモンストレーション)がありました。
全体共有

全体共有

胃の痛みについて話していた患者さんが、「仕事も家もいろいろあって・・」と話をそらしたタイミングに、患者さんの背景にぐぐっとアプローチ。「疲れて動けない、おなかに赤ちゃんがいるのに自分のことで精いっぱいで」とうつむく患者さんに、「とても疲れていらっしゃるんですね。○○さんにとってどんな状況が理想なんでしょうね・・・」と優しいまなざしで尋ねかけます。すると、「理想・・・(しばらく沈黙)赤ちゃんを迎える準備を楽しみたいって思ってました。そんなことしばらく忘れていました(涙ぐむ)」
このようなやりとりを通して、自分のつらさの中で堂々巡りになっていた患者さんが前をむき、「一人で悩まずに家族にも相談してみたい」と、次の一歩をふみだすきっかけになりました。
ロールプレイの後のレクチャーでは
「家庭医は患者さんの人生の旅の帯同医」
「つらいときも、幸せな時も患者さんによりそえることが、家庭医のやりがい」
との話に、学生の皆さんは非常に熱心に聞き込んでいました。
家庭医の魅力が、具体的にイメージしていただけたようです。
次回は、1月21日(水)18時から、大塚貴博先生による「家族志向型アプローチをやってみよう」です。
まだ空席はありますので、お申し込みをお待ちしています!
詳細はこちらへ
(スタッフ 高屋敷明由美)

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つくば市吉沼小学校での食育教室(2014年12月18日)

2014年12月18日テーマ:筑波総合診療グループ, 地域医療教育学講座

吉沼小学校に食育に行ってきました! 「おやつって何?」、「かしこくおやつを食べよう!」というテーマで話しました。

成長期に必要な栄養素、何だっけ? 分かる人!

成長期に必要な栄養素、何だっけ? 分かる人!

参加者は小学4年生41名。 さらに、父兄や学校の先生、校医の先生などもご参加くださり、総勢約60名となりました。 教室は、

  • ・なんでおやつを食べるの?
  • ・どれくらいおやつを食べるの?
  • ・どんなおやつを食べるの?

というおやつの疑問に答えていくという形で行いました。 カロリー、塩分を摂り過ぎないようにすること、 そして、 成長期の子供が必要とするもので、普段の食事だけでは摂りきれないものは、 おやつを工夫して補給したい栄養素があることをお話をしました。 鉄分、カルシウム、食物繊維などがそれあたります。 クイズなどに対する反応もハキハキとしており、元気いっぱいの子供たちでした。

『カロリー、塩分。いくつだったかな?』~台紙に普段1日に摂るおやつを各自貼っています~

『カロリー、塩分。いくつだったかな?』 ~台紙に普段1日に摂るおやつを各自貼っています~


今回の新たな試みとして、「おやつマスター認定証というカードを シルバーとゴールドの高級感あふれるカードにバージョンアップしました。 これは、復習シートという、おやつに関するクイズに全問正解できるようになると もらえるといカードのことです。
ちょっと大人も欲しくなる?程の阪本先生の力作です。

養護教諭の先生によると、
吉沼小学校では、今回の食育の対象の小学校4年生以上の学年になると、肥満が問題となってくるお子さんが増えてくるそうです。
そのためか、先生方に 「子供達の反応も良くて、驚いています。継続的に子供達に声かけをしていきたいと思います。」
とご感想をいただき、とても喜んでいただけたことが印象的でした。
少しずつ吉沼学校全体でも意識が高まるようにと、来年以降も食育をご依頼いただけるようです。
「少しでも肥満児、将来の生活習慣病の発症予防が出来たら。」と願う食育となりました。

貴重な経験をありがとうございました。

 

(2014年12月18日 S. Tominaga つくば総合診療グループ シニアレジデント)

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【コラム】うわさの『おやつマスター認定証』

2014年12月18日テーマ:筑波総合診療グループ, 地域医療教育学講座

つくば総診ヘルスプロモーション・チームでは、
健康教育を、より効果的にするための工夫やシステムを数多く考案しております。

 

