筑波大学附属病院総合診療科 ブログ

「カミス『ココ』でずっと会議」開催しました!

2017年7月25日テーマ:筑波総合診療グループ, 神栖

会議の様子

神栖地域医療教育センター・神栖済生会病院の細井です。神栖市で、在宅医療を推進するために、「カミス『ココ』でずっと会議」を開催しましたので、報告します。

神栖市は人口10万人あたりの医師数が全国でも最も少ない地域の1つである鹿行地区に位置しています。訪問診療を行っている医師数も限られており、在宅療養をしている患者さんの数は、全国平均の1/10と圧倒的に供給体制が不足しています。国策により、「病院医療から在宅医療へ」の流れが押し進められるなか、このままでは、患者さんが住み慣れたまちでいつまでも暮らし続けることができなくなる可能性が高いと考えられます。

そこで、「神栖市でずっと暮らし続けるために、少ない医療資源の中でどのようにすれば在宅医療を維持・推進できるか、そのための課題・実現可能な解決策は何かを多職種で考えていこう!」というコンセプトの下、多職種連携会議を2017年6月末に開催しました。

※カミスココくん、というゆるキャラにちなんで会議名を決定しました。

カミスココくん ©神栖市

当日は実際に地域で働く医師や、訪問看護師、ケアマネージャー、薬剤師、理学療法士/作業療法士、ソーシャルワーカー、栄養士さんなど総勢80名を超える皆さんが参加してくださいました。

内容としては、神栖市内で在宅医療を行う上での困難・課題について、ワールド・カフェ方式で話し合いました。多職種で話合うことで、様々な課題が見えてきました。
例えば、「(在宅希望の患者がいるとき)どこに相談すればいいのかわからない」「導入前の職種間の情報共有が不足している」「在宅医療の知識が不足している」「少ない医師の中で365日24時間体制は難しい」などなど。それに対する具体的な解決策についても話し合いました。

開催後のアンケートでは、「多職種で話合い、理想ではなく、この今の神栖市の状況で実現可能な解決策を考えていくのは「チーム」という一体感がある」と、とても高評価を頂けました。今後さらに運営方法をブラッシュアップしていきたいと思います。
今回の会議では、在宅医療を導入する時期に困る事について議論しました。今後は年に4回の頻度で、在宅医療の維持期や市民への啓蒙についても課題や解決策を多職種で考えていく予定です。

本事業は、神栖市からの委託事業として行っています。多職種で考えた課題、それに対する実現可能な解決策を、行政と連携して次年度以後に実際に行い、どのように多職種の考え方・働き方が変わるか、さらにそこでみえてきた課題を見つけ、改善していく。その一連の過程を、アクションリサーチという研究方法で、分析していく予定です。それぞれの職種へのインタビュー調査も随時行っていきます。

何より患者さんたちが希望の場所で長く療養できるように、少しずつでも神栖市に「変化」が起きればいいと思っています。