筑波大学附属病院総合診療科 ブログ

論文掲載のご報告

2024年4月29日テーマ:学術活動(学会発表・論文・書籍), 筑波総合診療グループ

専攻医2年の島崎千奈です。

この度、ケースレポートがCureusに掲載されましたのでご報告致します。

Hyperosmia and Hypergeusia As Potential Clues in Diagnosing Adrenal Insufficiency: A Case Report

昨年秋に大学総診の外来で経験した、嗅覚過敏・味覚過敏を契機に副腎不全の診断に至った症例です。

「半年前からの食欲不振、体重減少」を主訴に近医よりご紹介となった症例でした。
大学総診では症候学などを題材に毎日朝レクチャーが行われています。
ちょうどその日の朝レクチャーは「食欲不振」がテーマで、横谷先生より「食欲不振について問診する際には、口腔内・嚥下・消化器のどこに問題があって食欲不振につながっているのか、系統的に聴取するように」とのレクチャーをして頂きました。

外来で実践してみたところ、「食べ物の味が塩辛く感じるようになった」とのお話しがありました。
そこで、以前に医学雑誌『総合診療』で「副腎不全では嗅覚、味覚、聴覚が過敏になることがある」「嗅覚過敏をみたら、副腎不全、妊娠、片頭痛を鑑別に挙げる」と読んだのを思い出し、close-ended questionで尋ねたところ、嗅覚過敏の症状もあることが分かり、副腎不全を想起し診断に繋げることができました。

大学総診の初診外来研修ではじっくり時間をかけて問診や身体診察を行い、その日のうちに指導医とともに振り返りレビューも行うので非常に勉強になります。気になる研修医の先生は、是非一度見学にいらしてください!

ケースレポート執筆は初めての経験で、「ケースレポートとは何か」というところから学ぶ必要がありましたが、1から事細かにご指導頂き、先生方に度重なる添削をして頂きましたおかげで、この度、Cureusに無事acceptされました。

今回、日頃の座学で学んだことを活かして診断に繋ぐことができ、臨床の楽しさを実感しました。また、このような印象に残る症例を自身初のケースレポートとして報告できたことも大変嬉しく思います。

最後になりましたが、執筆に際し厚くご指導頂きました先生方には心より感謝申し上げます。