筑波大学附属病院総合診療科 ブログ

夏期セミナー「ひとまずやろうぜ!診療所救急」

2017年8月8日テーマ:筑波総合診療グループ

今年も恒例の日本プライマリ・ケア連合学会主催『学生・研修医のための家庭医療学夏期セミナー』の季節がやってきました。
今回は滋賀県長浜市の長浜ロイヤルホテルで8/5(土)から8/7(月)までの3日間に渡り行われました。
私は8/6(日)夜の懇親会および8/7(月)のセッションに参加しましたので、その様子をお届けします。

懇親会はホテルの大広間で一面に青ビニールシートを敷き詰め、自由に座り込みながら酒缶とお菓子類を思い思いに口に運ぶというスタイルでした。21時半〜24時という遅い時間の催しでしたが、学生・研修医の総参加人数が250人ということもあり、若さと熱気に溢れた雰囲気がとても印象的でした。個人的には私の学生時代も含めてこういったセミナーに参加するのは初めてのことでしたので、参加している学生達とお酒を交わしつつ色々な話をするのはとても新鮮でした。主にこれからの総合診療の行く末や家庭医療に関して意見を交わしましたが、学年に見合わないような老成した考え方と有り余る熱意に当てられて、いつもよりお酒が回るのが早かった気がします(笑)優秀な学生ばかりで、触発されたと同時にこいつはうかうかしていられないと感じました。

日付が変わって8/7(月)9時からが私にとっては本番です。今回筑波大学総合診療グループが催すのは「ひとまずやろうぜ!診療所救急」。人員や検査機器の少ない診療所において救急患者の初期対応をいかに行っていくか、を学生に体験してもらうセッションです。具体的には3つのシナリオを基に学生は3人ずつのグループに分かれます。そして医者・患者・観察者をシナリオ毎に交互にこなしながら、初期評価のプロトコルに従って病院への搬送までを行います。私は他のつくば総診の先生とともにファシリテーター役で参加しました。ホテルの小規模な宴会場で行い、学生・研修医の参加人数は17人でした。当初想定していたよりも学生達の飲み込みが早く、皆自信を持って模擬診療を出来ていて、改めて参加する学生達のレベルの高さに驚きました。セッションは特段のトラブルが起きることなく終了し、幸いなことに学生達からの評判も良かったとのことです。セミナー初参加の私も貴重な経験をすることができ、大変有意義な時間を過ごせて満足でした。何事も足を踏み出せば良いことがあるものですね。次回のセミナーにも企画も含めて積極的に参加したいと思いました。

文責:S1 宮本 卓

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雨引小学校での健康教育授業

2017年8月7日テーマ:筑波総合診療グループ, ステーション

レクチャーの様子

シニアレジデントの坂倉@大和クリニックです。
クリニックの診療圏内にある雨引小学校で、6年生を対象に健康教育の出前授業をさせていただきましたのでご報告します。

今回のテーマは、「薬物乱用防止」。レクチャーとグループワークを織り交ぜ、計45分の授業でした。当初は緊張もありましたが、始まってみると子供たちの生き生きした眼差しや積極的な発言にこちらが引き込まれてしまうくらいで、緊張もいつしか吹き飛び子供たちの笑顔に背中を押されながらあっという間の45分間でした。

グループワークの様子

グループワークの様子2

前半のレクチャーではパワーポイントを使って、ドラッグの定義や心と体への影響について、幻覚、依存、フラッシュバッグなどの用語を説明し、後半のグループワークでは、「ドラッグを断ろう!」をテーマに児童にセリフを考えてもらい、ロールプレイ形式でドラッグの誘いを断る練習をしました。担任の先生が、ドラッグを誘う不審者に扮して熱演してくださり、児童への熱い思いを感じました。

配布した健康教育だより

今回は担任の先生、養護教諭の先生、クリニック院長の木村先生と看護師さんにも協力いただき、準備段階で意見をいただいたり、当日のグループワークの進行やロールプレイを手伝っていただいたりしました。出前授業を通して養護教諭の先生から、普段の子供たちの様子や健康問題、健康教育のニーズについて色々と直接教えていただくことができ、貴重な経験となりました。

