小曽根 早知子・木村 琢磨・伊藤 慎
要旨
総合診療医は地域包括ケアの担い手として注目されているものの、日本では総合診療医の歴史が浅くその適性は明らかになっていない。そこで、その診療範囲について明らかにすることを目的に、全国の日本プライマリ・ケア連合学会認定家庭医療専門医を対象として5 日間の活動記録による実態調査を実施した。対象者は147名、男性73.5%、平均年齢37.5 ±6.7 歳。対象者は診療所から病院まで、および都市部から町村部まで幅広いフィールドで診療しており、外来、病棟、訪問診療にわたる幅広い診療を行っていた。多くの家庭医療専門医が小児から高齢者まで診療し、扱う健康問題はInternational Classification of Primary Care, Second edition(ICPC-2)コードの過半数を占める者が多かった。医学生・研修医への教育にも一定の時間を割いていた。本研究が示した家庭医療専門医の診療範囲は、幅広い活動が求められる総合診療医の地域包括ケアの担い手としての適性を示すものであると考えられる。