アイデアの幾つかは、運営にご協力くださった現場の方とのディスカッションの中で、誕生しており、
今回は、その1つである『おやつマスター認定証』の開発秘話をご紹介いたします。

 

おやつマスター1級、シルバーバージョン(全10種類)

おやつマスター1級、カラーバリエーション(シルバー、ゴールド:各10種類)

この『おやつマスター認定証』は、葛城小学校(当時)の塚田先生が原案です。
こちらは、これにインスパイアされて制作したものです。

 

塚田先生は、とてもクリエイティブな先生で、毎回様々なアイデアをくださいました。
つくば市食育プログラム(つくば総診主催)は、5年前の2010年から始まったのですが、
葛城小学校は、初年度より参加して下さり、今年度もご協力いただいております。

 

このおやつマスター認定証は、現在では、つくば市食育プログラム教材の1つに認定されております。

 

しかし、塚田先生とのディスカッションで生まれたアイデアは、これだけではありません。
実は、この認定証、どのように運用しているかといいますと、
『復習課題→おうちの人に見せる→認定証』というサイクルで動いています。

 

具体的には、
1.『おやつの上手なとりかた』教室に参加してくれた小学生に、復習課題(下記参照)が出されます。
2.その復習課題に取り組み、おうちの人から、サインやコメントをもらって、担任の先生に提出します。
3.そして、見事全問正解になれば、この『おやつマスター認定証 一級』がもらえる!
という仕組みになっております。
(実際には、全問正解するまで、繰り返しチャレンジしてもらいます)

 

塚田先生や多くの担任の先生とのディスカッションの中で、感じたことは、
『小学校での取り組みを、おうちの人にも、もっと知ってもらいたい』という思いがあることです。
そこで、食育教育プログラムの内容をおうちの人にも知ってもらえるよう
食育教室のダイジェスト版とセットにして、復習課題をつくりました。
そして、先ほどのおやつマスター認定証と連動させて、
『復習課題コンプリート→おうちの人に見せる→認定証をゲット』というサイクルを作ったのでした。

 

復習課題の一例(当講座の新医学専攻(当時)を選択した梶川氏の協力を得て制作)

復習課題の一例(当講座の新医学専攻(当時)を選択した梶川氏の協力を得て制作)

一連の仕組を、私達は、
『おやつマスター認定システム』と名づけることにしました。
認定証には、食育教室で紹介したオススメおやつのイラストが入っており、なんと全10種類です。

 

2014年12月には、『おやつマスター認定システム』が
遂にVer. 3となり、エレガントな光沢を持つシルバー&ゴールドカード版が出来ました。
シルバーとゴールドの2種類がありますので、カードのバリエーションは20種類です。

 

大人の方も欲しがってしまうのが、現在の課題です(笑)。

 

つくば総合診療グループ(家庭医専門医、内科認定医、ヘルスプロモーション・スペシャリスト):Naoto Sakamoto

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11・22救急セッション「初期救急対応!でもここは診療所!?」

2014年12月17日テーマ:筑波総合診療グループ, 地域医療教育学講座

11月22日「総合診療・家庭医療全国セミナーin Tsukuba」において、救急セッションを担当しました。

川崎セツルメント診療所の遠井先生、筑波メディカルセンター病院の林先生、総診グループシニアレジデントの稲葉先生と一緒に行いました。

遠井先生は、実は私の大学の同級生で(しかも5年生の病院実習も同じ班!)、当時はこんなセッションが将来一緒にできるなんて考えもしていなかったので、何だか感慨深いものがありました。

まずは、遠井先生から診療所での救急初療に関してのレクチャー。病院での救急診療との違いをコンパクトにまとめていただきました。

次に講師全員によるデモンストレーション。笑いありの迫真の演技でしたね!10548232_10205769959154996_2677613112891345075_o

