筑波大学附属病院総合診療科 ブログ

気ままに、他施設見学@水戸協同病院

2016年1月15日テーマ:筑波総合診療グループ, ステーション, 地域医療教育学講座, 大学, 水戸, 未来医療GP

1月13日、水戸協同にお邪魔してきました。
総合診療科がほぼすべての内科の病棟管理を任せられており、総診のスタッフを中心に水戸の初期研修医と後期研修医が頑張っていました。
それにしても、圧倒的な症例経験数ですね。

ちょこっとチーム回診につかせてもらったところ、我らが宮崎先生は、同じく筑波総診の五十野桃子先生に手厚く指導を受けておられました。
宮崎先生は、一人一人の患者さんの話をよく聞いていて、「やっぱり総診の医者はデキルな~!」と感心いたしました。(ややひいき目かも?)

水戸協同1

 

 

 

 

 

 

 

スタッフの桃子先生は、ちょうど先生がレジデントの頃に一緒だったのですが、さらに成長されたようです。
宮崎先生をはじめレジデント全員のことを本当によく考えていて、全体を見渡す能力があり、さらに気配りができていてとても頼りがいがある指導医だなあと感じました。
マネージメントする力、見習いたいです。

現在、水戸にいるレジデントの先生(宮崎・稲葉・斎藤先生)に会って、なんだか元気をもらいました。
帰りに弘道館によってみたら、梅がもう咲き始めておりました。
まだ満開にはなりません、春はまだもう少し先のようです。
桃子先生、宮崎先生をはじめ、水戸の先生方、お忙しいところありがとうございました。

(大和クリニック 高木博)

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「ヘルスリテラシー向上のための患者教育」レクチャーを受けて

2016年1月17日テーマ:筑波総合診療グループ, ステーション, 地域医療教育学講座, 大学, 未来医療GP

先日、筑波大学総合診療科 阪本直人先生から「ヘルスリテラシー向上のための患者教育」についての
レクチャーがありました。

ヘルスリテラシーは「健康情報を獲得し、理解し、評価し、活用するための知識、意欲、能力であり、
それによって、日常生活におけるヘルスケア、疾病予防、ヘルスプロモーションについて、判断したり、
意志決定をしたりして、生涯を通じて生活の質を維持・向上させることができるもの」と定義されているようです。

自分なりの理解としては「健康情報をちゃんと理解して、それが正しいかどうかも考えた上で、
自分の健康や病気の予防について考えて健康的に生きましょう」ということだと思っております。

6403421765_672dcb2823_m 確かに実際に救急外来などをやっていますと、
 自分が飲んでいる薬が何なのか分からない方が、結構多くて驚くことがあります。
これは単に患者さん側だけの問題ではなく、我々医療者側にも問題があり、
患者さんがどれくらい聞いた情報を理解しているか、
 そもそも自分の病気について、どう思っているかなどを確認することが少ない気がします。

【Teach-back 法】というものがあるみたいです。
医療者から受けた説明内容について、患者さんの言葉で再現してもらう方法です。
そういえば、長いことやっていた塾講師の時、「この子、本当に理解して話聞いてるのかなぁ」
って思ったときに、「じゃあ今説明したことを隣の子に授業してみよう」なんてやらせていたことを思い出したりしました。
本当に理解しているかどうか確認するには、とても有用な方法です。
これまでやってきたことで、たぶん気づかないうちに日常生活でもやってもいて、それを診察室でやらないのはもったいないと感じました。
今後、少しでも意識しながらお仕事できればと思います。

最後に。
ヘルスリテラシーという言葉、概念を多くの人に知ってもらう事が、とても大切だと感じました。
阪本先生の「ヘルスリテラシー」のお話、大変わかりやすく、おもしろかったので、
是非、多くの人に聞いていただきたいと思いました。

 

ジュニアレジデント1年 磯崎

 

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【祝・論文パブリッシュ!】看護師の本人・家族の延命治療の希望に対する影響

2016年1月13日テーマ:筑波総合診療グループ, ステーション, 地域医療教育学講座, 大学, 未来医療GP

論文がパブリッシュされました!

現在は日本大学にいらっしゃる釋文雄先生が、看護師を対象として、自分・そして家族が末期の状態になった場合の延命治療に対し、がんのケースと、がん以外のケースについてそれを希望するかどうかのリサーチを行い、その研究成果が論文としてAmerican Journal of Hospice & Palliative Medicine (IF1.383)に掲載されました!


 

The Effect of Providing Life Support on Nurses’ Decision Making Regarding Life Support for Themselves and Family Members in Japan.

Am J Hosp Palliat Care. 2016 Jan 5.

Fumio Shaku,Madoka Tsutsumi


 

本研究は、看護師の、患者や家族の死が、自分や家族の延命治療のディシジョンメイキングに影響するかどうかの、初めての報告になるものです。

看護師の年齢で層別化し、患者の死の経験数(10名以上、10名未満)と延命治療を希望するかしないか、について検討しました。
本研究は、釋先生が筑波大にいらした2014年の2月に、私も岩手の病院にアンケートのお願いいいったり、解析を中心に関わらせていただき、とても勉強になりました。ありがとうございました!

論文として世の中に出す、これには本当にスピード感と集中力と実行力が必要だと思いますが、釋先生は今年だけで何本もお出しになっていて、本当に本当に素晴らしいと思います。見習わなくては!
論文はこちらからご覧頂けます。

http://ajh.sagepub.com/content/early/2016/01/04/1049909115624655?papetoc

 

(スタッフ 堤円香)

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日本人はヘルスリテラシーが低い??

