終活フェス開催報告 第3弾『終活って、何をすればいいの?』
2019年12月26日テーマ:筑波総合診療グループ, ステーション, 地域医療教育学講座, 神栖, 未来医療GP, 地域包括ケア
神栖済生会病院の高橋です。
少し時間が経過してしまいましたが、2019年11月30日に神栖防災アリーナで開催された
市民公開講座『終活フェス』の開催報告シリーズ 第3弾をお届けいたします。
私は『終活って、何をすればいいの?』と題したトークセッションを担当しました。
『終活』と一言でいえども医療・介護から財産管理、遺言、身辺整理、供養・・・など、
様々な要素が沢山ありますよね。
このトークセッションでは、
「医療・介護」の視点から髙橋(医師)が、
「法律家」の視点から神栖法律事務所の安重弁護士が、
「当時者・家族」の視点から実際に在宅での看取りを経験されたご家族が登壇し、
それぞれプレゼンテーションを行ないました。
その後、3者による対話や会場の参加者からの質疑応答も交えながら、
『終活』について多角的に考える内容となりました。
まず、医師である髙橋から終活の全体像と注意点をお話した後、医療介護について考えておくこと、
特に今回の終活のフェスのメインテーマである『人生会議』(アドバンス・ケア・プランニング(ACP))について改めて解説しました。
つづいて、弁護士の安重先生より、しばしば見られる遺産関係のトラブルや遺言を作っておくことの重要性など、法律家ならではのお話を聞くことができました。
なお、安重先生は地元鹿行地区の出身で、現在神栖市内に事務所を構えておられます。日頃から医学生の地域医療実習にもご協力くださっており、そのご縁もあって、今回のようなコラボが実現しました。
(地元の他業種と繋がることで、私たちの視野も拡がり、更なる繋がりを生んでいます。)
そして最後は、在宅での看取りを経験されたご家族に登壇していただきました。
様々な苦労をされながらも家族一丸となり、ご本人が希望される自宅での生活を支えられました。その貴重なご経験を通して、本人の気持ちに寄り添うことの大切さ、家族で意志を共有することの大切さを教えてくださいました。
実は、このご家族には、私たち訪問診療チームがケアに関わらせて頂いていました。今回の取り組みを進めるにあたり、ご相談したところ、市民公開講座の主旨にご賛同くださり、登壇してくださることになりました。
ただでさえご家族を亡くされた悲しみを抱えながらの状態にも関わらず、このような場で発言されるのは、とても勇気のいることだったと思います。しかし、市民の方々に、在宅医療について少しでも考えてもらうきっかけになればと、快く協力して下さいました。
専門職や行政職ではなく、このように当事者や市民の立場の方にご登壇していただくということは、我々にとってもチャレンジングな試みではありましたが、地域に根ざした住民中心の医療・ケアを発展させていく上で非常に重要かつ有意義な試みであったと思います。
さて、セッションの後半は、壇上に登壇者全員が集まり、登壇者が互いに質問し合いながらのトークコーナーと会場の参加者の方々からの質問にお答えするコーナーを設けました。
参加者からは、特に在宅医療に関する質問が多く寄せられ、関心の高さが伺えました。
もちろん、在宅医療はあくまで選択肢の一つにすぎませんが、なにより登壇者の皆さんのご発言などを通して、患者本人の気持ちに寄り添い、最善を考えること、家族や知人が互いに想いを共有したり、準備したりしておくことの大切さをお伝えすることができたのではないかと思いました。
今後、神栖市での在宅医療の普及も含め、それぞれの希望に沿った選択ができるように、活動を続けていきたいと思います。
文責:神栖済生会病院 内科・総合診療科/つくば総診 髙橋 弘樹
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・終活フェスの内容について紹介されています。
・当日のポスター、チラシをフルサイズで閲覧できます。