草場 鉄周・佐藤 弘太郎・加藤 光樹・神廣 憲記・田極 春美
要旨
約4,000名の地域住民に対するインターネット調査を通じて、専門的な教育を受けて国際標準のプライマリ・ケア機能についての質保証をされたプライマリ・ケアの専門家である総合診療専門医に対する国民の期待は、年代、居住地域、性別にかかわらず大きいことが明らかになった。また、自己判断で臓器別専門医に直接受診するよりもかかりつけ医にまず相談する診療の仕組みを希望する方が多数を占める一方で、現在のいわゆる「かかりつけ医」が、その期待にすべて応えられているわけではないことも示された。
一方、個別の健康問題によっては総合診療専門医よりも臓器別専門医への期待が強く、総合診療医像も包括的な診療能力に対する認知度は高いが、生活を基盤とした在宅医療を含む地域志向アプローチ機能についての認知度は極めて低く、国民の中に真の意味で総合診療専門医が浸透するためには診療活動の見える化に加えて積極的な広報活動が必要であることが推察される。