2016年1月6日テーマ:筑波総合診療グループ, ステーション, 地域医療教育学講座, 大学, 水戸, 未来医療GP

本日の朝レクチャーは、阪本先生より、「ヘルスリテラシー」についてでした。
そもそも、聞き慣れないヘルスリテラシーという言葉ですが、
「健康情報を獲得し、理解し、評価し、活用するための知識、意欲、能力」とのことです。

そのヘルスリテラシーですが、低いと どんなことが起きるのか?

・ 医療機関の受診回数や入院回数が増える
・ 病気、治療、薬などの知識が少なく、正しい行動が起こせない
・ 医療専門職に自分の心配を伝えられない
など、様々な悪影響がでるそうです。

全米では、なんとそのヘルスリテラシーの低さにより、年間11~25兆円相当の経済的ダメージがあるそうです。
先進国のアメリカでそうなのだから、他の国は、想像に難くないですよね。

 

日本人はどうなのか?

阪本先生の質問に、半数くらいが、「ヘルスリテラシーは高いと思う」に手を挙げていました。
だって、そうですよね。これだけ長寿の国で、医療も充実していて、健康にはみなさん気を配っていて、健康をテーマにしたテレビ番組は軒並み高視聴率で。
ところが、答えは逆で日本人は、ヘルスリテラシーは欧米に比べてかなり低いようです。

具体的には、処方薬の服用方法を理解することが難しいと感じる人の割合は、
EUでは6.5%に対し、日本では25.6%もいるとのこと。
薬局で働く身として、確かに実感するところではあります。

さらに、アメリカ人の感覚では信じられないんだそうですが、
自分に処方された薬の名前、服薬目的、服用タイミングを答えられない人がたくさんいるということ。
実感としては、ほとんど全てじゃないかって思います。

 

では、どうしたらいいのか?

一つは、【Ask Me 3】 という方法が有用とのことです。
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・ 「私のおもな問題は何ですか?」
・ 「私は何をする必要がありますか?」
・ 「それをすることがなぜ重要なのですか?」
を患者家族から医療者に質問してもらい、患者自身の病気とセルフケアに
関する理解を深めることが可能になるとのことです。

伝える側としても当然、情報の伝え方のトレーニングを習慣化させる必要があるな~と感じました。

 

あと、家でも仕事場でもよく使ってしまっているこの言葉「分かりましたか?」、
たいていの人が「はい」と答えてしまうため、理解の確認にはならない不必要な質問とのことです。
確かにそうですよね。

 

では、どうすればいいのか?

推奨されているのは、『teach-back法』です。
医療者から受けた説明を患者さんの言葉で再現してもらう方法で、このプロセスを通して、伝わった内容を確認します。
具体的には、こんな聞き方が答えやすいそうです。

「私が説明した内容をご家族にも伝えるとしたら、どのようにお話しされますか?」
確かに、これならテストされている感じはしないな~。

吸入薬の使用など、新しく伝える手技や手順については、患者に実際にやって見せてもらう
『Show me法』がいいそうです。
それから、家族という資源を最大限活用することも重要とのことでした。

仮に、本人がヘルスリテラシーが低くても、家族が質問を促してくれることも多くありますし、
親が子供に医療者の言葉をさらに分かりやすく翻訳してくれるケースもあります。
また、例えば、A、B、Cの説明をした際に、本人はAしか覚えていなかったとしても、
同席した家族が、B、Cの内容を本人に再度伝えるといった家族内サポートをしてくれるかもしれません。

今日のレクチャーを聞いて、自分ならどんなアプローチができるのか?

なかなか一元的に知識を提供したり、住民教育したりというのは、ハードルが高いので、
まずは、家族を巻き込んで、今日教わったAsk Me 3を推奨して言いやすい環境を整えたり、
重要なポイントは『teach-back法』で確認することを実践していきたいと思います。

また、一つ同僚に伝えたいことが増えました。ありがとうございました。

以上

 

地域医療教育学 佐藤 卓也

なお、ヘルスリテラシーを扱った医療従事者(学生含む)向けテキスト
『ヘルスリテラシーと健康教育』(仮名)が、あのジーニアス英和辞典の大修館書店より、
近日発売予定です。

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ヘルスリテラシーは、もはや常識??

2016年1月6日テーマ:筑波総合診療グループ, ステーション, 地域医療教育学講座, 大学, 筑波メディカルセンター病院, 水戸, 未来医療GP

本日の朝レクチャーは、阪本先生から「ヘルスリテラシー向上のための患者教育」についての講義でした。

ヘルスリテラシーとは、「健康情報を獲得し、理解し、評価し、活用するための知識、能力、意欲のこと」だそうです。

阪本先生からの「ヘルスリテラシーにも問題があると感じた、現場での経験を教えて下さい」と
いう質問に、現場の医療者からは、・・・
・糖尿病で食事を気を付ければ、まだ薬は必要ないのに、「先生、私、安心してたくさん食べたいから、
薬ください!!」とおっしゃる方がいます。
・「風邪薬を毎日飲んでると風邪をひかないから、健康のために毎日飲んでるよ!」と
自慢してくださるおじさまがいます。…

