(4)『オンコールや当直は?』
オンコールと当直はできるの?
・時間外業務の可否は家事育児の協力体制など家庭の事情によってもかなり異なる。
・スキル維持のために早めの復帰を希望する医師もいる。
永藤
他に出産前後で疑問に思われていたことなどはありましたか?
宮澤
子供のいない側をずっとやってきた立場からの意見になりますが、大抵のお母さんはオンコールなどの時間外業務をやらないですよね。私は夫に子供を任せられるので、復職後はオンコールもできるつもりでいますけど、皆さんの考えや実際のところはどうでしょうか?
永藤
オンコールで呼び出されると、家事・育児すべてがオンコールではない方にのしかかってきます。突然呼び出された時に、夫が料理やその他の家事、3人の育児に対応できるかと考えると、我が家の現状では難しいと感じています。
大澤
子供のいる医師とそれ以外の医師、あるいは子供がいる医師同士でも摩擦が生まれやすいところだと思います。その摩擦が負担やストレスになるだろうなと思っています。お互いの立場を配慮できないと、お互いがイライラしたり、ぎすぎすしたりしますし。なぜ出来ないのと考えると辛くなったり……。時間外業務をできない医師は立場が弱くなったりしてしまうのが辛いところなのかなと。宮澤先生が言った通り、本当に出来ないのかどうかは、しっかり検討しなければならないと思いますが、揉めやすい部分ではあります。
永藤
溜め込まずに、お互いがフランクに話し合える環境が大切ですよね。私ができそうなこととしては、出来そうかな、出来るような工夫がないかな、ここまでだったらできるかな、と橋渡しの交渉ができるといいですね。
大澤
負担をかけられている一方になってしまうと、不満が溜まると思います。産む前から色々なことを話し合える関係性を作っておくのが良いのでしょうか。
宮澤
自分がまさにそうですが未経験者は、妊娠している状況も、その後どうなっているのかも想像しにくいですね。
大澤
経験して初めてわかるという部分はありますよね。私は、産む前は産後2ヶ月で復帰しようと思っていましたが、自分の心理的にも体力的にも、色々な意味で無理だと気づき、想像とは違うんだなと思いました。
永藤
宮澤先生は、オンコールが出来そうな状況ではあるのですね。
宮澤
やってみないとわからないですが、復帰したらやらざるを得ないと思います。ただ、夫は寝不足で次の日に仕事に行ってもらわないといけませんが……。
大澤
キャパシティが人によって違うから、一概にやれるやれないを論じるのは難しいですよね。
永藤
逆に働きたい人もいると思うので、勝手に決めつけずに、どこまで出来るのかを話し合える状況にしたいですね。私は長男出産後は、当直は無理だなと思っていましたが、前野先生から「できる範囲でやった方が良いよ」と言われたこともあり、長男が1歳を超えてから当直に入らせてもらっていました。当直を実際にしてみたところ、やって良かったなとは思いました。ただ、夫の当直、オンコールの予定と被らないようにしなければいけなくて、その調整が結構難しかったです。
大澤
やって良かったなということは、臨床の経験値を継続するためにやって良かったなという意味でしょうか?
永藤
訪問診療と外来だけになってしまうと、一般的な救急疾患に触れる機会がなくなってしまい、能力が落ちることが怖かったので、やって良かったなと思います。ある程度は出来るなと自信につながりました。
大澤
やってない期間が長ければ長いだけ、戻った時に不安や恐怖があるだろうと思います。外来なら予習できますが、救急外来や当直となると、また話が違うのかなと思います。私も授乳が終わったら、早めに、救急やオンコールに戻りたいと思いました。
永藤
臨床能力の低下や、感覚が鈍ることに不安や恐怖を感じている人は多いと思います。育児のため当直やオンコールはだめ、という方達ばかりではないと思います。
宮澤
大学にシミュレーションラボがあるじゃないですか。ああいうのを取り入れスキル維持・復習する会などしてもいいかもしれませんね。
任
子育て中の女医さんに限らず、若手の先生とか逆に年配の先生とかにも、需要はとてもあると思います。
大澤
最近やっていて良いなと思ったことは、日本プライマリ・ケア連合学会の生涯教育Web講座です。何となく臨床に繋がっている感が生まれますし、臨床医としての意識がアップデートされます。
僻地医療に遠隔診療を取り入れたいなトークで盛り上がる……。