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後半は、4グループに分かれて、医師役になって診療所での初期救急対応を体験してもらいました。ショックの人、髄膜炎の人、胸痛できた人の対応を総合診療グループの小曽根先生、舛本先生にもお手伝いいただきやってもらいました。実際に診療所にこんな重症な人ばっかり来ることはないんですがね・・・笑

 

T&A救急初療プライマリ・ケアコースは医師向けのコースなので、学生向けにアレンジしておこなうことに少し不安を感じましたが、当日は参加者の学生さんがみな生き生きと楽しくやっている姿をみてうれしかったです。

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『ABCがおかしいぞ~♪、臥位にして~、バイタルチェックだ♪、部屋を移動し~、OMI!』

参加学生は、きっとこのラップが頭から離れません!

 

大和クリニック 髙木博

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つくば市立柳橋小学校にて健康教室開催!(2014年12月13日)

2014年12月13日テーマ:筑波総合診療グループ, 地域医療教育学講座


M3医療概論Ⅲ健康教育では、地域の現場で「ひとびとの健康を守る」役割を効果的に学ぶため、健康教室を企画・実施して、予防医学・健康教育の重要性を知ってもらう取り組みを行っています。

今回、「食育」を題材につくば市内の小学校で小学4年生を対象に健康教室を行いました。

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テーマは「おやつの取り方」について。M3の4人の学生がこの日のために約半年前から準備を行ってきました。
最初に生徒さんが普段食べているおやつの塩分量やカロリーをカードを使って実感してもらいます。
その後取り過ぎによって生活習慣病につながることをお話しし(血管の断面図を使って血栓が作られていく様子も説明していました)、
最後に最適なおやつを見つけようという内容でした。

最初は学生も生徒さんも緊張気味でしたが、学生の軽妙なトークと生徒さんへの声かけですぐに和やかムードに
授業が終わった後は生徒さんから「カロリーや塩分に気をつけたい,後ろの表示を見るようにしたい」などの声が聞かれ、大成功でした。
学生にとってもヘルスプロモーションについての理解が深まったようです。

(スタッフ 大塚 貴博

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2014年度つくば総合診療グループ大忘年会開催!!

2014年12月11日テーマ:筑波総合診療グループ, 地域医療教育学講座

今月5日、レストラン「アンジェ」にて、総合診療グループの大忘年会が開催されました!

今年も筑波大学附属病院の先生方だけでなく、水戸協同病院や筑波メディカルセンター病院の先生方にもお越しいただき、皆さん思い思いの衣装に身を包み、とても華やかな催しとなりました!

2014忘年会集合写真

2014忘年会

 

美しいフルートの演奏、素敵な歌、キレッキレのダンス、誰もタネがわからなかった(?)マジックなどなど…。先生方によるハイレベルな出し物がたくさんあり、大盛況でした!

忘年会の開催は今年で2回目らしいですが、この圧倒的な完成度の高さ。先生方がプライベートの時間も大切にされているからこそ、このような魅力的な出し物ができるんですよね。早くも来年が楽しみです!

 

ちなみに私はというと、先生方のお子様たちとずっと遊んでいました!子供たちも大人と同じく日頃いろんな苦労があるのでしょうね。それを全力で私にぶつけてくれました(笑)

元気いっぱいでキラキラした笑顔の子供たちをみて、私も元気をもらいました!

 

大学院生の参加者はあまりおらず、お話ししたことのない先生方が多かったため内心不安でしたが、始まってみたら皆さん気さくに接してくださって、改めてつくば総合診療グループの皆さんの温かさを実感しました。

ほんとうにワクワクしっぱなしの夢のような時間でした! これからも、どんどん素敵なメンバーが増えていってほしいですね!

皆さん、来年もよろしくお願いします!

 

(地域医療教育学 修士1年 川口)

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家庭医療★総合診療全国公開セミナーin Tsukuba「患者中心の医療の方法」

2014年12月5日テーマ:筑波総合診療グループ, 地域医療教育学講座

患者中心という言葉はよく聞くけれど、どういうものなの?