また、学生時代に取り組んでいた健康教育サークルの資料を引き出してきたこともあり、現在の後輩たちの活動やミーティングの様子に触れ、熱心に議論しながら授業作りをしている後輩たちの姿に背すぎが伸びる思いがし、また当時の自分たちの熱意や勢いを懐かしく思い出す機会となりました。

反省点を次に生かしつつ、出前授業を通じて地域の顔の見える関係が広がっていくといいなと願います。ますます親しみのわいた大和の地域で、残りの2ヶ月の研修に励みたいと思います。

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大森先生の記事が産経新聞・産経ニュースに載りました

2017年8月2日テーマ:筑波総合診療グループ, ステーション, 大森医院

大学総合診療科/大森医院の片岡です。
以前、このブログでもお知らせしました大森先生の記事が、7月29日の産経新聞および産経ニュースに載りました。

日本医師会赤ひげ大賞第5回受賞者 大森英俊医師
医療過疎地域の体制づくりに注力 (2017年7月29日、産経ニュースより)
http://www.sankei.com/life/news/170729/lif1707290005-n1.html

先月も、初期研修医の先生が大森医院で見学や研修をされ、地域医療の楽しさ、醍醐味を味わってこられたようです。
そして10月からは今年度の医学生の実習も本格的にスタートします。

私も、学生時代に(そして今も時々)一緒に酒を酌み交わさせていただいた一人として、
大森医院が地域とともに育んできた地域医療のお手伝いをしつつ、また多くの人にその魅力を伝えられるように頑張ります。

片岡 義裕

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出産&近況報告

2017年7月29日テーマ:筑波総合診療グループ

みなさんからの出産祝いを手に

後期研修医の孫です。5月に第2子となる女の子を無事出産しました。
現在は8月からの復職を控え、残り少ない子供と1日べったりな生活を楽しんでいます。毎日同じことの繰り返しのようでも、子供は日々大きくなり、できることが増えているのでおもしろいです。

思えば昨年度前半は、仕事と第1子の子育てに奮闘し、後半はそれに妊娠が加わり、以前のように100%仕事に全力投球できないもどかしさを感じることもありました。
そんな時に先輩の先生方から「出産や子育てを経験することは総合診療医としても糧となる。」「子育てはこれからもずっと続くから、今までと同じ働き方はできず、今後は限られた時間の中でうまくやりくりしていかないといけないよ。」とアドバイスを頂き発想を変えることができました。

周囲に迷惑をかけてしまうこともたくさんありましたが、どこの職場でも体のことや子供のことに気を遣って頂き、希望に沿うような働き方をさせてもらえたことに感謝しています。

筑波大学総合診療科にはロールモデルとなるような、子育てをしながらキャリアを積んでいる女医の先生がたくさんいるので(しかも3人の子育てをしている先生方が多いです!)、ワークライフバランスやキャリアのこと、子育ての悩みなど何でも相談できて本当に心強いです。

好きな仕事をしながら子育てもできる贅沢さを味わいつつ、今後も頑張っていきたいと思います。

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「カミス『ココ』でずっと会議」開催しました!

2017年7月25日テーマ:筑波総合診療グループ, 神栖

会議の様子

神栖地域医療教育センター・神栖済生会病院の細井です。神栖市で、在宅医療を推進するために、「カミス『ココ』でずっと会議」を開催しましたので、報告します。

神栖市は人口10万人あたりの医師数が全国でも最も少ない地域の1つである鹿行地区に位置しています。訪問診療を行っている医師数も限られており、在宅療養をしている患者さんの数は、全国平均の1/10と圧倒的に供給体制が不足しています。国策により、「病院医療から在宅医療へ」の流れが押し進められるなか、このままでは、患者さんが住み慣れたまちでいつまでも暮らし続けることができなくなる可能性が高いと考えられます。

