座談会参加メンバー プロフィール
宮澤 麻子 医師14年目
夫、0歳男児。夫は公務員。
両親は関東、夫の両親は県内(車1時間)。
永藤 瑞穂 医師8年目
夫、3歳長男、0歳双子女児。夫は医師(小児科)。
双方の両親は車で1時間程度の県内・県外。
大澤 さやか 医師7年目
夫、0歳男児。夫は医師(総合診療科)。
双方の両親は県外。
任 明夏 医師6年目
夫、0歳双子女児。夫は医師(総合診療科)。
双方の両親は県外。
(1)『妊娠・出産を経験して見えてきたもの』
はじめに
今年は、私たちの科では出産ラッシュでした。私自身も双子の妊娠・出産で多くの経験をしました。これから妊娠を考えている女性医師、そして、父親になる男性方に今回の経験を伝えたいな、という思いがありました。以前より「総合診療医の未来予想図※」の女性医師版を作りたいと思っており、今回の経験が何か活かせないかと男性の上司に相談したところ、「いまの皆さんの気持ちを残すことは、これからの日本の医療界にとっても、有意義になるのではないか」とアドバイスをいただきました。そのため今回は、特に妊娠・出産に関わる部分に焦点をあて、座談会を開催することになりました。
育休中のつくば総合診療グループ所属医師が、Web会議システムを用いて座談会を2019年1月に開催しました。本文中では、座談会参加メンバーを別撮り(撮影:阪本直人氏)したものをイメージとして用いております。予めご了承ください。
任
そこで、私たちの経験がフレッシュなうちに、ぜひ座談会をしてみたいと思い立ち、皆さんに声をかけさせてもらいました。育児真っ最中の手が離せない中にもかかわらず、時間を合わせていただきありがとうございます。
永藤
女性医師の働き方について、妊娠、出産を終えた先生方から見えてくるものや、今後、気になることや疑問点などを話してみたいと思います。例えば、出産前に抱えていた疑問や、不安などが産後、どう変わっていったのか、あと新しく出てきたものについてですね。
私の場合、産前は育休期間の過ごし方と、その後の復帰が不安でした。また妊娠出産そのものに関してもリスクについての知識が多いため、不安が大きかったと思います。
大澤
産前に困ったこととして、切迫早産で入院したので、その際の自分のスケジューリングは困りました。夫の仕事の調整をしたり、出産に立ち会うよう休みを取ってもらったり。「つわりでひどいときや疲れたときの休憩場所が欲しかったな」と他職種の方とも話しました。
宮澤
私は診療所の管理者なので、医局のソファも自分のためのベッドにして、空いている時間はそこで休んでいました。職場の中での立場が若いときほど気を使うかなと思います。
任
私は凄く配慮していただきました。妊娠6週目からつわりのため当直は入れなくなり、入院担当も減らし救急対応もできず、当直・病棟業務を急遽肩代わりしていただき、みなさんには大変ご迷惑をおかけしました。それだけ業務を減らしても、空き時間は女子ロッカーで身体を休めないと、午後にはカルテを書くこともできませんでした。
永藤
私は総診のメンバーに囲まれた病院で、医局で休むことはしやすかったですが、横になって休む場所は、なかなか作れませんでした。
任
体調不良は妊婦に限らずあるとは思うので、休める場所があると助かりますよね。
大澤
産後は、搾乳場所が必要になりますから、搾乳できる場所が病院に一部屋は欲しいと思いました。初めて勤務先の授乳室を使ってみると、利用者には優しくない物の配置で、意外と使い勝手が悪かったり……。
永藤
事前に自分の勤務先で、そういう場所も体験しておくということも良いかもしれないですね。
話は病児保育の問題へと広がってゆく……。
宮澤
これらの話は女性医師に限らず働く親全般のものですね。病児保育が使いにくいことによって、働き方がかなり制限されてしまいます。