このセッションは、そんな素朴な疑問から始まりました。

「患者中心」といっても、患者さんのいうことを鵜呑みにするのではありません。

患者さんの言葉に込められた気持ちや生活背景をくみ取り、診断や治療で目指す方向性を一致させることが鍵となります。DSC00208★

今回のセッションでは、前半で、臨床現場で役立つ「患者中心の医療」の基本的な考え方を紹介し、後半でロールプレイにより患者さん・医師の視点を体験してもらいました。DSC00214★

参加者は、医学生だけでなく、高校生から保健師さんまで幅広いバックグラウンドでした。

参加動機としては、「医療の本質は患者中心だから。」「初診に返って学びたいと思ったから。」「患者中心って簡単に言うけど、よくわかっていなかったから。」とモチベーションの高さがうかがわれました。

前半のレクチャーでは、「患者中心の医療の方法」というモデルを、模擬診療を交えながら解説しました。最新版のhealthが入っているものではなく、多様な参加者がいる中でわかりやすさを重視して、一つ前の内容を使用しました。

このモデルは、カナダ・ウエストオンタリオ大学のスチュワートらが、「患者さんと親しみのある関係を築く、腕のいい医師」の診療を研究し、作成したもので、6つの要素から作られています。

その中で、今回は、診療の流れを示す下記の3つに焦点を当てました。


要素1:疾患と病の経験を明らかにする
要素2:患者を全人的にとらえる
要素3:共通基盤を形成する


また、上記の流れで診療を行う中で、患者さんの病の体験を聞くときに役立つ
「かきかえ(解釈、期待、感情、影響)」というスキルをお伝えしました。

模擬診療・ロールプレイでは、咳で受診した患者さんが「早く治りたいので抗生剤がほしい」と訴えるというシナリオを用いました。
なぜ患者さんは抗生剤がほしいのか?どうして早く治りたいのか?と掘り下げ、患者さんの気持ちを共有しつつ、医学的な説明を行うことの大切さを診療場面で再現してもらいました。

参加者の皆さんからは、下記のような感想をいただきました。

・基本的な医療について学び、それについての対策が分かりました。
・臨床研修前に考えを整理することができました。
・共通の理解基盤を探すことの大切さを学んだ。

今回のセッションでは、「患者中心の医療」を行うエッセンスを学生の皆さんと一緒に学ぶことができ、とても貴重な経験となりました。
S1 大澤・冨永・久野(文責 久野)

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カリスマ院長:大森医院の大森英俊先生

2014年12月2日テーマ:筑波総合診療グループ, 地域医療教育学講座, 大森医院

大森医院、そして私が在籍している利根町国保診療所は、どちらも長年にわたりその地域を守ってこられた院長がおり、学生実習、総合診療科の後期研修を行っています。

(後期研修医の高橋弘樹先生が、両施設を見学に行った際の報告を過去にしてくれています↓)

https://soshin.pcmed-tsukuba.jp/wp/blog/archives/185

実習する学生たちからも、毎年ベストティーチャー賞に推薦されている大森先生ですが、今回初めてお会いして、その魅力がよく分かりました。

大森医院は茨城県の中でも、特に医師不足、介護・福祉、在宅療養などが不足し、高齢化も進行し、巡回診療でないと医療を受けられないような山奥に住まわれる方もいるような地域にあります。その地域の中で、大森先生は患者さんたちからの要請を受けて、足りないもの(施設や交通手段)はご自分で整備してその道を切り開かれてきたとのことでした。関連の施設(特養、グループホーム、ショートステイ、小規模多機能施設など)にも案内をしていただき、大森先生にこのほかにもたくさんのお話とご案内をしていただきました。

大森先生には、その姿や語られる言葉だけで、強く納得させられる魅力と説得力がありました。利根町診療所と地域性は違いますが、その地域の特性を反映しつつ患者さんの生活に近い医療を提供する、という院長の姿勢は、どちらにも共通していると感じました。(どちらの院長もカリスマです(笑))

また最近では、ここでの実習を経験した学生さんが医師となり、紹介先の担当医だったりもするようです。こちらの実情を理解している相手だと紹介がスムーズになったり、患者さんの安心感にもつながるとのこと。数年の歳月を経て、学生実習は確実に実を結んでいると感じました。0161

後期研修医の先生方には、大森医院、利根町、大和クリニックのそれぞれを知っていただいて、地域により多少の違いはありつつも、根本的には同じ姿勢で患者さんや地域に向き合っているのだということが分かってもらえたらいいな、と思いました。

ぜひ一度、見学・実習に行ってみてください!