などなど意見が出てきて、みなさん現場でいろいろと経験されているようでした。

私もぼんやりと「問題じゃないかなぁ…」とは思っていても何が問題なのか、はっきりしないでいました。
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今日の朝レクチャーは、「ヘルスリテラシーが低いと、何が問題か?」と
いうことをすっきりさせ、
「ヘルスリテラシーが低い人へのアプローチ方法はどのようにするか?」
についてのエッセンスが詰まったレクチャーでした。

アプローチ方法の中で、私が現場で活かしたいと思ったのは、

「口頭だけでなく、図やキーワードを書きながら伝える」ということでした。
さっそく明日からやってみます。

 

ヘルスリテラシーについて、さらに詳しくお知りになりたい方は、
ジーニアス英和辞典で有名な大修館書店から、阪本先生らが書かれた「ヘルスリテラシーと健康教育」(仮名)という本が、近日中に発売になるそうですよ(^^)

私はヘルスリテラシーという概念を地域医療教育学へ来て、初めて知ったのですが、
なんと筑波大学では、今年から医学群3年生のカリキュラムに組み込まれるそうです。

今まで知らなかった自分が恥ずかしいですが、ヘルスリテラシーはもはや常識、
になっているのかもしれません。

現場の私たちも、患者さんのヘルスリテラシーを向上させるために、
まずは医療者の中でのヘルスリテラシーの概念を常識にしていきたいと思いました!

地域医療教育学 修士1年 松下綾

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今朝は、過去に経験したモヤモヤ症例の検討会を開催しました。

2015年11月18日テーマ:筑波総合診療グループ, ステーション, 地域医療教育学講座, 大学, 筑波メディカルセンター病院, 水戸, 未来医療GP

今朝は、いつものモーニングレクチャーシリーズとは趣旨を変え、過去に経験したモヤモヤ症例の検討会を開催しました。

モヤモヤ症例検討会とは、
患者さんやその家族のケア、そして、社会的なアプローチに難渋し、「これでよかったのだろうか」と、あとになってもモヤモヤする症例をプレゼンテーションし、今後のよりよいマネージメントにつなげる視点でディスカッションする会のことです。

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【症例】

認知機能低下に伴い、車の運転に危険が伴うようになった高齢の患者さん。
家族は、安全のために(この患者さんには)、運転させられないと考えています。

しかし、その患者さんからしてみれば、これまで当然のように行えていた運転を家族から禁止され、大変反発していました。

この患者さんは、ご家族との関係性にも元来問題があったこともあり、この件をきっかけに家族内の関係性が、よりいっそう悪化しました。

ご本人の執拗な抗議や反発行動が続いたことから、ご家族の負担が、日に日に大きくなってゆき、家族のメンタルヘルスも心配される状況に陥ってゆきました。

というのが、今回カンファレンスで提示した症例の概要です。

カンファレンスに参加したメンバーからは、
ケアマネージャーに、本人だけではなく、家族のフォローをお願いしたり、家族の主治医にも繋ぎ、協力を要請すること。
また、全体像を把握しながら、医療・介護資源につなぐ人を維持すること。
を改めて指摘されました。

当時、私は半ば無意識に「ご本人を納得させる」ことに焦点を置いてしまっていました。
しかし、本当に重視すべきは「ご本人を支える家族」であり、家族のケアを手厚くすべきだった。
と、今回の話し合いで改めて気付かされました。

さらに、薬剤師の方からは、家族図を含めた情報が調剤薬局にあれば、少しは意識して関わることができたのではないか、と提案をいただきました。

患者さんにケアを提供する際には、かかりつけ医と家族だけが協力するのではなく、それに加え、地域住民やケアマネージャ、薬剤師など他職種に関わってもらうこと。
医療資源は、本人に対してだけではなく、その家族にもしっかりとサポートを提供する必要があること。
などが、今回の学びとなりました。

実際に患者さんを前にしてみると、どうしてもその方本人のことばかり考えてしまいますが、きちんと「誰をサポートするのか」というポイントを明確にしておく必要があること。

頭で理解していたつもりでも、実例を通して実行できていなかったことや具体的な改善点を整理することができ、大変有意義なカンファレンスになりました。

前野先生をはじめスタッフの先生方と薬剤師の方が、多くの貴重なご意見をくださいました。

本当にありがとうございました。

 

