筑波大学附属病院総合診療科 ブログ

前島先生が家庭医療専門医試験 臨床実技試験優秀賞を受賞しました!

2025年12月8日テーマ:筑波総合診療グループ

2025年夏に行われた家庭医療専門医試験で、つくば総診からは5名の卒業生が受験し、全員合格しました!

そして、なんと今年は、前島拓矢先生が臨床実技試験優秀賞を受賞しました!おめでとうございます!!

↓一般社団法人日本プライマリ・ケア連合学会 2025 年度家庭医療専門医試験 成績優秀者表彰 

https://www.primary-care.or.jp/nintei_fp/portfolio.php

 

前島先生本人は「卒業セミナーでのCSAが役立った」と話していましたが、

それに加えてご本人の今までの研修での努力、

そしてそれによって磨かれた能力の高さが発揮された結果だと思います。

前島先生、本当におめでとうございます!!

 

そして、先日行われたC2のレジデント・デイでは、

前島先生がゲストで登場し、専門医試験でのCSAの体験を後輩たちに語ってくれました。

その対談の一部をまとめましたので、ぜひご一読ください!

 

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特集:家庭医療専門医への道 — つくば総合診療の研修はいかに試験に活きたか

先日行われた家庭医療専門医試験において、見事CSA(実技試験)で優秀賞を受賞された前島先生。研修を終え、いよいよ専門医を目指す後輩たちに対し、先生の成功の秘訣、そして日々の研修の重要性について熱く語っていただきました。

(専攻医A、B、他)

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Part 1:最高の試験対策は「日々の実践」

専攻医A: 専門医試験、本当にお疲れ様でした。特に実技試験(CSA)での優秀賞、素晴らしいです!先生はどのように試験対策をされたのでしょうか?

 

前島先生: ありがとうございます。結論から言ってしまうと、日々の診療をちゃんと実践していることが最大の対策です。直前に無理をして知識を詰め込んでも、あまり意味がないと感じています。筆記試験についても同様で、日々の臨床をしっかりと行うことが重要です。

 

専攻医A: やはり日々の積み重ねなのですね。専門医試験は多岐にわたりますが、研修中に身についたことで特に役立ったと感じた点はありますか?

 

前島先生: 医学知識以上に役立ったのは、統括的な研修の中で身につく「度胸」だと思います。一人で困難な症例に対応するような経験(例えば、CVルートを一人で入れたり、胸腔ドレナージを一人で行ったりする経験など)は、精神的な強さにつながると感じました。現場で引き気味になることなく、ガツガツと臨床に取り組む姿勢が大切だと感じています。

 

Part 2:CSAを乗り切るための「テーマ」の見つけ方

専攻医B: CSAは、普段の診療とは違う緊張感があります。先生は、ステーションごとにどのようなことを意識されましたか?

 

前島先生: CSAのどのステーションにおいても、採点者に必ず聞いてもらいたい「ポイント」や「テーマ」が設定されているはずです。その症例のテーマはどこにあるのか、を考えることが重要です。

 

専攻医A: そのテーマを見つける訓練が大変そうです。

 

前島先生: 実際、つくば総診の卒業セミナーで毎年行われる模擬CSAは、テーマがどこにあるのか分かりにくいように意図的に複雑に作られています。そのため、普段からその難しい「つくば総診のCSA」に苦しんで対応していれば、本番のCSAは「イージー」だと感じるはずです。本番のテーマは非常にシンプルで分かりやすく設定されていることが多いです。テーマが複雑ではないので、もし途中で対応がずれたと感じても、修正が効きやすいのです。

 

専攻医A: なるほど、普段のトレーニングの厳しさが本番で活きるのですね。実際の診療フローについても、研修の習慣が役立った点はありますか?

 

前島先生: はい。例えば、通常の外来診療では問診から診療が始まりますが、呼吸が苦しそうな患者さんが来たらまずサチュレーションなどのバイタルサインを測り、サチュレーションが低ければ酸素投与をするといった初期対応を優先する日々の診療を実践しているかと思います。CSAにも救急のステーションがありますが、そこではそういった初期対応能力が求められていました。

 

専攻医B: 診療の「当たり前」を試験でも実践すること、ですね。

 

前島先生: まさにその通りです。普段から「苦しいですか?」と聞くだけでなく、バイタルを評価していますよね?そういった普段通りの初期対応を緊張せずにやれば大丈夫です。その上で、その症例の裏にあるテーマを探していく、という流れで良いと思います。

 

Part 3:満点を目指さず、最後まで丁寧に

専攻医A: CSAは10分間という制限時間がありますが、全て丸く収める必要はあるのでしょうか?

 

前島先生: 全て終わらせる必要は全くありません。私自身も、だいたい7〜8割程度で終わったと感じています。テーマに沿ってある程度進行させていれば問題ありません。むしろ、テーマを掘り下げていけば、時間が余ることは少ないはずです。

 

専攻医A: 途中で失敗したと感じても、気にせず進むべきだと。

 

前島先生: その通りです。途中でうまくいかなかったステーションがあったとしても、それが即不合格につながるわけではないと思います。最後まで丁寧に診察を続けることが重要です。満点を目指す必要は全くありません

 

専攻医B: 試験の準備として、広範囲の専門知識を詰め込む必要はあるのでしょうか?

 

前島先生: そんなに広い範囲の引き出しはいらないと思います。準備すべきは、これまでの試験の「公表」と、「ブループリント」(出題範囲の概要)です。ブループリントには、専攻医であれば経験がなくとも「知っているよね」というレベルの内容がほとんどです。

 

専攻医A: 最後に、これから試験を迎える後輩たちにメッセージをお願いします。

 

前島先生: 統括的な研修を積んでいる皆さんなら、「絶対大丈夫」というスタンスで臨んでほしいです。普段の診療こそが最強の準備です。心配せずに、最後まで頑張ってください。