そこで、「神栖市でずっと暮らし続けるために、少ない医療資源の中でどのようにすれば在宅医療を維持・推進できるか、そのための課題・実現可能な解決策は何かを多職種で考えていこう!」というコンセプトの下、多職種連携会議を2017年6月末に開催しました。

※カミスココくん、というゆるキャラにちなんで会議名を決定しました。

カミスココくん ©神栖市

当日は実際に地域で働く医師や、訪問看護師、ケアマネージャー、薬剤師、理学療法士/作業療法士、ソーシャルワーカー、栄養士さんなど総勢80名を超える皆さんが参加してくださいました。

内容としては、神栖市内で在宅医療を行う上での困難・課題について、ワールド・カフェ方式で話し合いました。多職種で話合うことで、様々な課題が見えてきました。
例えば、「(在宅希望の患者がいるとき)どこに相談すればいいのかわからない」「導入前の職種間の情報共有が不足している」「在宅医療の知識が不足している」「少ない医師の中で365日24時間体制は難しい」などなど。それに対する具体的な解決策についても話し合いました。

開催後のアンケートでは、「多職種で話合い、理想ではなく、この今の神栖市の状況で実現可能な解決策を考えていくのは「チーム」という一体感がある」と、とても高評価を頂けました。今後さらに運営方法をブラッシュアップしていきたいと思います。
今回の会議では、在宅医療を導入する時期に困る事について議論しました。今後は年に4回の頻度で、在宅医療の維持期や市民への啓蒙についても課題や解決策を多職種で考えていく予定です。

本事業は、神栖市からの委託事業として行っています。多職種で考えた課題、それに対する実現可能な解決策を、行政と連携して次年度以後に実際に行い、どのように多職種の考え方・働き方が変わるか、さらにそこでみえてきた課題を見つけ、改善していく。その一連の過程を、アクションリサーチという研究方法で、分析していく予定です。それぞれの職種へのインタビュー調査も随時行っていきます。

何より患者さんたちが希望の場所で長く療養できるように、少しずつでも神栖市に「変化」が起きればいいと思っています。

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北茨城市民病院附属家庭医療センターを視察してきました!

2017年7月18日テーマ:筑波総合診療グループ

C2稲葉@笠間市立病院です。

今年からプログラム評価係を仰せ付かり、レジデントの立場としてプログラム内の他施設を視察し研修内容を評価する任務を与えられました。グループ内の研修がより良いものになるように、少しでもフィードバックしていければと思っています。

先日、プログラム評価のため北茨城市民病院附属家庭医療センターを視察してきました。
私自身、北茨城に行くのは初めて。筑波からは車で1時間40分程。普段筑波から笠間まで車で通勤しているせいか、思ったよりも近い印象でした。

北茨城市民病院附属家庭医療センターは、とにかく新しく綺麗!そして設備も素晴らしい!写真を撮り忘れましたが、当直室に加え学生の宿泊部屋もあり、どちらも非常に綺麗。診察室は十分なスペースがあり、その真ん中にはプリセプター室という部屋がありました。そこでは何と、診察風景をレビューできるビデオシステムが導入されていました。レジデントは患者さんの許可をいただいて、どの診察室からでも自分の診察風景を録画することができます。このシステムを使ってのビデオレビューは、学びも大きそうです。私は同期の大澤さやか先生の診察風景をビデオで見させていただきましたが、患者さんとの距離感や、視線の配分など、非常に参考になりました。

午前は外来視察に加え、大澤さやか先生の訪問診療に同行させていただきました。
暑い中訪問件数も多くて大変でしたが、看護師との息もピッタリ合った大澤さやか先生のてきぱきとした診療が印象的でした。実は自分は同期レジデントと働いた経験が一度もなく、同期の診療を初めて見てとても刺激になりました。

午後は高橋聡子先生とともに北茨城市民病院の退院前カンファレンスに参加してきました。高橋先生もセンターの看護師さんも皆、市民病院での勤務経験があることから、市民病院側のスタッフとも顔見知りで、連携もスムーズに取れているようでした。

視察全体を通して、北茨城市民病院附属家庭医療センターはとても充実した研修環境だと感じました。笠間市立病院の研修の改善にも役立ちそうな点もいくつかあり、とても参考になりました。
1日と短い視察時間でしたが、北茨城市民病院附属家庭医療センターの皆様ありがとうございました!