つくば総診 S1 任明夏/編集 スタッフ 阪本直人

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土浦市の多職種連携研修会に参加しました

2015年12月24日テーマ:筑波総合診療グループ, ステーション, 地域医療教育学講座, 大学, 筑波メディカルセンター病院

12月19日(土)に、土浦市在宅医療・介護連携拠点事業である、地域リーダー研修会に講師として参加してきました。
この研修会はその名の通り、土浦市が主催する、在宅医療に関わる地域リーダー養成のための多職種連携の研修会です。
参加者は約40人で、皆さん在宅医療の現場で活躍している多職種の方々でした。
当グループの吉本先生、春田先生が中心となり、「連携を推進するためのグループワーク」をテーマにして準備を進めていました。
そして今年は、私山本と春田先生が勤務している笠間市立病院や、そのご縁から笠間市の地域包括ケアセンター、ケアマネ会から合計12人の多職種講師を招き、グループワークに協力してもらいました。当日は医師、看護師、薬剤師、作業療法士、言語聴覚士、ケアマネージャー、社会福祉士などたくさんの職種がずらり。普段から活気のある笠間のメンバーですが、今回もこのワークショップから学ぼう!という意欲に溢れており、開始前の控室は異様な熱気に包まれていました。
前半のグループワークは、他職種のことを知るという目的で、各班に1人ずつ異なる職種を割り振り、その職種の仕事内容や視点、背景などについて、班でディスカッションをしながらポスターを作成する作業を行いました。そして完成した7つの職種ポスターを皆で見て回りました。
知っているようで知らなかった仕事内容や、普段どのようなことを意識して仕事をしているかなど、新たな発見があったようです。また、実はこんな事困っているんだよね、他の職種の人にここを分かってほしい、などの小さな裏話?をしているグループもありました。
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後半は、まず自分がどの様な連携に関わっているかを再確認してもらい、その後笠間市での連携に関わる3事業の紹介を聞きました。その1つ、ケアマネ会では、テーマごとに集まって話すことが出来るワールドカフェ形式の「ケアカフェ」という企画を考えているようです。まもなく始動との事で、楽しみですね~。
そのような話を聞いたうえで、今後に生かせる連携の工夫をグループごとにさらに考えてもらいました。皆さんそれぞれが困難に感じていることをたくさん抱えており、どうすれば問題解決できるか、議論は盛り上がっておりました。
印象的だったのは、このようなワークショップの場で感じた「もっと連携しよう!」という気持ちも、職場に帰ると日常に埋もれてしまいそうだけれど、まずはこの研修会の話題を出して同じ思いの仲間を増やしていこう、と言う意見でした。なるほど、自分も院内外関わらず、人との対話を大事にしよう、と思いました。
皆さん3時間の長丁場、お疲れ様でした。
異なる市の現状を知ることが出来て、お互いにとても刺激になったようです。
このような機会をいただいた土浦市の皆さま、そして協力してくれた笠間の皆さま、ありがとうございました。

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(スタッフ  山本由布)

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総合診療塾「高齢者へのアプローチ」

2015年12月7日テーマ:筑波総合診療グループ, ステーション, 地域医療教育学講座, 大学, 筑波メディカルセンター病院, 未来医療GP

2015年12月4日に総合診療塾として「高齢者へのアプローチ」をテーマに90分のセッションをしました。
準備段階から春田先生に具体的かつ的確なアドバイスをいただきながら、作らせていただきました。自分の中でこういうことを伝えたい!と思うぼんやりとしたことをミーティングを繰り返し行っていただく中で、言語化し、セッションという形に仕上げるという経験もすることができ私として学ぶことがとても多くありました。
セッション内容は、①身体的疑似体験 ②事例検討 ③認知的疑似体験の三本立てです。
①では高齢者体験セットを用い、関節可動域や視力、聴力、筋力が低下した状態を疑似的に作り、「2階にあるお薬を取ってこよう!」という課題に取り組んでいただきました。身体的に疑似体験した方もその方を介助した方にも、身体的機能低下した状態で普段の生活を営むということの大変さや生活場所に潜む転倒などのリスク、現在の自分の状況との違いなどを感じていただけたのではないかと思います。
②では、内服1剤のみで血圧コントロール良好だと思い込んでいた80歳男性が、半年前に転倒した後から外出しなくなったという家族からの訴えという事例をもとに、なぜ外出しなくなったのかを一緒に考えていきました。その背景には、身体的機能低下だけではなく、認知機能の低下や心理的、社会的背景が絡んだ本人独自の物語があるということ、高齢者の虚弱性という概念を共有できたのではないかと思います。
③では、「振り子」という、ある夫婦を描いた動画を視聴していただきました。
ライフサイクルの中での高齢者として捉えることの大切さや各世代が抱える発達課題(エリクソンの発達課題)を題材の春田先生にお話しいただきました。その中の老年期が抱える統合性と絶望という課題を医療者が、「人生の聞き手」になることで少しサポートできるのではないかということを感じました。
参加者は身内も含め6名でしたが、学生から初期・後期研修医、ベテラン医師、家族の看取り経験のある非医療者の方とバラエティに富んでおり、いろんな視点や経験からの意見が出てディスカッションが盛り上がったように思います。
さらに今後もこういう機会があれば、リハビリ側や高齢者の方々の意見も交えながらセッションを行うともっと深みのあるセッションになるなと思いました。
これからもっともっと社会的ニーズが増えるということのみではなく、高齢者医療という魅力ある分野に関われるということに感謝し、今後の研修に励んでいきたいと思います。
貴重な機会をいただきありがとうございました。
(後期研修医 大澤さやか)

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家庭医という選択 19番目の専門医

2015年12月4日テーマ:筑波総合診療グループ, ステーション, 地域医療教育学講座, 大学, 筑波メディカルセンター病院, 水戸, 未来医療GP

「家庭医という選択 19番目の専門医」(舟見恭子 (著)・エイチエス)が2015年5月に出版されました。
http://www.amazon.co.jp/dp/490370758X

プライマリ・ケアの領域では、「超」がつくほど有名な先生がた7名が登場します。
岡田唯男先生、藤沼康樹先生、西村真紀先生、臺野巧先生、丸山泉先生、草場鉄周先生、そして、我らが前野哲博先生です。

この本は、家庭医療の第一線で活躍している5人の医師へのインタビューを通じて、家庭医とはどんな医師か、家庭医療とは何か、をそれぞれの地域でそれぞれの実践をしている様子をつづっています。

特に印象だったのは、立場や仕事内容は違えど、「こういう医者になりたい」とイメージをものすごく強く持ち続けて、当時はまだその道がなかった所を、切り開いて行かれていたことが、この5人に共通しているところでした。

