プライマリ・ケア連合学会学術大会 ポスター発表の振り返り
2018年8月8日テーマ:筑波総合診療グループ
先日行われた第9回プライマリ・ケア連合学会学術大会で、「全身に目を向け患者の訴えに耳を傾けよう~消化器症状で発症したCogan症候群の1例」という演題で、ポスター発表を行いました。
この発表に用いたのは神栖済生会病院で2017年8月に経験したCogan症候群の症例でした。Cogan症候群は聴力障害・めまいなどの前庭蝸牛症状、羞明・霧視などの眼症状を来す全身性血管炎で現在、世界で数百例のみの報告となっています。
五十野博基先生、細井先生の指導の下、以下のように準備を進めました。
まずCogan症候群の情報を入手することから始めました。
Cogan症候群の過去の症例報告、文献を検索してCogan症候群の症状、診断基準、治療、経過などの臨床像の典型例、非典型例の概要をインプットし、それらに対して本症例の新規性・特殊性、今後の臨床に役立つ一般化可能な有用性を抽出し、今回の発表で強調すべき点を明確にしました。
それらと並行してパワーポイントで作成すべきスライドの大枠を先に決定し、10~15枚を目安にスライドを作成しました。伝えたい情報を過不足なく重複なく盛り込むのは難しい作業でしたが、言葉の選び方、文章の構成、項目立ての仕方を変えることで、情報量を減らさずに文字数を削減することができました。
そのスライドをA0サイズのポスターに張り付け、レイアウト調整を行いました。見やすさと情報量のバランスが難しかったですが、最終的に伝えたいことを伝えられるポスターに仕上げることができました。
発表時間を確認し時間に収まるように発表原稿を作成しました。当院の内科医師の前で予演会を行い、その際に挙がった質問事項についても回答を準備し、また自宅でも練習を行い、原稿を暗記してから発表本番に臨むことにしました。
発表本番では暗記した原稿がポスターの内容とリンクすることと棒読みにならないことを意識しましたが、隣や前後で他の発表が行われている中での発表であり、聴く人全員に声が届いたか自信がありませんでした。緊張しましたが普段の練習通りの発表ができたと思います。
今回の学会発表の一連の準備を通して、学会発表、症例報告と対象となりうる症例を見つけ出すポイントを学ぶことができ、また普段の診療でそれを意識することの重要性を学びました。また発表資料の作成の手順、ポスター作製のポイント、原稿作成から発表練習、本番の発表までの一連の流れを経験し、理解を深めることができました。
今回は五十野先生のご指導、リマインドにより万全の準備で本番に臨むことができました。また細井先生からは病歴・所見の記載方法、文献検索から文献の読み込みに至るまで事細かに指導していただき、良い発表につながったと思います。ご指導いただいた先生方には心より感謝申し上げます。ありがとうございました。
今後も今回の経験を活かして、より良い発表ができるように励んでいきたいと思います。
神栖済生会病院 内科 海老原 稔