 

 

文責:C2 稲葉 崇

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ノンテクニカルスキル研修 参加者募集

2017年7月16日テーマ:筑波総合診療グループ, 未来医療GP

筑波大学で開発、推進しているノンテクニカルスキル研修の一部を、保健医療福祉関係者の皆さまに全体公開することになりました。

来年度から全て有料講習になる予定ですので、もしご興味のある方がおられましたら、お早めに申込みいただければと思います。

年間予定は以下の通りです。

http://www.hosp.tsukuba.ac.jp/mirai_iryo/pdf/H29-non_technical_skill.pdf

筑波大学関係者を優先して登録するため、各回、若干名の募集となりますが、多くの方々のご参加をお待ちしております。申込先は、文末に記載しています。

<無料・自分を知る>
10月1日(日) MBTI:自分の心を理解する 【基礎編】
10月1日(日) MBTI:自分の心を理解する 【タイプダイナミクス&コミュニケーション】

<無料・人と関わる>
11月19日(日) コンフリクトマネジメント研修+交渉術

<無料・人を育てる>
12月16・17日(土・日) コーチング+人材育成(2日間)

<無料・チームを作る>
7月29日(土) チームマネジメント研修
9月3日(日) ミーティングファシリテーション研修

<無料・チームを動かす>
3月10・11日(土・日) 問題解決能力トレーニング研修(2日間)

有料・チーム医療演習>
10月9日(月・祝) TEAMS-BI 仕事の教え方
11月5日(日) TEAMS-BP 業務の改善の仕方

<研修等のお問合せ・お申込み>

筑波大学附属病院 総合臨床教育センター
総合診療医養成事業推進支援室(担当 横谷)
Tel 029-853-3339
E-mail mirai.iryo〇un.tsukuba.ac.jp(〇をアットマークに変更ください)

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日本プライマリ・ケア連合学会 基本研修ハンドブック 執筆しました

2017年7月12日テーマ:筑波総合診療グループ, 大学

執筆した書籍を手に

日本プライマリ・ケア連合学会の基本研修ハンドブック改訂2版が出版されました。
同じ筑波大学の阪本先生、春田先生、横谷先生も執筆されています。

私は、「タバコ、アルコール問題への関わり」を担当しました。
タバコとアルコールの両方の問題を学んだものとして、物質使用障害/依存症候群の考え方・アプローチの共通点と違いについて記載させていただきました。

タバコもアルコールも対策が注目を集めていますが、必要な時に適切なスキルを発揮できるよう、トレーニングの一助になれば幸いです。

筑波大学総合診療科 吉本尚

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総合診療専門医の試験対策本、執筆しました

2017年7月11日テーマ:筑波総合診療グループ, 大学, 水戸

執筆した本を手に

書籍「総合診療専門医のためのワークブック(3)専門医試験対策」が出版されました。
水戸地域医療教育センターの木下賢輔とともに、分担執筆をしましたのでご紹介します。

今回は
・プライマリ・ケアにおける自殺予防
・ニコチン依存症(喫煙)への対応
・アルコール使用障害への対応
の3つを担当しました。

総合診療医の日常診療の中で、これらの問題を持つ患者さんに接することは多いですが、これらの問題を解決するために自ら相談しに来られる方は、そんなに多くありません。
別の訴えで来られた方の背景にあるこれらの問題を意識しておかないと、ケアが不十分になりがちな領域です。

試験対策という意味でも、日常診療の抜け漏れチェックという意味でも、お手に取ってお読みいただければうれしいです。

筑波大学総診診療科 吉本尚

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雑誌「治療」7月号“複雑困難事例集” 刊行されました!

