総合診療を象徴する漢字である「総」の漢字を使って、
私たちがめざす総合診療医としての心意気を表してみました。
私たちは、年齢・性別を問わず、
地域に暮らす総ての人々の、
医療のみならず、予防や福祉も含めた
健康に関する総ての悩みに、
保健・医療・福祉職、行政職など
医療に携わる総ての人々と連携して、
健やかで豊かな暮らしが送れるよう、
総力を挙げて取り組みます。
私たちは、このような医療を広く提供するとともに、
それを実践できる人材の育成や、その発展に役立つ学術活動を通して、
地域社会の健康に貢献したいと願っています。
30年にわたる長い歴史を持つ、
総合診療(家庭医療)領域の専門研修プログラム。
その特徴や魅力をさまざまな角度からご紹介します。
つくば総診の特徴は、「大学であり、大学でない」ことです。
すなわち、充実した教育研究機能を持つ大学病院を基幹型施設とする「大学である」メリットと、
大学だからこそ実現できる豊富な地域とのネットワークを生かし、地域医療の第一線で、
多様な環境で幅広い経験を積むことができる「大学ではない」メリットの両方を兼ね備えています。
東京教育大学を前身とする「教育の筑波」の伝統を踏まえ、豊富な実績とノウハウを持ち、
寄附講座を活用したネットワークを構築して、どの研修施設でも「教育ファースト」の
コンセプトが浸透しています。
専門研修を修了し、総合診療専門医、新家庭医療専門医を取得したのち、
病院総合診療専門医、在宅医療専門医、緩和医療認定医、内科専門医(+臓器専門医)が取得可能です。
また、独自の大学院を持ち、学位取得も可能です。
大学ならではの豊富な選択肢と強力なコーディネート機能により、一人一人の希望に合わせた
キャリア支援を行っています。
総合診療研修で「広い多様性」は「高い専門性」を意味します。
つくば総診では、病棟、外来、救急、在宅のすべての場で、しっかりした指導が受けられるうえ、
どこで研修しても「ずっと成長を見守る」「縦・横のつながりを強める」強力な支援体制があるため、
安心して研修を受けることができます。
つくば総診では、それぞれのキャリアやライフプランの希望を尊重しており、
年1回、一人ずつ全員にヒアリングを行い、研修の希望や家庭の事情等を聞いて、
きめ細かく研修をコーディネートしています。
また、「家庭医は、家庭を大切にする」をモットーに、妊娠・出産・育児は
グループを挙げて最大限に支援します!
現在在籍している専攻医数
22名
これまでの修了者数
75名
女性の割合
35.9%
家庭医療専門医数
55名
論文数
和文52本
英文172本
(2019年〜2021年度の3年間)
専門研修を検討している皆さまへ、
先輩医師たちの生の声をお届け。
総合診療の魅力や総合診療医として
大切にしていることなどをお伝えします。
任 明夏 2013年 筑波大学卒業
一つは患者さんが私の診療を受けて安心してくれた瞬間です。ほっとした表情をされたり、安心しましたと言ってくださるとお役に立てたなと感じます。二つ目は、長期的に患者さんや患者さんのご家族と関わり、徐々に信頼関係を築くことができたときです。顔を合わせるたびに患者さんの態度がやわらかになっていき、小さな不安を共有してくださったり、それまで積極的ではなかった治療に前向きになってくださったときに総合診療医でよかったなと感じます。
総診を志すというと「専門がないと辛いよ」と言われていました。実際に同期たちがスペシャリストとして成長していくのを見ながら、私の強みはなんなのだろうと悩んでいました。そんな中で前野先生の「総合診療医とは何か」というプレゼンを聞いた際に、「地域にはCOPDも糖尿病も高血圧も予防医療も小児も診れる医師が必要です。任先生はできますか?」と問われ、ある程度はできるようになっていることに気がつきました。私の専門性はそこにあったのだとうれしくなり、専門家として成長できていることに安心もしました。
今は院生、教員、指導医、臨床医とさまざまな立場をいただいていますが、やはり指導する相手から教わることの多さに毎回驚きとありがたみを感じています。飛んでくる疑問に日々もっと学ばなければいけないと背筋を伸ばしてもらっており、後輩たちを指導・教育するという部分には今後も関わっていきたいと思います。
橋本 恵太郎 2015年 筑波大学卒業