僕の前に道はない。僕の後ろに道は出来る。

高村光太郎の「道程」です。
まさにこの感じ・・これを体現してきた人たちの意志の強さ!
また、前野先生の登場する「大学で家庭医を育てる」という章には、
スキルミックスの話や、ノンテクニカルスキルの話、そして大学が教育資源を地域に提供する話が総括されていました。
・・うんうん、いつもこういう話、してくれてるよな。。と思いながら読み進めていくと
とても意外だった事が。

いつかフラリと田舎へ移って診療所を開くかも」という言葉がインタビューの中で何度も出てきた、という一文。

医学教育で大きなうねりを作ってきている前野先生のイメージとのギャップを感じましたが、先生の原点はここなのだ・・・と。

ぜひご一読いただければ幸いです。

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(スタッフ 堤 円香)

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第二回総合診療・家庭医療セミナーinつくば

2015年12月3日テーマ:筑波総合診療グループ, ステーション, 地域医療教育学講座, 大学, 筑波メディカルセンター病院, 水戸, 未来医療GP

はじめまして。
筑波大学医学群医学類4年の重光章鈞と申します。初めてここのブログに投稿させていただきます。
11/21に筑波大学で行われた、第二回総合診療・家庭医療セミナーinつくばについて書かせていただきます。
今年も昨年に引き続きスタッフをやらせていただきました!
今年度はセッション5の「看護理論を知って家庭医療を考えてみよう ナースの頭の中を大解明!」のスタッフをして、先生方とともにセッションを作るお手伝いをさせていただきました。
そして、学生側の全体管理を立派にこなしてくれたM2三石君のサポートに入っていました。
あまりに立派に三石君が仕事をしてくれたので、僕はサポートはやることがほとんどありませんでした(うれしい悲鳴ですね)
後輩が立派に仕事をしてくれているのを受けて、筑波大学内で先生方と学生が一緒にセミナーを作りあげる姿勢が僕が卒業後も続いてくれるだろうと安心しています。
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今年も学生、先生方ともに多くの方がこのセミナーのためにはるばるつくば市まで来てくださり、本当にありがとうございました。
遠方からは福岡県 、徳島県、広島県、兵庫県などから来てくださいました!
またもちろん、筑波大学生の参加も多く、学内にもこんなにもやる気がある学生がいると学内からも刺激を受けることができました。
今年のセミナーも無事成功し、来年度も引き続きつくば市でセミナーが開催されることを願っています。
また来年つくば市でセミナーが開催される場合は、皆様ぜひご参加ください。
来年度つくば市でお会い出来るのを楽しみにしています。
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(筑波大学医学群医学類4年  重光章鈞)

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2016年筑波総合診療グループ「卒業セミナー」のご案内

2015年12月2日テーマ:筑波総合診療グループ, ステーション, 地域医療教育学講座, 大学, 水戸, 未来医療GP

 

筑波総合診療グループ(以下「筑波総診」)では、総合診療について学び、親睦を深めるためのセミナーとして、年3回(4月、9月、1月)の定期的なセミナーを開催しております。今回は、今年度最後となる1月の「卒業セミナー」のご案内をお送り致します。セミナーの対象は主に筑波総診の後期研修医ですが、総合診療に興味がある学生、初期研修医から指導医まで幅広くご参加いただいています。

今回のセミナーは「卒業セミナー」と題している通り、筑波総診の後期研修修了者のプレゼンテーション・修了セレモニーを予定しています。後期研修医が学び成長してきた様子が直接分かる機会でもあります。

また、チームの重要性を認識するための一環として“Egg fly game”を予定しております。これは、参加者がグループに分かれて、各グループ内で1つのテーマに対して意見を出し合い皆が協力して1つのことを成し遂げるというものです。親睦を深めるとともに、チームで協同することの重要性を再認識する良い機会になればと考えております。

CSA(Clinical Skills Assessment)では、家庭医療専門医が作成した6症例のシナリオについて、プロのSP(模擬患者)に対して後期研修医が医療面接を行い、その直後に評価者・SPと共に振り返りを行います。実践的な内容で、参加者が普段の診療スタイルを振り返る良い機会となるものと考えております。
皆さまのご参加を心よりお待ちしております。

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日時:2015年1月24日(日)9時30分~16時50分
場所:筑波大学医学専門学群 学群棟4A483
参加費:無料

タイムテーブル

9:30~受付開始
10:00~11:00 WS「チームを学ぶ~egg flying game~」
11:00~11:10 休憩
11:10~11:30 CSA(Clinical Skills Assessment)とは?解説と準備
12:00~13:00 昼食(ケータリング)&レジデント修了セレモニー
13:00~16:30 CSA(Clinical Skills Assessment)
16:30~16:50 まとめ
16:50 片付け・解散

参加希望の方は、 primary●md.tsukuba.ac.jp (●を@に変換して下さい)へご連絡をお願い致します。

 

(2016年卒業セミナー担当 代表 五十嵐 淳)

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フィジカルアセスメント研修、今年も開催中!