2017年7月10日テーマ:筑波総合診療グループ

刊行された雑誌を手に(筆者)

川崎セツルメント診療所の高木です。

『事実は、小説よりも奇なり』

このたび、雑誌の編集をする機会をいただきましたので、宣伝です。
特集内容は「複雑困難事例集」。

全国のさまざまなプライマリ・ケアの現場で、遭遇している複雑困難な事例をたくさんの方に協力してもらい刊行しました。私は総論パートを仰せつかり、さらに筑波総診グループからは、久野先生、山本先生、鈴木諭先生、廣瀬由美先生らにご協力いただきました。

ひとつひとつの内容は知識のブラッシュアップにもなりますが、何より「自分と同じようにプライマリ・ケアの現場で頑張っている仲間がこんなにいるんだ」という勇気、ある種の感動さえ感じられます。

・・・暑い日が続いておりますが、こちらもずいぶんアツい内容になってます!是非、お手に取ってご覧ください。

治療 2017年7月 Vol.99 No.7「複雑困難事例集」(http://www.nanzando.com/journals/chiryo/909907.php

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第2回 後期研修プログラム説明会のお知らせ

2017年7月5日テーマ:筑波総合診療グループ

8月26日(土)に、「つくば家庭医・病院総合医プログラム」の第2回説明会を行います。前回ご都合が合わなかった方も、是非ご参加ください。
懇親会もありますので、こちらもご参加下さい。懇親会のみの参加も歓迎します!

日時:2017年8月26日(土)16時00分~

場所:筑波大学 地域医療システム研究棟2階オフィス

対象:初期研修医2年目、1年目、医学生、その他当グループでの後期研修を考えている医師

内容
・研修プログラムの概要、新専門医制度(予定)についての解説
・レジデントの声・各研修施設の紹介
・ 質問タイム

懇親会:18時30分~ 場所 筑波大学周辺 (決まり次第お知らせします)

当日は、カジュアルな服装でご参加ください。

参加希望の方は、筑波大学総合診療科 soshin@md.tsukuba.ac.jpまでご連絡ください。

皆様の参加をお待ちしています!

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【10月14日】第4回 つくセミを開催します!

2017年7月2日テーマ:筑波総合診療グループ, 未来医療GP

ミーティングの様子

みなさんこんにちは!
筑波大学医学群医学類4年の加藤久貴です。

今年も「第4回 つくセミ ~総合診療 ★ 家庭医療全国公開セミナー in Tsukuba~」の開催が決定いたしました!
開催日は10月14日(土)です。

昨年に引き続き、今年もセミナーの代表を私が務めさせて頂くことになりました。
頼りない身ではありますが、みなさんに楽しんでもらえる・来てよかったと思ってもらえるセミナーになるよう精一杯務めたいと思います!

よろしくお願い申し上げます。

さて、本日はセミナーで行うセッション内容を先生方と学生スタッフで話し合いました。
昨年とは違ったセッション内容にしようと学生だけでなく、先生方からもたくさんのアイデアをだしていただきました。

どれもこれも勉強したい内容で目白押しで、今から当日のセミナーが待ちきれないです!

セミナーでは、大学では学べないより深い内容を扱う予定でありますので、
みなさん、是非ご参加下さい!

筑波大学医学群医学類4年
加藤久貴

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笠間市での地域包括会議の取り組み 第6回

2017年7月3日テーマ:筑波総合診療グループ, 笠間, 地域包括ケア

笠間での地域包括会議も第6回になりました。
今回は、皆で協力して進めてきたJPACTを用いたアンケートの結果を共有しました。

この図は、結果をわかりやすく示したpriority matrixです。左上に最も近い要素が、総合満足度と相関する要素です。この調査からは、最も満足度と相関するのは継続性のようです。会議に参加している多職種からも、現場の実感と一致するとの声が多数出ました。今回の調査は、市役所の職員などの若い人も多数含まれていることから、包括性が低く出た可能性も否定はできません。さらに、現場ではよく話を聞いてくれる話しやすい先生は満足度が高いという口コミを耳にすることが多いので、実際の患者層は近接性も大切にしている可能性があるという意見も出されました。この結果は、今後この会議で出てくる色々な企画の取捨選択の一助になりそうです。