(学生・研修医用のログハウス、ワインコレクションも、とっても素敵なようです!)

( スタッフ 小曽根早知子)

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家庭医療★総合診療全国公開セミナーin Tsukuba 

2014年12月2日テーマ:筑波総合診療グループ, 地域医療教育学講座

平成26年11月22日(土)、筑波大学附属病院1階けやきプラザをメイン会場に、家庭医療・総合診療に興味を持つ方を対象とした「家庭医療★総合診療全国公開セミナーin Tsukuba」を開催いたしました。
19大学から医学、看護、保健師、薬学、社会福祉、心理の学生が集まり、また高校生を含む多施設からの参加者を含めると、全部で61人の参加登録がありました。家庭医療・総合診療に関する幅広い層での関心の高さが伺えるとともに、参加者を歓迎した講師25人の準備するセッションへの期待・関心が高いことも感じられました。

筑波大学医学医療系地域医療教育学/附属病院総合診療科の前野哲博先生による開会あいさつ、参加者同士によるアイスブレイクの後、「患者中心の医療の方法」、「もっと知ろう!緩和ケア」、「初期救急対応!」、「プロから学べ!多職種連携」、「総合診療と初期研修、その後のキャリア」、「医療面接」という題でワークショップを行い、「家庭医療・総合診療を担当する医療者って普段は何をしているの?」「家庭医療・総合診療ってそもそも何?」という疑問を少しずつ解決していきました。

最後は参加者全員で「ワールドカフェ~私たちが地域で役立つためには」を行いました。多職種、非医療者の参加者ともお互いに対話していく中から、自分の思考を確認・修正し、全員の前で発表を行いました。当日ここまで学んできたこと、あるいは今まで授業や課外活動で学んできたことが医療者として、あるいは一人の人としてどのように役立つのか、「私は何のために学んでいるのだろう」ということについて考えるきっかけになれば幸いです。

懇親会では、「学生実践発表会~学生でもここまでやれる!」という企画で、熱い参加者の中でも飛び切り熱いメンバーにプレゼンをしていただきました。非常に熱い思いがこもったプレゼンが6つ行われ、「明日から自分はどうするか?」「学生時代にしておくことは何か?」などを考えるきっかけになったのではないかと思います。

尚、このセミナーは大勢の講師の皆様のご協力で盛会の内に大きなトラブルもなく終えることが出来ました。
講師の皆様方にはお忙しい日常の中、本セミナーの準備にご尽力いただき大変ありがとうございました。厚く御礼申し上げます。また事務局を担当いただいた横谷さん、谷さん、稲葉さんのサポートなくして本セミナーは円滑に運営することはできませんでした。この場を借りて感謝いたします。尚、本会は筑波大学の医学生である木村(紀)さん、門野さん、木村(仁)さん、岡本さん、三谷さん、石垣さん、関本さん、重光さん、牟田さんの企画・協力、当日受付を手伝ってくれた足立さん、諌山さん、藤井さんの協力の元、運営されました。本当にありがとうございます。

「文部科学省未来医療研究人材養成拠点形成事業『次世代の地域医療を担うリーダーの養成』」が主催、「日本プライマリ・ケア連合学会 ジェネラリスト80大学全国行脚プロジェクト」が共催となった本セミナーですが、今後の継続的な学びの場を提供すべく、「医学生のための総合診療塾」を12/11より開講いたします。引き続き、家庭医療・総合診療に関心のある方々の支援を行っていければと思いますので、興味のある方はぜひご参加いただけますよう、よろしくお願いいたします。