2015年12月1日テーマ:筑波総合診療グループ, ステーション, 地域医療教育学講座, 大学, 未来医療GP

昨年にひき続き、前野哲博先生のフィジカルアセスメント研修が行われています。この研修は未来医療GPと新人看護職員研修事業の共催で、医師を除く医療職員・学生を対象に開催しています。
今年も多くの方々(遠くは高萩市からも!)の参加があり、11月18日の「呼吸困難」の回は62名もの参加者が集まりました。「前野先生の講義は分かりやすい」と、看護職だけでなく薬剤師、心理士の方々からも好評を博しています。

研修では全体の流れの説明をした後、症例のロールプレイを見ます。ロールプレイは前野先生が患者さん役をされるので、「よりリアルに場面がイメージできる」との声がありました。自分でアセスメントした後、多職種が混ざったグループワークで検討をします。皆さん、それぞれの知識や経験を持ち寄って真剣にアセスメントを進めていました。

参加者は「これが当てはまる」、「これが違うかな」とさながら探偵のように患者の訴えや様子に、五感を総動員して検討を進めます。中には「病棟でこういう患者さんがいたから」という経験からの判断もありました。前野先生はどのような意見にも、「こういった考えかたもあるよ」と丁寧に答えられ、いつの間にか参加者がどんどんワークにのめり込んでいく様子が見てとれました。

この後もフィジカルアセスメント研修は11月30日(月)「意識障害」、12月10日(木)「頭痛」と続きます。時間は17:30~19:00。各回無料です。事前のお申し込みが必要になりますので、こちらにアクセスお願いします!

http://www.hosp.tsukuba.ac.jp/mirai_iryo/PhysicalAssessment/

前野先生、分刻みのスケジュールの中、毎回丁寧な資料と綿密なご講義をありがとうございます。ご自身のお体も大切に、この後もよろしくお願いします。

 

(看護部 梶山陽子)

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結局,総合診療専門医,って何なの?〜新専門医制度とキャリアパス〜

2015年11月19日テーマ:筑波総合診療グループ, ステーション, 地域医療教育学講座, 未来医療GP

2015年11月14日(土)の午後、埼玉医科大学 毛呂山キャンパス オルコスホールでの「結局,総合診療専門医,って何なの?〜新専門医制度とキャリアパス〜」というイベントに、前野哲博教授(講演)と、大塚 貴博先生、高橋 聡子先生と私がシンポジストとして参加し、2017年度から始まる”新専門医制度”について熱く語ってきました。

将来のことについて,不安になったり,心配になったりと見えにくい今の制度に少なからず疑問を抱いている人が多いかもしれません。第19番目の基本領域に ”総合診療専門医” が設定されることが決まりましたが、まだまだ良くわからない。。という方のために、お話をしてきました。

グループワークなどを通じて、総合診療のイメージ、そして新しい「総合診療専門医」について大勢のみなさんと共に考える1日でした。

今回は、現役学生の長谷川君の埼玉医大で総合診療のことを広げたい、という思いと、わたしの「母校で総合診療の風を吹かせたい!」という思いから意気投合して、大きなイベントを企画いたしました。

 当日は、講師を含めて30人以上の参加者がおり大盛況でした。わたし自身も母校の総合診療の先生ともお話することができ、とても有意義でした。
 特に前野 先生の「総合診療とはまるごと診ること」の話は、学生にとってもとてもわかりやすかったとようです。また大塚先生には、企画段階から何回か埼玉医大まで一緒に足を運んでもらい、ありがとうございました。さらに埼玉県出身の高橋聡子先生にもきてもらい学生と意見交換してもらったりしました。
 ちなみに私は、自分のキャリアを話ししたのですが、大森医院のときにテレビ出演した時の裏話?ネタで少し笑いがとれました。
とにもかくにも筑波総診グループとして、母校に貢献できたことが何よりうれしかったです。
ちなみに筑波土産にブルーベリーのお菓子を買っていきました。
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(スタッフ 高木博)

 

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電子書籍化決定!阪本ら分担執筆の書籍『総合診療専門医のカルテ』

2015年11月14日テーマ:筑波総合診療グループ, ステーション, 地域医療教育学講座, 大学, 筑波メディカルセンター病院, 水戸, 未来医療GP

阪本が、分担執筆をしました『総合診療専門医のカルテ - プロブレムリストに基づく診療の実際』が、
多くの読者から好評をいただいているそうです。ありがとうございます。

画像クリックで、中山書店の本書紹介ページにジャンプ

なか見 紹介>(上記ホームページより)

 

電子書籍化の強い要望を受け、電子書籍版の刊行が決定しましたと、出版社より連絡がありました。

おめでとうございます!

電子書籍化により、検索機能などの利便性が向上し、本書をさらに広く活用できるようになります。

これは、2ページ見開きで再現された総合診療専門医の診療録(カルテ)を紹介しながら、Common diseaseのマネージメントをはじめ、患者・家族のケアなど、
ライフサイクルに応じた包括的なケアを実践するためのアプローチをていねいに解説した、おそらく唯一の画期的な書籍だと思います。

初学者にも分かりやすく、読みやすいよう要点が絞られております。

なお、筑波大学総診グループでは、阪本 直人の他に、吉本 尚、浜野 淳、中澤 一弘 らが分担執筆しております。
この調子だと、『帰してはいけない外来患者』のように、
そのうち、韓国語版に翻訳されて、アジア進出を果たすかもしれません。

『帰してはいけない外来患者』 編集:前野 哲博(筑波大学 総合診療グループ) 他 (医学書院)

書籍紹介ページ

 

阪本 直人(筑波大学 総合診療グループ、日本プライマリ・ケア連合学会 家庭医療専門医・指導医/日本内科学会 内科認定医・指導医)

 

 