次に、前回会議からの議題である、「元気なシニア世代(支援を受けていない人、今後支援になりそうな人、55~65歳くらいの人)」に何ができるかを皆で考えてみました。
地域包括支援センターからは、認知症カフェ、診療の待ち時間を利用した体操クラブ、自由参加の健康教室などたくさんの意見が出ました。
保健センターからは、糖尿病教育入院や保健指導のさらなる充実などの意見が出されたことに加え、以前に上記の人をターゲットに夜間の健康相談室を行ったが数人しか来なかったという失敗談の共有も。
病院からも、介護指導や介護体験などの取り組みをやってはどうかという意見が出ました。

ここで、55~65歳の人はどういう人かの議論になりました。市役所職員の皆さんは、特にこの年齢の男性への介入が難しいと感じているようです。夫が仕事をやめて、子供も巣立っていて、夫婦2人の生活になるというライフサイクルの変わり目です。この年齢の男性は、集団ではあまり動かず、個人の趣味などの方向性に行くことが多いとの実感があげられました。この年齢の男性への笠間市の取り組みでうまくいっていることは、ダンベル体操教室だそうです。これがうまくいった要因から考えてみたところ、男性は「個人」「力仕事・筋肉」「自己コントロール観」「競争」などの要素があると良いようです。

話し合いの最後には、この会議の取り組みは笠間市の取り組みなので、笠間ならではの笠間焼、ゴルフ、グランドゴルフ、合気道などの要素を取り入れてみてはどうかとの提案が。これなら男性にもうまくいきそうな要素が入っている気もします。

今回の会議では色々と具体案が出ました。次回の会議では、今までに出た具体案をリストアップし、実現可能なものとそうでないもの、この会議でやるべきこととそうでないものを整理し、優先順位付けをしていく作業に移りたいと思います。

 

文責:C2 稲葉 崇

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第1回 後期研修プログラム説明会 報告

2017年6月26日テーマ:筑波総合診療グループ, 筑波メディカルセンター病院

前野先生からのお話

フリートークの様子

6月24日、筑波大学総合診療グループの第1回後期研修プログラム説明会が開催されました。

説明会ではまず、前野教授にたっぷり1時間の講演をしてもらいました。総合診療とは?といった話から、研修プログラムの概要など、参加者は皆真剣に耳を傾けていました。

次に、現役レジデントからは各々が筑波に来た理由や研修の中で感じること、また各施設の紹介をしてくれました。入局した当初の思いに立ち返ることは普段ないので、発表者にとっても、入局時点からみる今の到達点を確認する良い機会になったのではないでしょうか.

最後のフリートークでは、より具体的な研修の話や参加者からの「聞きにくいけど聞きたい××な話」で大いに盛り上がり、その後の懇親会では、研修以外のことについても夜更けまで語り合ったようです。

第2回説明会は8月26日を予定していますので,興味のある初期研修医の方はぜひご参加ください!

筑波メディカルセンター病院 緩和医療科/筑波総合診療グループ
東端 孝博

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best abstract賞、受賞しました!

2017年6月25日テーマ:筑波総合診療グループ, 大学

受賞記念の盾とともに(透明で見にくくてすみません)

6月10-11日に京都で行われた、米国内科学会(ACP)日本支部年次総会で、若手医師部門(後期研修終了後40歳未満の医師)のbest abstract賞に選ばれました!