(関わった講師の方々)
稲葉 崇(筑波大学 総合診療グループ、筑波メディカルセンター病院)
大澤 亮(筑波大学 総合診療グループ)
大塚 貴博(筑波大学 総合診療グループ、大和クリニック)
小曽根 早知子(筑波大学 総合診療グループ、利根町国保診療所)
小濵 伸太(協和調剤薬局 在宅訪問薬剤支援室)
川島 夏希(筑波メディカルセンター病院 緩和医療科)
木下 真里(訪問看護ステーション 愛美園)
久野 遥加(筑波大学 総合診療グループ)
後閑 良平(笠間市立病院)
須田 さと子(筑波メディカルセンター病院 緩和ケア病棟)
高木 博(大和クリニック、筑波大学 総合診療グループ)
高屋敷 明由美(筑波大学 地域医療教育学、総合診療グループ)
竹江 崇(宍戸苑 指定居宅介護支援事業所)
遠井 敬大(川崎セツルメント診療所)
冨永 さやか(筑波大学 総合診療グループ)
中澤 一弘(筑波大学 地域医療教育学、総合診療グループ)
濵野 淳(筑波大学 医療連携患者相談センター、総合診療グループ )
林 幹雄(筑波メディカルセンター病院)
東端 孝博(筑波大学 総合診療グループ、大和クリニック)
本多 淑恵(笠間市立病院)
前野 哲博(筑波大学 地域医療教育学、総合診療グループ)
舛本 祥一(筑波大学 総合診療グループ、利根町国保診療所)
山本 由布(筑波大学 総合診療グループ、笠間市立病院)
横谷 省治(筑波大学 北茨城地域医療研修ステーション、総合診療グループ)
吉本 尚(筑波大学 地域医療教育学、総合診療グループ)

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(スタッフ 吉本尚)

 

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ナイトセッション~バッドニュースの伝え方~

2014年12月1日テーマ:筑波総合診療グループ, 地域医療教育学講座

「明日、あなたの友人が癌と伝えられたらどうしますか?」
医療者にとって避けては通れない場面、
その一つが悪い知らせを伝える診療場面になります。
今回のナイトセッション※は、そんな「バッドニュースの伝え方」がテーマでした。
前半はレクチャー、後半はロールプレイを行いました。
レクチャーでは、レジデントが実際に経験した場面を共有しながら、「SPIKES(スパイクス)」というバッドニュースの伝えるときの6つのステップ(下記)を習いました。
表紙Delivering Bad news (2)
S:Setting(面談の設定)
P:Perception(病状認識の確認)
I:Invitation(希望の確認)
K:Knowledge(情報提供)
E:Empathy&Exploration(感情への対応)
S:Summary&Strategy(方針の話し合い)
学習目標Delivering Bad news (2)
特に印象に残ったことは、映画を用いて認知症の告知の場面を例に、病気を受け止めきれない患者さんの感情について考えたことです。医療者自身が言葉に詰まる場面では、「私自身もお伝えするのがつらいのですが・・・」など、ときには医療者の感情を患者さんに伝えることも患者さんに寄り添う姿勢となるということを学びました。
後半では、シナリオに沿って医師・患者役でロールプレイを行い、前半で得た知識をより深めることができました。今回のセッションを通して、今後は自分の友人に語るつもりで、時には患者さんの気持ちに合わせて立ち止まりながら、悪い知らせを伝えることができるよう心がけたいと思います。
※筑波総合診療グループでは、大学での教育プログラムの一環として後期研修医(シニアレジデント)向けに家庭医・総合診療のprincipleを学ぶためのセッションを行っています。平日の18時以降、2か月を1シリーズとして定期的に開催され、ワークショップ形式の実践的な構成となっています。毎回異なるテーマで行っており、今回は第6回目でシリーズ最後のセッションでした。
<10・11月のテーマ>
第1回 患者中心の医療
第2回 EBM
第3回 生物心理社会モデル
第4回 家族志向のケア
第5回 臨床倫理
第6回 バッドニュースの伝え方
(S1 久野遥加)