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利根町の「えびちゃんに語ってもらおう!」の会

2015年11月12日テーマ:筑波総合診療グループ, ステーション, 地域医療教育学講座, 大学

利根町国保診療所では、10月より新しく、後期研修医の海老原先生(えびちゃん)をお迎えしました。日々の仕事に追われていると、意外とスタッフの方々との距離を縮める機会も少ないもの。そこで、お昼の時間に、「えびちゃんに語ってもらおう!」の会を開催しました。(事務室にみんなで昼食を持ち寄って集まっただけですが・・)

海老原先生に、生い立ち、子供時代から現在に至るまで、趣味のピアノとの出会い、大好きなショパンについてなど、幅広く語っていただきました。先日のショパンコンクールについては、ネット上でも熱く語っているそうです。

実は経歴がとってもエリートなえびちゃんに、スタッフからは「どうしたら先生のように勉強ができるようになりますか?」、実習に来ていた医学生さんからは「国試勉強はいつからどうやってやりましたか?」などと質問が飛びました。答えは「地道にこつこつ。大体の勉強はやり方を含めて丸暗記すれば何とかなってきた」とのことでした。

スタッフ一同、エビちゃんの意外な一面を、たくさん見せてもらいました。引き続き、利根町での研修で活躍してくれることを楽しみにしています。

 

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(文責:小曽根早知子)

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市民公開講座『生活習慣と健康長寿 ロコモってな~に?』

2015年10月31日テーマ:筑波総合診療グループ, ステーション, 地域医療教育学講座, 大学, 未来医療GP

本日、平成27年度 茨城県生活習慣病予防対策推進事業 地域フォーラム
つくば市医師会 筑波大学医師会 主催 市民公開講座が行われました。

冒頭の会長挨拶には、筑波大学附属病院長 松村 明氏より行われました。

第一部は、筑波記念病院 病院長 長澤先生を座長に『健康長寿をのばそう』テーマに3人の講演。

はじめに、『ロコモティブシンドロームとは』をテーマに、筑波学園病院 病院長・整形外科 原田先生。
次に、『健康長寿について学ぼう』をテーマに、阪本。
そして、『サプリ不要な健康長寿食』をテーマに、栄養士の中島氏より講演が行われました。

 

 

私は、『健康長寿について学ぼう』のテーマで、次のような講演を行いました。

20世紀に平均寿命が、50歳から80歳へと30歳も伸び、先進諸国の中でも最も著しい
平均寿命の延伸を果たした日本。2015年現在、100歳を超える人口が6万人となったが、
その要因には何があるのかについて、解説しました。

次に、加齢には「病的な加速」があることを紹介し、加速させる要因について紹介しました。

その後、平均寿命と健康寿命の間には、男性で約9歳、女性で約13歳の溝があることを紹介。
この溝は、「要支援・要介護状態」を意味することを紹介しました。

その原因には、【メタボリックシンドローム】と【ロコモティブシンドローム】が、大きく関わっており、その対策のために出来る具体的な方法を紹介しました。

次に、「健康な年齢の重ね方とは」をテーマに、私たちのお手本、100歳を超える実践家からのメッセージを紹介。

講演の最後には、会場の皆さんへ『・・・しかし、健康寿命を延ばすことが私達の目標でしょうか?』と質問を投げかけました。
『たとえ病気を持っていても、肉体的にも精神的にも個人としても、全体的に “元気” であり、生きがいや人生の目標を持ち、健やかに暮らせる社会。
何歳になっても役割が持てるような家族関係や地域づくり、社会づくりも大切なのではないでしょうか?』と提案し、私の講演を終えました。

第2部は、「“ロコテスト”と“ロコトレ”の実際」をテーマに、スポーツトレーナー野口氏より、
実演を交えた講演が行われました。

 

第3部は、パネルディスカッション
座長は、川井クリニック理事長 川井先生、坂根Mクリニック院長 坂根先生。
パネリストは、第1、2部の講演の演者に加え、市民代表のお2人が参加され、会場からの質問にお答えしたり、パネリスト間のディスカッションなどが行われました。

 

その後、第4部は、場所を移して健康フェアが行われました。
先ほどのパネリストに直接健康相談が出来るブースと
ロコテストをはじめとした参加型の学習コーナーが人気でした。

多くの参加者からは笑顔が溢れ、大盛況の内に幕を閉じました。

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第4回総合診療塾に参加

2015年10月29日テーマ:筑波総合診療グループ, ステーション, 地域医療教育学講座, 大学, 未来医療GP

10月26日、オレゴン健康科学大学の大西恵理子先生に、APC(アドバンスケアープラニング)について、総合診療塾をおこなっていただきました。
APCとは意思決定能力低下時に、自身への対応をどうするか、について考え話し合い実行するプロセス全体をさす言葉で、日本ではまだ一般的ではありませんが今後重要になっていくと考えられます。
これまでも終末期について患者様やご家族と話し合い看取る中で「死について真っ向から論じていいのか」「家族に終末期の治療について決断させてよいのか」と考え悩んでいたことに対し、「死を考えることは生を考えること」「家族が「自分が殺した」と思わないように本人の意思を表明しておく」という考えを教えていただき、大変貴重な経験となりました。
参加者は医学類の中でも低学年の学生が多く、私がいかに医療者側の視線に偏ってしまっているかを話し合いの中で気がつかされ、非常に有意義なディスカッションを行うこともできました。
当たり前のことではあるものの、話し合いの中で人生観のちがいが浮き出ており聞いているだけでもとても楽しい時間でした。
一番印象的だったのは講演後の私の質問に対し「本人がすべてを決める必要があるわけではない。誰かに任せる、と意思表明するならそれで一つの意思です」と答えをいただいたことでした。
何かを必ず決めなければいけないわけではない、というのは目から鱗であり今後も肝に命じていこうと思います。
今後も医療を行うにあたって、とても大切なことを学ばせていただいたレクチャーでした。
大西先生は貴重なお時間の中、多くを教えていただき誠にありがとございます。
(レジデント 任 明夏)