本研究はアルコールの摂取量に関する自己認識に関する研究で、先日書いた原著論文(大学生対象)を企業職員に対して行ったものです。
定期的な過剰飲酒をしている人は、有意に自身の飲酒量を正常ではないと考えていましたが、ビンジ飲酒(2時間での多量飲酒)をしている人としていない人との認識に、差は見られませんでした。

これは、我々が大学生対象に行った先行研究とほぼ同様の結果で、過剰な飲酒、特にビンジ飲酒に関する情報提供がより一層必要と考えられました。

最近、筑波総合診療グループは外部評価による受賞等が続いておりますが、周囲のメンバーから刺激を受けながら、今後も発信を続けていきたいと思います。

講師 吉本 尚

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笠間市での地域包括会議の取り組み 第5回

2017年6月24日テーマ:筑波総合診療グループ, 笠間, 地域包括ケア

前回、市長の登場で盛り上がりを見せた笠間地域包括会議。先日、第5回が行われました。今回から春田先生が海外留学のためskypeによるビデオ参加になりました。

今回の議題は、笠間市にある様々なネットワークを見える化しよう!ということで、参加した各部署がそれぞれ関連するネットワークを挙げていきました。

保健センターからは、健康作り連絡協議会、子育て包括協議会なるものがあると報告がありました。健康作り連絡協議会は地域の人に加え医師会の先生方も参加しているらしい…そんな協議会があるなんて、この会議で聞くまで全く知りませんでした…。

地域包括支援センターからは、地域包括ケアシステムネットワークの報告がありました。これは、①介護医療、②高齢者見守り、③生活支援 ④地域リハビリ支援 ⑤ケアマネネットワークの5分野で定期的な会議や介入をしているようです。

企画課からは、介護健診ネットワークの説明がありました。
担当ケアマネージャーのいる高齢者の情報がクラウド上で共有されており、ケアマネージャーの人たちには役に立っているようです。医師にも活用してほしいとのことで当院にも既にデバイスが配備されていることが判明しましたが…全く活用されていません。早速会議後から活用できるようにセッティングをすることに…。

ここに書いた以外にも笠間市には色々なネットワークがあり、自分が想像した以上に市役所の人々は地域への取り組みをたくさんしていると感じました。しかしながら、ネットワーク間の連携が取れておらず、同じようなことをそれぞれの部署がやっていたり、うまく活用されていなかったりするケースが多々あるとも思いました。今回はそれが分かっただけでも収穫な気がします。

会議の後半には、今後この会議がどのような市民を対象に介入を進めるのがよいのか?が話題になりました。市役所の方々が上記のようなネットワーク、プロジェクトをやっていく中でもう少し介入したいと感じているのは、介護保険がまだ必要ない、比較的元気な55~65歳の人々との意見が出されました。確かに、元気な55~65歳は上記のネットワークでも対象になりにくい気がします。

次回は、この55~65歳の人たちに何ができるか、具体的に考えていくことになりました。春田先生がビデオ参加の状況での会議をとりあえず乗り切りましたが、まだしばらくビデオ参加は続きます。会議が良い方向に行くとよいのですが…。多職種をまとめつつプロジェクトを進めるのは大変ですが、良い経験にもなっています。引き続き頑張ります!

 

 

 

文責:C2 稲葉 崇

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OHSU ベンさんとの意見交換会

2017年6月21日テーマ:筑波総合診療グループ, ステーション, 地域医療教育学講座, 大学, 未来医療GP

2017年6月21日に、オレゴン健康科学大学(OHSU)家庭医療科の大西恵理子先生とOHSUにて財務を担当しているBenさんとの意見交換会が開催され、参加させていただきました。

こちらはお昼の歓迎会でのシーン

総勢14名が参加し、大変盛り上がりました。日本からも医師や学生を受け入れたり、またアメリカ国内や他の国からも家庭医研修を受け入れたりと、家庭医のメッカの一つであるOHSUの研修受け入れに関するコツや工夫や苦労話などをお聞きする貴重な機会でした。

医師の専門性による処遇の差や医師雇用体制の違い、都市部以外での医師確保の難しさや医学教育に多職種を巻き込む必要性など、米国ならではの医療事情や日米が共通して抱える家庭医療領域の問題などの意見交換ができ、とても楽しい時間でした。

折に触れ、海外の例を通して日本の今を見つめ直すことも面白いなと再確認した意見交換会でした。

レジデント 大澤さやか

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在宅医学会 参加報告

2017年6月18日テーマ:筑波総合診療グループ

6月17日~18日に名古屋で行われた、第19回日本在宅医学会大会に参加しました。

認知症カフェのニーズ調査、在宅移行前のコミュニケーションの課題、終末期の食支援など、シンポジウム、ポスターともに幅広いテーマで色々な職種からの発表があり、興味深かったです!

