ポートフォリオ勉強会を開催しました
2016年3月3日テーマ:筑波総合診療グループ, ステーション, 地域医療教育学講座, 大学, 水戸, 未来医療GP
2月28日(日)にS2レジデントデイを兼ねて、ポートフォリオ勉強会を開催しました。
これまでも、レジデントデイの中で予め担当に割り当てられた2人のS2の先生が独自のポートフォリオを作成して提示してそれについて皆で議論し、スタッフの先生からアドバイスをいただくということは行っていましたが、今回はS2レジデントデイを兼ねて、S2の7人全員が1本ずつポートフォリオを持ち寄って1日かけて勉強会を開催するということを初めて試みました。
諏訪中央病院のポートフォリオ合宿を意識して、その名も「つくば式ポートフォリオを100倍楽しむ方法(仮)」(略して「つぽたの」)とし、くだけた雰囲気で皆がざっくばらんに意見を言い合い、楽しみながらポートフォリオを勉強することを目指して、S2一同で企画したものです。この勉強会のゆるキャラを「つぽたん」と名付け、キャラクターデザインも皆さんから募集することになりました。絵心のある方がいらっしゃいましたら、是非、積極的なご提供をよろしくお願い致します。
参加者はレジデントではS2全員:一ノ瀬先生、稲葉先生、大澤亮先生、大澤さやか先生、久野先生、高橋弘樹先生、海老原と、遠隔中継でC1高橋聡子先生の8人でした。
スタッフからは横谷先生、浜野先生、春田先生、吉本先生、宮澤先生、高木先生、山本先生の7人の先生方が参加して下さいました。
また今回、ポートフォリオを「PF」を略してみようという話で一致し、S2では早速PFと呼ぶことにしました。
今回のPF勉強会の日程は下記の通りでした。
<場所>大学総合診療科オフィス2階 会議室
<スケジュール>
2月28日9時30分から17時
9:00 S2集合
9:30 開会イントロダクション(この集まりの意味:高橋弘樹先生) 10分
9:40 春田先生レクチャー
10:00-10:30 ポートフォリオ① 高橋弘樹先生 (司会:久野先生)コメンテーター※春田先生、山本先生
10:30-11:00 ポートフォリオ② 大澤亮先生 (司会:高橋弘樹先生) ※浜野先生、吉本先生
11:00-11:30 来年度レジデントデイ・ポートフォリオ作成支援について
11:30-11:40 休憩
11:40-12:10 ポートフォリオ③ 大澤さやか先生(司会:大澤亮先生) ※横谷先生、宮澤先生
12:10-12:40 ポートフォリオ④ 一ノ瀬先生(司会:大澤さやか先生)※高木先生、春田先生
12:40- ランチョンセミナー (昼食+教育勉強会 反転授業は久野先生レクチャー)
15:10-15:40 ポートフォリオ⑤ 海老原(司会:一ノ瀬先生)※山本先生、浜野先生
15:40-16:10 ポートフォリオ⑥ 稲葉先生(司会:海老原)※吉本先生、横谷先生
16:10-16:40 ポートフォリオ⑦ 久野先生(司会:稲葉先生)※宮澤先生、高木先生
16:40-16:50 休憩
16:50-17:10 振り返り(稲葉先生) グループディスカッション 「今回の企画をやってみてどうだったか」
17:10- 今後について(久野先生)
参考までにS2のメンバーのポートフォリオの領域と表題を以下に記載します。
高橋弘樹先生:
プロフェッショナル:医療倫理カンファレンスを経て経管栄養の中止を決断した脳梗塞患者の一例
大澤亮先生:
行動変容:動機づけ面接が適切に行え、患者の定期通院が継続できている症例
大澤さやか先生:
終末期:終末期の療養方針のズレを患者・家族の思いの共有、情報提供しながら解消していった症例
一ノ瀬先生:
家族:表題未定:(家族カンファレンスの有効性:反応に乏しく理解力に乏しい難しい家族に対するアプローチ)
海老原
地域ヘルスプロモーション:地域住民に対して生活習慣病に関する講演を行い予防医学への貢献を実感した1例
稲葉先生
Bio-psycho-social:表題未定(時間外頻回受診(主訴・動機)の患者への適切な対応により時間外受診が著明に減った)
久野先生
終末期:家族の悲嘆に寄り添い、看取りの体制を整えることができた1例
S2の皆さんが日々の診療の中で患者本人・家族、その他の医療従事者と真摯に向き合い、悩みながらもそれぞれの持てる力を発揮して問題解決していくプロセスと、そこから得られた学びを言語化していくプロセスがそれぞれのポートフォリオに記録されていて、それぞれの苦労の跡とそこから新たな学びを得て成長していくプロセスがよく分かる内容になっていると思いました。
スタッフの先生方からも、さらによいポートフォリオにしていくこと、そこからさらに一段高いレベルに到達するための具体的なアドバイスをして下さり、大変勉強になる一日になったと思います。
諏訪中央病院のポートフォリオ合宿のような、ざっくばらんでくだけた雰囲気で皆が気軽に意見を言い合えて盛り上がる場にしたいというS2全体の目標があり(私は参加していないので、どのような雰囲気なのかは具体的には分からないのですが)、今回はまだまだ雰囲気が固いとS2の皆さんは言っていましたが、初回としては成功だったのではないかと思いました。
S2に限らずレジデントの皆さんは、ポートフォリオの各分野でどのような症例を選んで、どのような内容のポートフォリオを書けばよいのか分からず思い悩んでいる方もいるのではないかと思いますが、今回の企画は、それぞれ異なる領域の異なるケースのポートフォリオを皆で一例ずつ持ち寄り、共有することにより、たくさんのポートフォリオに触れる、つまり「数の暴露」をして、ポートフォリオを書く際の経験値を一気に引き上げようという狙いもありました。また各ポートフォリオに対して、参加者の皆さんが持つ疑問や意見、指導医の先生方のコメントやアドバイス、質問などを通して、ポートフォリオを書く際、そしてそのための診療の質の向上にどのように向き合うべきか、どのような点に注意して診療を行い、ポートフォリオを記載すればよいのかという指針がさらにはっきりしてくるように感じました。それぞれが異なる視点、様々な角度から質問し、意見を出し合うことで、新たな視点を得る機会にもなったと思います。ポートフォリオを書く際の「経験値」を1日でここまで引き上げられるのは、この機会以外にないだろうとも思いました。
是非、今後も「つくば式ポートフォリオを100倍楽しむ方法(仮)」を続けていけたらと思いますし、他の学年のレジデントも積極的に参加していただいて、さらに充実させていけたらとS2一同考えています。
今回参加して下さったスタッフの先生方、ありがとうございました。今後もよろしくお願い致します。
(S2 海老原 稔)