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セッション~プロから学べ!多職種連携~

2014年11月28日テーマ:筑波総合診療グループ, 地域医療教育学講座

11/22家庭医療総合診療セミナーで、興味のある分野でセッションを、という事で、
今回、多職種連携をテーマに一席設けさせていただきました。
私が今働いている笠間からリハビリスタッフとケアマネージャーさんを、以前働いていた大和クリニックの人脈から訪問看護師さんと訪問薬剤師さんをスカウトし、スタッフとしてお手伝いしてもらいました。
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まずは、入院中の高齢女性がこれから退院して家で生活するいう設定で、問題点をグループでディスカッションしてもらいました。「家のトイレは使えるの?」「食事は誰が用意するの?」「薬が飲めていないって言っていたけど大丈夫?」あっという間にたくさんの問題点が出ていたようです。そしてその後、「多職種めぐり」と題して各職種が座っている5つのテーブルを、順番に回ってもらいました。皆さん周り終わった時は少しお疲れ気味の様子でしたが、「ケアマ ネージャーって本当にその患者さんのマネージャーの働きをしてるんだね!」「家でもリハビリってできるんだ!」などといった、各職種への理解が深まったようでした。
そして、最後の目玉(?)は模擬退院前カンファレンスです!症例の患者さんについて、病院で行われているカンファレンスを皆で再現しました。ある程度の情報共有はしていましたが、リハーサルなしの本番勝負。開始前、私を含め皆さん顔が緊張していました。しかし始まってみるとさすがプロ!想定していなかった問題点や質問も上がり、本当にカンファレンスをしている気分になりました。家族役をお願いしたT先生、自由な発言で会場の笑いを誘い、いい味出してました。残念ながら最後はタイムオーバー。「先生、 そろそろ時間です。」と声がかかり、終了になりました。スタッフも皆ほっとした表情でした。
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低学年の学生さんも多く、今まで知らなかった職種の働きを知る事が出来た、カンファレンスがリアルで興味深かったなどという意見を頂きました。
キラキラ(ギラギラ?)した学生さんの目に時に圧倒されつつ、積極的な姿がとても印象的でした。私たちスタッフもとても楽しく、得ることの多いセッションだったと思います。
この日の出会いが未来の多職種連携の第一歩になるかもしれませんね。今後もつながり続ける事が出来れば良いな、と思いました。
スタッフの皆さん、お疲れ様でした!そして参加者の皆さん、ありがとうございました!
文責 スタッフ 山本由布

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ニッセイ財団の研究助成の成果報告を聞いてきました

2014年11月27日テーマ:筑波総合診療グループ, 地域医療教育学講座

第22回ニッセイ財団高齢社会ワークショップの、高齢社会実践的研究助成成果報告を聴いてまいりました。
ニッセイ財団は昭和54年に発足し、現在は、児童少年健全育成助成 、高齢社会助成 、環境問題研究助成を大きな柱としています。高齢社会の助成については平成6年からスタートし、20年の歴史があります。
高齢社会実践的研究助成とは、研究者と実践家が組み合わさった活動についての助成で、その成果を報告するものでした。
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実際に、高齢者福祉施設などが被災した場合、入居者の方だけでなく介護スタッフ等の現場スタッフをどうマネジメントし、どういう問題に対処しなくてはならないのかということを想定したケースメソッドの開発や、
在宅を取り巻くかかりつけ医や専門医、さらには取り巻く多職種の連係が大切なことはわかっているものの、実際にどうしたらうまくできるのか、「連携ノート」を導入して本当にどう変わり、何が問題になるのか、というあたりを検証するような発表を聞くことができました。
机上の空論ではなく、実際にどうするか、トライアルをしてその成果を測り、いかに現実的なものとして落とし込むか、という「研究のその先」について私たち自身もアクションをお超す必要があるはずですし、また科研費のみならず、また民間の助成金についてもしっかりアンテナを張って応募していくべきだと、改めて感じました。
スタッフ 堤 円香

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