要旨
総合診療医の活動について、他国の情報を集めて国際比較を行うことで、その有用性、日本における将来性や課題について論じることを目的とした。海外におけるプライマリ・ケア専門医の育成過程、プライマリ・ケアのアウトカムや国民の健康に与えるインパクト、診療報酬制度などのプライマリ・ケアを巡る医療制度を調査するとともに、項目ごとにスコア化を行った。各国で前提となる医療制度の歴史が異なるため、プライマリ・ケアの導入方法も国によって大きな違いがあり、外来・病棟・救急・在宅と、多様な場での活躍が期待される日本の独自性も認められた。プライマリ・ケアの充実には、その担い手をどう養成するかという課題はもちろんのこと、医療システムのあり方も含めた包括的な検討が必要であることが示された。各国の経験から学び、日本の実情に合わせた今後の戦略を立てていく重要性が示唆された。