総合診療のそもそもの特徴として「幅広さ」があると思うんです。病院総合医や家庭医、急性期や慢性期、リハビリテーション、総合診療医の活躍するフィールドは様々です。そうした様々な総合診療のフィールドすべてを学ぶことができる、ということがつくば総診を選んだ大きな理由でした。つくば総診では幅広いフィールドそれぞれに「この分野のことについてはあの先生に聞けば大丈夫」という方がいらっしゃって、私もその中で研修してきました。病院でも診療所でも大学でも、とても貴重なトレーニングをたくさん受けさせてもらえたと思っています。
指導が手厚いなという実感があります。大学病院だけでなく市中病院や診療所も複数あり、それぞれの施設に必ず指導医がいて、どこでも安心して研修に専念できる環境が整っています。例えば診断に困ったらこの先生に聞こう、アルコールの問題だったらこの先生に聞こうという、その分野の代表みたいな先生方もいらっしゃって、かつ非常に相談がしやすい雰囲気なんですね。診療中、フランクに相談ができるのはもちろん、メールでも気軽に相談できます。そうした風通しの良さがつくば総診の大きい特徴なんだろうなと感じています。
そもそも総合診療科って何?っていう方がたくさんいらっしゃると思うんですよね。しかも、総合診療の研修プログラムもたくさんあって、どこがどう違うのか、なかなかわからないと思うんですね。つくば総診に見学に来てもらえれば、たとえ1日であっても総合診療ってこういうものなんだなとか、つくば総診ってこういうものなんだなっていうことを感じてもらえると思いますので、まずはぜひ見学に来てもらえたらと思います。
将来は総合診療に従事したいと思っていますが、ベテランの医師から
「まず何か一つ専門医を取ってから、あとから総合診療をやればよい」と言われました。
その方が良いでしょうか。
他の専門医を取ってから、総合診療を実践している医師もたくさんいます。ただ、専門医としてのトレーニングを受ける中で、どうしてもその専門領域中心の思考回路が身についてしまい、あとでバランスよく総合診療に幅を広げるのは難しいのも事実です。また、医師としての経験年数を重ねた後で、若手指導医の下で細かな指導を受けながら研修を積む環境も作りにくいという事情もあります。
つまり、将来的に総合診療を自分のキャリアの中心に据えたいのであれば、初めから体系的なトレーニングを受ける方が確実で効率的です。これは、英語の修得に例えると、幼少期から海外に居住して学ぶ方が有利なのと似ています。
何か(臓器別の)専門を持っていないと、将来医師過剰時代を迎えたときに
働く職場がなくなると聞きました。本当でしょうか?
地域医療構想でも示されているように、今後は病床の機能分化がより一層進むことが確実です。多くの領域において、臓器専門医がその専門性を発揮できるのは高度急性期・急性期病床ですが、これらの病床は集約化により約3割減らすことが目標に掲げられている一方で、総合診療医が専門性を発揮しやすい回復期や在宅については、大幅に増える見通しです。このような状況を考慮すると、将来の医師過剰時代には、むしろ総合診療医のほうが働く職場に恵まれているといえるでしょう。実際、政府は2040年を見据えた三位一体改革において、「総合的な診療能力を有する医師の確保等のプライマリ・ケアへの対応」を掲げており、医療政策上も重点的な支援が行われるでしょう。
後期研修後の進路はどうなっていますか?
後期研修後にスタッフとなった医師は、主に筑波大学附属病院総合診療科、筑波メディカルセンター病院総合診療科、水戸協同病院、大和クリニックなどのいばらき地域医療研修ステーションで勤務しています。また、大学院(地域医療教育学講座)に進学して、博士号取得を目指す医師やフェローシップとして他の科での専門的研修を受けている医師もいます。
女性も安心して後期研修を受けられますか?
筑波総合診療科では、2023年現在、女性が33名在籍しており、その内出産・育児を経験した女性が18名います。ヒアリングなどで女性のライフプランを聴取し、研修先などの仕事内容をできる限り調節しています。妊娠中は当直業務などがない負担が少ない仕事を選択しつつ、妊娠中も仕事を続けることが可能です。そして、グループの在籍人数も多いため、産休中には他の医師が仕事のカバーに入ることもできています。また、筑波大学附属病院には、「女性医師看護師キャリアアップ支援システム」があり、出産・育児などのプライベートライフとキャリアアップの両立を図れるように配慮されています。
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