片岡 義裕・ 吉本 尚・浜野 淳・髙栁 宏史
大倉 佳宏・佐藤 弘太・山梨 啓友
要旨
総合診療医は地域包括ケアシステムを担う存在として期待されており、タスクシフティング(業務の移管)やタスクシェアリング(業務の共同化)はその鍵になる可能性がある。総合診療医と臓器専門医におけるタスクシフティング・シェアリングの実態や可能性について明らかにするため、総合診療を担う家庭医療専門医を対象とした web調査を実施した。調査の結果、糖尿病患者に対するインスリン使用や認知症の診断・治療などの領域では、すでにタスクシフティングが行われていることがわかった。また、CPA患者の救急対応やがん患者に対するオピオイド管理などの領域については、周囲の医療機関との連携等によりタスクシフティングが今後促進されることが期待された。妊婦健診や産褥期のケア、乳幼児健診などについては単独で実施できる者が少なく、総合診療医の生涯学習などにより、今後タスクシフティングやタスクシェアリングが促進されると考えられた。