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大西先生のレクチャー「非癌性慢性疼痛コントロールにオピオイドの適用はあるのか?」

2015年10月22日テーマ:筑波総合診療グループ, ステーション, 地域医療教育学講座, 大学, 未来医療GP

大西 恵理子先生の朝レクチャー

「非癌性慢性疼痛コントロールにオピオイドの適用はあるのか?」

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本日は、米国のオレゴンで家庭医としてご活躍中の大西先生のレクチャーです。

私の勝手なイメージですが、いろんなことが米国は進んでいるんだろうな~って思っていました。
今日は、そんな僕のイメージを覆す、米国での疼痛治療における医療用麻薬の実態を知ることができました。

なかなか聞けないお話でしたのでブログに載せたいと思います。

日本では、慢性疼痛にいわゆる麻薬(強オピオイド)をよく目にするようになったのは、フェンタニルの貼付剤が保険適応になってからなので、ごく最近のことと思います。

実は、米国では早くから製薬企業などのプロパガンダなどもあって、1999年~2010年まででオピオイドの販売が4倍になったそうです。
ちなみに、米国での使用量は、日本のなんと27倍(2010年)もあるそうです・・。

日本では、基本的に癌性疼痛の治療しか認められていないオピオイドがほとんどですが、米国では、急性疼痛はもちろん、非癌性の慢性疼痛でも使用するそうです。

びっくりなのは、オピオイドを歯科治療、骨折や腹痛に対しても使用しているそうです。
急性疼痛、特に腰痛治療の使用では、なんと半数の人は5年以上服薬している・・・使用の慢性化という実態もあるそうです。

大西先生のいらっしゃるオレゴンでは、患者さんの5人に1人がオピオイドを飲んでいるそうで、
疼痛の苦しみから開放される患者さんがいる一方で、望ましくない事態も起きているとのことでした。

患者さん側が疼痛のいろんな状況で、オピオイドを使用してきた経験があると、
必ずしも必要ではない疼痛マネージメントの際にもオピオイドを強く希望する患者さんもおられるそうです。
「家庭医としては出したくないけど・・どうしよう」という葛藤がすごく伝わってくるお話でした。

日本も今後同じ道をたどらないかやや心配ではありますが、一番の救いは法律の縛りのおかげで、
国民全体が使わない生活が当たり前と思っていることと思います。
ある意味、日本は救われたな~と実感するお話でした。

今日は、なかなか聞けないお話を聞けてとても参考になりました。
ありがとうございました。

 

文章:筑波大学大学院 地域医療教育学(総合診療) 修士1年 佐藤 卓也

編集:筑波大学大学院 地域医療教育学(総合診療) 講師 阪本直人

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「検診結果の見かた」神栖市うずもコミュニティーセンター

2015年10月22日テーマ:筑波総合診療グループ, ステーション, 地域医療教育学講座, 大学, 未来医療GP

10月15日に、神栖市うずもコミュニティーセンターにて、「検診結果の見かた」というタイトルで、
住民の方々にお話させて頂く機会を得ました。
 
ブログ用
 

コメディカル以外の方に対してお話をさせて頂く機会は、外来を除くと、
これが初めてであり、とても緊張いたしました。

 

薬剤に関する質問は、これまで外来では、多く聞かれていましたが、今回は病院というセッティングではないため、生活習慣改善に関する質問が特に多かったです。

 

参加者の方々は、問題意識を持たれた方が多く、日常生活に根付いた運動、食事での改善のポイントを具体的にお答えするのがとても難しく感じました。

 

今後は外来でも具体的なアドバイスができるように、今後は勉強しなければならないと感じました。
最後になりますが、横から助け船を何回も出して頂いた横谷先生ありがとうございました。

 

文章:シニアレジデント2年 日吉/編集:指導医 阪本

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オレゴン健康科学大学の大西恵理子先生のレクチャーを受けて

2015年10月22日テーマ:筑波総合診療グループ, ステーション, 地域医療教育学講座, 大学, 未来医療GP

10月22日朝、オレゴン健康科学大学の大西恵理子先生に
麻薬処方に関するテーマで日米比較も交え、レクチャーをしていただきました。
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日本では従来、麻薬を検討する場面は癌性疼痛がほとんどでありましたが、
近年、麻薬施用者免許なしに処方ができる弱オピオイド入りの鎮痛薬が登場したことで、
外来診療の場面でも、痛みで苦しむ患者さんへ使用できる場面が、以前より増えたように思います。

 

米国では、1980年代に、それまでの疼痛コントロールが不十分であったという反省から、
使用が急速に普及し、現在では歯科治療に伴う強い痛みにも麻薬が処方されるとのことでした。

 

特に印象に残っている言葉としては、
抗生剤の使用と同じようにしっかりと適応を考えて処方する必要があるという言葉でした。

 

貴重なレクチャーありがとうございました。

 

 文章 シニアレジデント2年 日吉/編集 指導医 阪本

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