在宅ホスピス緩和ケアのセッションでは、おだやかに(織田やかに)、朗らかに、なごやかに(名古屋かに)という在宅緩和を支える3つの「カニ」を名古屋の土地にちなんで紹介されていました。

左の花がついているのが筆者のポートフォリオ

写真は在宅専門医試験で私が提出したポートフォリオを優秀ポートフォリオに選んでいただき、大会会場に掲示してもらったものです。

受験者のハードルを避けるため、今年から候補となった14つのポートフォリオも掲示することになったそうです(優しい配慮です)。

在宅の知識は、病院緩和ケアでの症状緩和、療養調整でも大事なので、今回の学会で学んだことを日々に活かしていきたいです。

レジデント 久野遥加

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ケヤキを眺め、時の流れを思ふ

2017年6月15日テーマ:筑波総合診療グループ, ステーション, 大森医院

大森医院で週2日働くようになり、3か月目を迎えました。
実は自分自身、診療所で働くのは数年ぶりでしたが、学生時代に実習でお世話になっていたこともあり、なんとなく懐かしさも感じながら、少しずつ診療に慣れてきました。

先日、訪問診療の途中で、大森先生とレジデントの中野先生、実習に来ていた医学生とともに、診療所近くにあるという巨木を見に行きました。

右下は中野先生

茨城県の天然記念物にも指定されているケヤキの木で、樹齢は約550年、樹高は23mあります。
写真は4月のもので葉がありませんでしたが、翌月には見事に葉が茂っていました。

この木を眺めた後、ふと時間の流れについて考えました。

90年前に大森医院が開院し、
20年前に大森先生が医院に戻ってこられ、
10年前に栗原先生が着任され、
そして
3か月前からの自分や中野先生がやってきた・・・

大森医院には、自分が人生の3倍歴史があり、ケヤキにはその5倍以上の歴史があることを考えると、自分がとてもちっぽけな気もしてきますが、でもその歴史に参加させてもらい始めたことに嬉しさも感じます。

脈々と受け継がれてきた伝統、医院と地域との関係を大切にしながらも、よりよい診療や研修を目指して、日々取り組みたいと思います。

指導医 片岡 義裕

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JPCA高松大会 専攻医優秀賞 受賞報告

2017年6月14日テーマ:筑波総合診療グループ, ステーション

発表の様子

遅ればせながら、高松のプライマリ・ケア連合学会学術大会の報告をさせていただきます。

今回、「日本のプライマリケアにおけるアルコール過剰摂取のスクリーニングのためのAUDIT-Cの診断制度の検証」という演題で専攻医優秀賞をいただきました。

私自身はこれまで研究というものには無縁でありましたが、自分の研修していた北茨城での研究(主に分析)に携わることができ、(当時)後期研修最終学年としては非常に意義のあるものとなりました。

昨年度から、アルコール関連の雑誌執筆、その後アルコール医学会の学会発表、と段々とアルコール漬け(笑)にされながら、今回の発表まで進めました。研究初学者の私には基礎編から応用編まで一段一段、階段を登って知識を蓄えられた点でよかったと思います。

研究デザインの設定や、分析、データの解釈も含め、初めての経験ばかりで頭を悩ませた日々でしたが、アルコール問題が身近な問題であり、まさに家庭医療で関わるべき問題であることから、興味を持って取り組むことができました。

このような賞をいただけたのは、何より多くの先生方に助けていただいたおかげです。心から感謝しております。

今回、私が賞をいただけたことで、北茨城という茨城の最北端の場所からも発信できるんだと、後期研修医の皆さんの今後の励みに少しでもなれたら幸いです。

北茨城市民病院附属家庭医療センター 高橋聡子

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